駅前に見慣れないスペースがあった。
小さなテーブルに、水晶玉。そこに座っている中年の女に声をかけられる。
「お兄さん。占っていきませんか」
俺は占いなんてしたことがなかったので、物珍しさから占ってみてもらうことにした。
俺が女の向かいに腰かけると、手相を見られたり、いくつか簡単な質問をされたりした。その後女は水晶玉と俺の顔を交互に見比べている。
しばらく待つと、
「結果が出ました。とても悪い結果です」
と女がしゃべり始めた。
「あなたは一週間以内に事故で亡くなります。飛行機の事故です」
「なんてことだ。確かに今週出張で飛行機に乗る予定があります。どうしたらいいのでしょう」
「落ち着いてください。とにかくこの3日は飛行機に乗らないことです。そうすれば未来は変わり、あなたは助かるでしょう」
俺は占いの言う通り、上司に無理を言ってその出張をキャンセルしてもらった。占いを聞かされた時は不安でしょうがなかったが、あのとき事前に占ってもらって本当に良かった。いくらなんでも自宅にいながら墜落事故に遭う心配はないだろう。
気持ちが楽になった俺は紅茶を飲みながら不意の休日を楽しむ。
それにしてももう夜だというのに、今日はなんだか外がうるさいな。どうしたんだ。
俺は窓から外を見て、すごい勢いで飛び込んでくるものを見てすぐに全てを察した。
俺はあのインチキ占い師を絶対に許さない。
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えぇ~。占いってここまでわかるんだ... 普通に占い師飛行機に「乗って」事故に遭うって言ってない....