テラーノベル
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嘔吐表現あり。
(深澤視点)
今日も、あいつとの行為を終わらせた帰り道。
バカだなぁ…
どんどん堕ちてる。
もう、何もかもが“俺”の手のひらだっつーのに…
昨夜、こっぴどく吐いた後、シーツの処理大変だったなぁ…
ま、なんとかなったけど!
それに、あいつは今日もご機嫌良かったねぇ…わら
“深澤くん“、可愛いもんねぇ?
もう、手放せないんだもんな。
安心しろよ。
“深澤くん“は、お前のものだよ。
そのために使ってんだからさ。
『お前、変だよ…』
「……っ!!」
照の声が、頭に響く…
ったく……
まただ…
最近、この言葉がことあるごとに頭の中で響いてる。
さっきだって……
あいつに笑いかける“深澤くん”の顔が、少しだけズレて見えた。
そんなはずないのに。
変って言葉が響いた瞬間…….
鏡みたいに整えた表情。
あいつに仕込まれた言葉。
媚びるような視線。
甘い言葉にトーンだって……
何もかもが完璧で、全部が“演技”のはずだった……
それでも、ふとした瞬間に…
気づいちゃったんだ、“深澤くん“の声が震えてたことに…
一瞬だけ…思っちゃったんだ……
(何やってんだ……俺…)
終わったはずだったのに。
感情は捨てたでしょ?
みんなに笑顔で安心させる“ふっか”も。
思うがままに操られてる“深澤くん”も。
全部、“俺“のものだ。
“俺“は、“ふっか“と“深澤くん“なんだ。
なのに……!!!
まだ、どこかで「助けてほしい」なんて思ってる“俺“がいる…
奥の奥にしまってたはずの感情が……
「気づいて」「止めて」って、、
心の奥で、壊れた子供みたいに泣いて叫んでる“俺”が………
まだ、消えてない…
バンっ!!!
近くにあった電柱を思いっきり殴る。
拳が、ヒリヒリする。
いや、そんなことどうでもいいな。
ただ、この怒りをどうにかしたい。
「……ふざけんなよ…」
怖い。
演じきれない“俺”が、泣き叫びながら助けを求める“俺”が、何よりも怖い…
(岩本視点)
「照、見つけたよ。」
「俺も。証拠ゲット。」
阿部、翔太。
2人とも忙しいはずなのに、俺のためにここに集まってくれてる。
「ん。2人とも、ありがとね。」
感謝を伝えて、2人に相席を促す。
「まず、俺からだな。ショックで倒れんなよ?」
俺はコーヒー、阿部はレモンティー、翔太はカフェラテを注文してから、話を始める。
まずは、翔太から。
少し冗談めかしに翔太がスマホを差し出す。
画面に映ってるのは、ボイスメモ。
これが、翔太の掴んだ証拠。
そこから流れてきたのは……
『丸山さん……もっと…♡』
『やだ……それだけじゃ、寂しい……』
『激しくしていいよ…?』
俺と阿部は、予想はしてたけど顔を歪める。
ふっかの扇状的な声が周りには聞こえない、でも俺らにははっきり聞こえる音量で流れる。
やっぱり、か…
「阿部。」
「うん。」
翔太の証拠を一通り聞いた後、俺は短く阿部に声をかける。
阿部も、小さく頷いてスマホを机の上に置く。
「こいつが、その相手だと思うよ。」
阿部は、険しい顔で画像をトントン叩く。
拡大された画像に映ったのは、端っこでカメラを構えてるスタッフ。
「本当に、こいつが…?」
確か、この人は特に目立つことのないスタッフだ。
自分から声をかけてくることもないし、挨拶しようと思ったら、いつの間にかスタッフの山に埋もれてる。
「…うん。別のスタッフさんからの情報だよ。この、“丸山”っていう人が、最近倉庫で何かしてるってね。」
「倉庫……ふっかが吐いた日…確かにあそこのビルには小さい倉庫があんな。」
阿部の情報と翔太の情報。
2人が言うんだ。
そういうことなんだろ。
「翔太のそれは、どこで手に入れたの?」
また、翔太のボイスメモに視線を移す。
予想はついてる。
一応の確認としての質問。
これが当たれば、こいつが犯人で確定だ。
「これ?これは……阿部、お前も一緒なんだろ?」
「そうだね。じゃあ、せーので言ってみる?」
翔太が阿部とアイコンタクトをして、2人は息を揃える。
「「『CUT OUT!!』のスタッフ。」」
………やっぱり、な。
(丸山視点)
俺の支配は完成してるはず。
そう、確信してるのに…
ふとした時に、不安になる。
最近、深澤くんを見るたびに胸の奥が疼き始める。
なぜか、不安な気持ちになるんだ。
以前までは、命令するだけで良かった。
あの怯えた表情を楽しむだけだった。
怯えた瞳、震える身体、無理やり作った可愛い笑顔…
最近の深澤くんからは、それを一切感じなくなってる。
確かに、今の深澤くんは俺の従順なペットだ。
笑顔は絶やさないし、俺の命令通りに動く。
その上、深澤くんから求めてくるようになってきてる…
完璧だ。
完璧なはずなのに……
なんなんだ…、一体…?
