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一旦彼女をマンションへと返した。――本当は、ずっとべったりくっついていたかったけど、むげもなく「女にはいろいろやることがあるんです」と断られた。
おれは、三年間、ずっときみを待ち望んでいた。
化粧。着替え。洗濯? そんなもの、どうだっていい――
気持ちでいたのだが。女のほうが、こういうときの気持ちの切り替えがうまくいくらしい。
夜、寂しくなって、彼女に電話をした。
「なんですか課長」
仕事のときと同じようなクールな声がおれの耳朶を打つ。
突き放されると、甘えたくなるのが、男と言うものだ。おれは、甘ったれた声を、意識して出した。「莉子。……二人のときは、名前で呼んで?」
「えーっとでも仕事のときとごっちゃになりそうで怖いです。……慣れてからでいいですか」
「まあ、ベッドのうえでだけ遼一ってきみが叫ぶのもそそられるけどね」
「課長……!」おれはくつくつと笑った。彼女の表情。動きが手に取るように分かる……。
いますぐに、彼女に触れたい。
電話は、嬉しいけども、もどかしい想いを加速させる……。
笑いを止めたおれが黙っていると、彼女のほうから口を開いた。「あ。明日。十二時くらいでいいですか」
「もうちょっと早くてもいいよ」
「じゃあ十一時にします?」
「うん。二人でどっかでお昼を食べよう。なにが食べたい」
「なんでもいいです。……てこれ一番困る答え方ですよね。でも本当に、なんでもいいんです。洋食でも和食でも……」
「寿司以外がいいよね。……オムライスとか、好き?」
「好き! です……」彼女は、大きな声を出したのを恥じらっているようだ。「ええとじゃあ、明日、楽しみにしています」
「うん。おれも。じゃあな、また明日」
「おやすみなさい、遼一さん……」
「莉子。愛してる」
「え! ……と、お、おやすみなさい。遼一さん、大好きです……」
幸せな語感とともに、電話を切る。
今日という日は充実しているけど、……明日という日はなんという幸せを運んでくるものなのだろう。おれは、彼女への感情が胸に満ち満ちているうちに、ベッドに入った。昨日落ち着かなかった分までしっかり眠れた。
翌日の昼。
彼女は、淡いイエローの前開きのニットに、薄いグレーのプリーツスカートという出で立ちで現れた。……会社では常にストッキングの彼女。すべすべの素足が目に眩しい……。
近所の旨い定食屋で一緒にオムライスを食べたあとに、おれのマンションへと向かった。おれが手を繋ぐと、彼女の頬が赤らんだ。……付き合いたての女子中学生みたいな反応が、うぶで、なおさら愛おしかった……。
しかし。
おれが相手にしているのは女子中学生なんかじゃない。
「あ。駄目です、課長、こんなところで」
おれは玄関に入るやいなや。
彼女の柔らかな胸を揉みしだく。
ブラ越しでも分かる。
男を知らなかった彼女の胸は、いまやこんなに柔らかくなった。
あれだけ揉んだんだから、当然の帰結だ。それを許されているのが己一人ということに、優越感すら感じる。
食事をしているとき。膨らんだニットの胸にむしゃぶりつきたくてどうしようもなかった。
おれの手からはみだすくらいに大きな胸を、揉みしだきたくて狂いそうだった。いまや――
自由だ。
視界に小さな手が入る。おれのなすがままを許す彼女が、玄関のドアに救いを求めるように手をついた。垂れ下がる長い髪。おれは彼女の白い首が見たくて髪を退けた。真っ白な首のうしろ。場所が場所なだけに声を出さぬよう堪える彼女。後ろ姿が……どうにも、扇情的で。
たまらない。
即座に股間が怒張するのを感じる。
