「物静かな人」
私が飽きるほど耳に入ってくる言葉。
子供の頃から話すことが苦手だった私は、いつしか口から言葉を出すことは滅多になくなった。
私の周りに人はほとんど居なくて、なんだか透明になった気分で毎日を送っている。
いっそ楽かもしれないと気楽に考えていた。
深夜までは。
いつも私は、日を跨いでからは無駄な事ばかり考え込んでしまう。
「このままでいいのかな」
「私、ずっとこのまま空気でいるのかな」
「そんなの嫌だよ 独りにしないで」
「誰か助けて」
どうせ、誰かが差し伸べてくれた手も振り払う癖に。
ああ、いつもこうだ。
理想と現実の差に震えて、
自分を急かして、
勝手に苦しむ。
心がどす黒いドロドロの何かに侵食されていく。
あぁ、苦しい。
それなのに、私は「たすけて」の四文字でさえ口に出せない。
こうして、空は明るくなっていく。
そうして、私は倒れるように眠る。
眠れば心は軽くなる。
日が登れば私は気楽に過ごせる。
けれど
空の色が変わろうと、私は今日も私のままだ。
コメント
13件
天才かよ
物語書いてから題名考えるのも楽しいけど題名から考えて物語を書いていくのも最高に楽しいよね
すっっごい感情が分かる(?) あ天才だわ