深澤くんが笑うと、すごい胸の奥がドキドキするんだ。
でも、冷たい視線を向けられると、胸が痛くなる。
あの子の目の奥が見えない。
前までは、手に取るようにわかった。
怯えてることも、必死に平静を取り繕ってることも…
でも、今は何を考えているのかがわからない。
今日も、俺の元に深澤くんは現れる。
綺麗な笑顔のままで。
甘えた声を出しながら、俺の腕の中に。
「ねぇ、何を考えてるの?」
不安になって、深澤くんに問いかける。
何を考えてるの?
今、君は俺のことを見てくれているの…?
そう問いかけたのに、目の前の君はただ微笑んだ。
「何も、考えてないよ…?」
その言葉を聞いた瞬間、俺の背中に冷たい汗が伝う。
いつからだ?この子のペースに飲み込まれ始めたのは?
俺の言葉に、この子が反応しなくなったのは、いつから…?
心の奥に、嫌な感覚が広がる。
俺が、俺が主導権を握ってるはずだろ…?
俺が、リードを引っ張ってきたはずだろ?!
でも、深澤くんは静かに笑うだけ。
俺の瞳を覗き込んで、まるで、全部がわかってるように。
「ねぇ、俺のこと好きなんでしょ?そうなんだろ?」
思わず、そんな言葉が口から溢れる。
どこかに行ってしまいそうな彼を抱きしめながら。
自分でも、なんでこんなことをしてるのかはわからない。
でも、この胸の中のモヤモヤを吐き出すように。
腕の中で静かに息をする深澤くんは、恐ろしくなるほど綺麗な笑顔で…
「どうして、そんなこと聞くの?」
首を傾けながら、静かに呟いた。
もしかして…これ、は……
主導権が、変わってる…?
(深澤視点)
ははっ……
これで、“俺の勝ち“、だね♪
こいつはもう、“深澤くん“を手放せない。
「何、考えてんだよ!!答えろっ!!お前は、何を考えてんだ!!?」
目の前で、焦ってヒステリックを起こしてる男。
こうやって焦ってくれると楽だね。
だって、こういう人間は扱いやすいから。
ちょっとだけ、視線を逸らす。
怯えた目をしながら。
呼吸は浅めに、声は震わせて。
視線、トーン、言葉選び。
研ぎ澄まされた“深澤くん“。
ほら、見てみろよ。
これだけで、安心した顔してるんだ。
これで、こいつはもう…
俺の手のひら……
『お前、変だよ。』
「…………っ…!!!」
また、だ…
なんで、今。
こんな大事な状況で…
いや、冷静になれよ。
こんな言葉、なんてことないだろ。
“深澤くん“じゃない、“ふっか“にかけられた言葉。
違う。
違う違う違う…!!
関係ない…!
今ここにいるのは“深澤くん”だ。
“ふっか”じゃない…!!
ここにいるのは……!!!!
ガチャン……
倉庫の重い扉が閉じる音がする。
なんとか、勝ち越せたのかな…
途中、ちょっとだけ揺らいだかもだけど……
“深澤くん“は揺らぐことがなかった。
でも………….
じゃあ、なんで揺らいだの?
“ふっか”に投げかけられた言葉でしょ?
“深澤くん“には関係ない言葉。
なのに、なんで揺らいだの?
なんで、こんなにモヤモヤするの…?
「…お゛ぇ……う゛…」
気持ち悪い…
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い……
早く、帰ろう……
また、こんなとこ見られたらまずいだろ……?
重い脚を引きずるようにして、ゆっくりゆっくり、帰宅路を歩く。
誰にも、気づかれないように…
コメント
3件

💜は、ちゃんと気づかないといけない事があるのに、その事にすら気づけない状態にあるんだろ〜ね(T_T)あまりに辛すぎて… 💜、ちゃんと周りを見て、感じてね…って思います✨
第7話、読ませていただきました……。 深澤くんの内面の揺れが、本当に生々しくて胸がぎゅっとなりました。 “深澤くん”として完璧に演じているつもりなのに、ふとした瞬間に“ふっか”としての自分が顔を出してしまう。特に「お前、変だよ」という照くんの言葉がフラッシュバックするところ、あれが彼の中で確かに響いてるんだなって伝わってきて……すごく切なかったです。 丸山さんの視点で「主導権が変わってる」と焦り始めるのも、逆転劇の予感がしてゾクゾクしました。 そしてラストの嘔吐——あの閉じられた倉庫の扉の後、一人で必死に帰ろうとする姿に、胸が締め付けられました。 次の展開、本当に気になります……!
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