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ゆゆゆゆ
#Paycheck
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夜。
大きな門。
その前。
チャンスは立っている。
手に持っていたスマホをしまう。
黒い屋敷を見上げる。
小さく呟く。
「……でかすぎだろ」
ため息。
そのまま動かない。
逃げる気もない。
ただ。
待つ。
⸻
―屋敷・室内―
エリオットは窓の前に立っている。
カーテンの隙間。
外を見る。
そして――
止まる。
門の前。
見慣れたシルエット。
銀髪。
ポケットに手。
少しだるそうな立ち方。
エリオットが小さく笑う。
「……来た」
⸻
数分後。
屋敷の扉が開く。
ギィ…
エリオットが外に出る。
チャンスは動かない。
エリオットが近づく。
いつもの顔。
にこにこ。
「チャンス」
チャンス。
「遅い」
エリオット。
「ごめん」
少し近づく。
そして――
ネクタイ。
ぐい
チャンスが前に引かれる。
チャンス。
「……」
エリオット。
「来ると思った」
チャンス。
「来てやった」
エリオットは楽しそう。
「ピザのテイクアウト?」
チャンス。
「違う」
少し間。
それから言う。
「迎え」
エリオットの目が少しだけ揺れる。
でもすぐ。
いつもの笑顔。
「ありがと」
チャンス。
「……」
エリオットが屋敷を振り返る。
大きな建物。
静かで重い場所。
それからチャンスを見る。
ネクタイ。
ぐい
「帰る」
チャンス。
「どこに」
エリオット。
にこっと笑う。
「アパート」
チャンスが少しだけ驚く。
「いいのか」
エリオット。
「いい」
チャンス。
「親父は」
エリオットは軽く肩をすくめる。
「また今度」
少し間。
「考えるって言ったし」
チャンスは数秒見る。
それから小さく言う。
「……逃げたな」
エリオットは笑う。
「かも」
そして。
ネクタイ。
ぐい
「でも今は」
少しだけ真面目な声。
「こっち」
チャンス。
「……」
エリオット。
「ピザ屋の匂いの方が好き」
チャンスが少し笑う。
「変なやつ」
エリオット。
「知ってる」
二人は並んで歩き出す。
屋敷の門を離れる。
夜の街へ。
背後。
大きな屋敷。
静かに佇む。
でもエリオットは振り返らない。
前だけ見る。
隣には。
チャンス。