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#ミステリー
鬼霧宗作
686
みおん
5,211
沙和子が入ってきた。「ノック2回はトイレの時だぞ」
「何くだらないこと言ってんの?」
「……」
「学さんのところで何かあったんでしょ? 聞くことしかできないけど、話したら少しはスッキリするんじゃない?」
「スッキリ……か。しないよ。もう」
「沙和子……聞くことしかできないって言ったけど、話をしたところで何も現状は変わらない。なんとかしようと思っても悪化するばっかだ!」
「……」
沙和子は黙ってる。
「多少はスッキリしたこともあったよ。元気付けられたこともあった。でもあの時は、側に親友や恋人がいたからだ。それがほとんど偽物だったんだ! もう誰を信用していいかわからない……」
沙和子、ごめん。
完全な八つ当たりだ。
俺は心の中で思った。
「……血が繋がっている家族でも?」
「家族……? 血の繋がりって信用できるものなのか? 血が繋がってても殺しや虐待、ネグレクトだってあるだろ?」
「そんなの極端過ぎじゃない? 全員がそういうわけじゃ……」
「それは百も承知だ! でも身近に該当する人を知ってるだろう?」
食い気味に怒鳴ってしまった。
「お父さん……」
そう、父さんだ。
「俺らのおじいちゃん、おばあちゃんは会社経営に失敗して、借金を残してクビを吊った! その時の親戚達はどうした?」
「……」
沙和子が答えづらそうだった。
「まだ幼かった父さんを……見捨てたんだ!」
「……」
「借金はどうにか免除になったけど、施設に入った。家族が死んで、親戚から見捨てられた父さんは辛い日々を過ごしたんだ! 母さんからその話を聞いたとき、俺は悲しくなったよ……。血が繋がってても、そんなことがあるんだって!」
「だからってうちはそうじゃない! お父さんは暗い人だけど、お母さんと結婚して幸せそうだよ! 小さい不動産会社だけど……部長にもなれた。お母さんはそんな過去があっても、今は幸せなんだよって意味で私たちに話してくれたんだよ!」
「そう……いいよな、父さんは。母さんみたいな優しい人と出会えて、出世もできて……」
「友和にだって……」
俺にもいいことがあるって言いたいのか?
それは無いな。
希望が持てない。
「頼む、沙和子。1人にさせてくれ。どうせいずれわかることだから」
「いずれって………」
少しの間、沈黙になった。
「もういい!そこでずっと横になっていれば!」
もうこれ以上何を言っても無駄だと感じたのか、沙和子が出ていく。
扉を開けっぱなしで。
思い腰を上げて、扉を閉める。
すぐに戻ってベットに入り、目を瞑った。
もう何も考えたくない……。
コメント
3件
うわぁ…今回めちゃくちゃ重くて苦しい回だったね😢💔 友和くんの「誰を信用していいか分からない」って台詞、心臓ぎゅってなったよ… 血の繋がりだって絶対じゃないって痛いほど分かってるからこそ、沙和子にも当たっちゃう感じがリアルすぎた🥺 でもさ、沙和子がそれでも話を聞こうとしてくれてるのが唯一の救いというか…切ないけど温かさも感じたよ。 次どうなるか気になる…!😭✨