おれは、もっと先へと進みたい。
「あ、駄目です、課長……」首の後ろをきつく吸い。片手で彼女を揉んだまま、逆の手で素早くボタンを外していく。――おっと、と声が出そうになった。フロントホックにしたのはおれが脱がしやすいように考慮したのか、それとももともと好みなのか。
空気にさらされる、愛おしい彼女の乳房。いくら揉みまくっても足らない。前に回りこんで舐め倒したいのはやまやまだがここは堪える。
容赦なく手で強く掴む。やっぱり、直接触るのが一番だ。重力で垂れ下がるその大きさと柔らかさを、しばらく堪能する。
むにむにと柔らかいところを刺激するたび、もじもじと彼女の腰が揺れる。おそらく、本当は、彼女は乳首も触って欲しいに違いない。だがおれは敢えてここでは触らない。
それでも、着実に彼女を導いているのは事実で、彼女は感じながら首を振る。
「だめ。課長、……んん、……だめっ……」
おれの指に敏感に反応する彼女。
こんなそそられる格好をするほうが悪い。
『だめ』『課長』連発するのもなにかのAVみたいで。やばい。
おれのなすがままにされる彼女。左手を目一杯広げて彼女の両の乳房を刺激しながら、ぐったりとおれに身を任す彼女のスカートにいよいよ右手を滑りこませ、状態を確認する。
「――濡れてる」
「いやぁ……」彼女は顔を手で覆う。「駄目です、こんなとこで」
「場所を変えれば、いいの?」
こく、こく、と彼女は頷く。と、おれは彼女の膝の後ろに手を回し、抱きかかえ――
ベッドではなく、キッチンへと、運んでいく。角を曲がったので彼女が気づいたようだ。「え? え? なんで?」と頓狂な声を出す。
おれは彼女をおろすと、キッチンカウンターに手をつけさせ――再び彼女を背後から、攻める。
今度は容赦なく。
彼女は、熱くて、とても、やわらかい。おれの動きひとつひとつに敏感に反応してみせる。
この頃には彼女の固い部分を攻め始める。もう待てなかった。
彼女に恋することで我慢強い性格になった気でいたがそんな自分が瓦解してしまう。
いまのおれは彼女に夢中だ。そんな彼女が、どんどん、固くなり、柔らかくなり、神経を研ぎ澄ましていく。
素直に開いていく彼女のことが、愛おしくてたまらない……。
もっと、いろんなことをしてやりたい。
感じさせてやりたい。
「やだ。課長。こんなところじゃ、駄目……」いやいや首を振るのも。おれの暴力的なまでの愛情を加速させるだけ。
本当に嫌がってるのなら、こんなに立っちゃいない。
おれは彼女の髪をかきわけ首筋を激しく吸い上げた。「駄目! 課長!」
答える代わりに両手を駆使すると。
彼女は、軽く達したみたいだ……。
脱力し、おれの両の手に体重を預けるかたちとなる。
女を愛すると男は器用になる。
片手で持ち替え、ズボンのベルトを外し、ポケットに入っていたそれを装着し彼女のプリーツスカートをまくりあげ、ショーツを下ろし、狙いを定め――
「あっ!」彼女が、おれの意図に気づいた。「駄目、です、こんなとこじゃ……」
脱力した彼女はキッチンカウンターに頬を預けてる状況。
彼女の柔らかい肉は常におれを受け入れる。
プリーツスカートの女に後ろから挿入する事態は――
生徒会室で後ろから女を攻めた青い春をおれに思い起こさせた。
入りきるとおれは激しく彼女の唇を求めた。唇を離すと唾液が伸びる。おれはそれをたどり彼女の唇を舐めた。
糸をひく彼女の唇から恍惚とした息が漏れる。「遼一、さ……」
「答えろよ莉子。おれにどうして、欲しい」
「す、きに、して……」
その言葉で、おれはためらいもなく彼女に突き進んだ。
