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「どうだい、なかなか面白いだろう?」
「……はい」
「そうかい、気に入ってくれたようで何よりだよ」
目の前にいる初老の男性の言葉に対して僕はゆっくりと首肯する。
ここはウルタールにある古書店。そこで店主である彼は僕に一冊の古書を手渡してくれたのだ。表紙には題名のようなものが書かれているのだが、残念ながら掠れていて読めなかった。しかし不思議なことに、僕はこの本がどのような内容を持っているのか知っている気がしたのだ。
「この本はね、遥か昔の偉大な魔法使いの物語なんだ。もし君が望むのであれば、これを買ってあげることもできるんだけれど……どうかな?」
「いえ、結構です」
僕の返答を聞いた老人は、意外にも驚いた様子を見せることもなく小さく微笑みを浮かべただけだった。
「ほう、どうしてだい?」
「だって……あなたはきっと、最初からこれが欲しいかどうか尋ねてくれていたでしょう?」
「ほぉ、なるほど」
「それに、この本はもう既に持っているような気がするので」
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「あぁ、そうですか。では仕方ないですね……」
残念そうに本を返してくれる白雪さんを見て申し訳なく思いながらカウンターへと戻っていく。すると、いつの間にか隣にいた兎川がこちらを見上げていた。
「どうしたの兎川さん?」
「あのさ、これってどういう意味かなぁ?なんかよく分かんなかったんだよね」
彼女が見せてくれたのはこの前私が貸していた本のページであった。それはとある少女の日記帳であるのだが、ところどころ文章の意味がよく分からない所があったりするようだ。
「えっとね、ここは……」
「なるほどなるほど……つまりこういうことでしょう?貴女達は悪魔と契約したことにより呪われた運命を辿ることになったと……」
「そう。そして最終的に死ぬことになる。まあ要するにバッドエンドになるわけよ」
「バッドエンドですか!?そんな結末嫌ですよ!!」
「あら、どうしてかしら?」
「だってまだ何も成し遂げていないんですもん!」
「じゃあハッピーエンドにするしかないわね」
「どうやって?」
「それは自分で考えなさいな」
「えっひどい!」