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キーンコーンカーンコーンーー。
夏休み前の最後のチャイムが鳴り終えた教室で、 私はいつも通り、鞄に分厚い資料集を詰め込んでいた。
「よっ、ったく…また資料集鞄に入れてやがる」
相変わらず、隣から軽い声が聞こえる。
森山悠斗。まるで自分とは別の時間軸を生きているかのようなノリの軽さ。
でもーー今日は、少し違う出来事が起こる。
「悠斗、夏休みの間に少し話を聞いてもらうつもりだったんだけど、計画変更よ」
「は?なんだよ、また急に」
私はスマホの画面を見ながら小さく呟いた。
「……昨日、夢を見たの。不思議な金色の稲穂(いなほ)と、”米の精霊”を名乗る人物に出会った夢。そして”お前たちの世界の米はもう長くない”って言われた」
「夢見すぎだろ、それ…てか精霊って何だよ」
「私も最初はそう思った。でも今朝ーー」
私はポケットから一枚の紙を取り出した。
そこには、見たこともない古代文字で書かれた
**“稲の魔導書”**のようなものが印刷されていた。
「この本、朝起きたら机の上にあったの。私の夢の中で見た内容と全く同じ…しかもこの文字、解析かけたら**“稲の言葉”**だって」
「……どゆこと?!」