激しく収縮する彼女の内部。柔らかく締めつける彼女の肉。なんど聞いても愛おしい彼女の甘ったるい声。狂おしい叫び。首筋の白さ。
おれという人間の全身全霊を伝えたくて。狂おしく彼女を求めた。
行為が終わると彼女はまた達したみたいだった。言葉を出せず涙を流していた。
おれは荒い息を吐きながら繋がったまま。後ろから彼女を、抱きしめたのだった。
* * *
「か、ちょう……」
「気がついた?」寝室へと場所を変えた。意識を失った彼女を堪能、いや、介抱するべく。おれは、顔を起こし、彼女と視線を繋げたまま笑ってみせた。
「なんで。舐めてるんですか」
「舐めたくなったから」悪びれもせずにおれは答える。
「ひとが寝てる間にするなんて、たちが悪いですよ」
「でも立ってるよ、莉子」唇で挟み込んで、びぃんと引っ張ってみせると、感度の高い声を彼女はあげた。
「もう怒りますよ、本当に」しかし、彼女の声に、真の怒りは混ざっていない。
だからおれは手で彼女に触れた。
「こんな感度のいいからだ持ってるほうが、悪い」
「駄目です――あ」甲高い声をあげるのをこらえる彼女。
その姿も、なかなかそそられる……。
おれは強気な口調を意識する。
「声。出したいなら我慢しなくていいよ」
「我慢、なんか、してない、もん……」紅潮した頬。目に涙を浮かべてまで……。
『素直』になれないのならからだに訊くまでだ。おれは二人を覆っていた掛け布団をまくりあげると、彼女の足を開き、その足と足の間に、顔を突っ込んだ。
「やだ! 課長……!」彼女は両手でおれのことを押さえるのだが。もう遅い。
ところで二人とも服を着たまんまの状態だ。真っ昼間からなにやってんだか。しかしそういうのが。
セックスの、醍醐味だ。
因みに、彼女のレモン色のショーツは台所に置いてきた。
ぬめぬめとしたそこは、言葉とは裏腹に、躊躇なくおれの舌を受け入れる。びくびくと震えとても可愛い。
攻めるほどによだれを垂らし。
おれのことが欲しいと本心を、伝えてくる。彼女は――
抵抗するのを諦めたみたいだ。それはそれでちょっと、つまらない。ず、ず、と強く吸ってやると「ああ! だめぇ!」と彼女は両手をあげる。とここで。
唇を、離してみた。
股のあいだから、彼女の様子を覗き見る。顔を起こした彼女は、え、なんで? って途方に暮れた顔をしている……。
「駄目やめてってきみが言ったから」おれはけろりと答える。すると彼女は――
いきなり、泣きだした。おれは慌てて彼女の近くへと向かいその身を起こした。
腕のなかでうう、と彼女は泣いている。
「ちょっと待てよ莉子。泣くなよ」
「だ。だって課長が……いきなり。やめたり攻めたりでわけわっかんないんだもん……」
吹き出しそうになるのをおれはこらえる。
可愛い。あー食べたい。
「……ごめんな。莉子。おれは――
おまえが可愛すぎて、つい、やりすぎてしまうんだ。
許して、くれる?」
いまだ涙に濡れた目で彼女がおれを見あげた。「……許します。だからもう、中途半端な状態でほっとかないで……」
「分かった分かった」おれは笑って答える。――彼女。案外、性行為が好きみたいだ。「じゃあ、莉子。訊くけど。いまからおれがするべきなのは、クンニ、それともセックス、どっち?」
「……のあと、セックスです」
おれはわざと悪態をつく。「なに。聞こえない」
「さ、い、しょに……わたしのことを舐めて、ください。それから、……挿れて……ください」
「よし。わかった」おれは彼女の髪を撫でた。「莉子。好きなんだな、クンニ」
「い、言わないで……」あまりいじめすぎると彼女はまた殻に閉じこもってしまう。
ほてっているうちに、おれは、再び彼女に顔を近づけた。
どこまでも愛おしい、彼女のからだの一部に。
*