テラーノベル
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エリオットはチャンスのシャツの襟をつまんだまま、
にやっと笑った。
「ねぇ」
指先で軽く揺らす。
「もしかしてさ」
少し顔を近づける。
「癖になった?」
チャンスの眉がぴくっと動く。
「……何が」
エリオットは楽しそうに続ける。
「ネクタイ引かれるの」
くすっと笑う。
「さっきからなんか物足りなさそうな顔してる」
チャンスはため息をついた。
「お前な……」
その時。
エリオットが思い出したように言った。
「あ、そうだ」
テーブルの端に置いてあったネクタイを拾う。
さっきチャンスが外したやつだ。
エリオットはそれを軽く振る。
「これ、つける?」
挑発するような目。
チャンスは少しだけ黙る。
「……好きにしろ」
その一言で、
エリオットの笑みが深くなる。
「ほんと?」
ソファの上で体を寄せる。
距離が近い。
エリオットはネクタイをチャンスの首に回した。
指が襟元に触れる。
ゆっくり結びながら言う。
「動かないでね」
チャンスは何も言わない。
エリオットの金色の髪が、
すぐ目の前で揺れている。
ネクタイを通して、
結び目を整える。
その間ずっと距離が近い。
エリオットはちらっとチャンスを見上げた。
「ほら」
結び目を軽く引く。
チャンスの顔が少し近づく。
エリオットはにやっと笑う。
「元通り」
チャンスの目が細くなる。
エリオットはそのままネクタイの結び目を指でつまんだ。
そして――
ぐいっと軽く引く。
チャンスの顔が、
一気に近づく。
二人の距離はもうほとんどない。
エリオットは小さく笑う。
「やっぱこれだよね」
チャンスは数秒黙っていた。
それから低く言う。
「……エリオット」
「ん?」
エリオットはまだネクタイを掴んだまま。
チャンスはその手首をゆっくり掴んだ。
そして少しだけ顔を近づける。
「お前」
低い声。
「煽るの好きだな」
エリオットは楽しそうに笑った。
「だって」
ネクタイをまた少し引く。
「反応いいから」
チャンスの目が静かに細くなる。
その空気に、
エリオットの笑みが少しだけ深くなった。
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ゆゆゆゆ
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