テラーノベル
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[3918年3月19日11時13分/3号]
[現在地:輸送機]
窓も何も無いまた無機質な空間、重力なんてあやふやだった。時々重力の制御が上手くいかずに過度な重力がかかることがある。逆もまあある。
窓もなければ任務もない。あまりにも暇すぎる。支給された慣れない”銃”という武器だ。こういうのはNRUの得意分野だろう。RCUには扱えない。
「3号何してるの?」
3号は後ろから2号の声が聞こえ振り向いた。2号は、きょとんとした顔をしている。これから偉い人達の所へ行くというのに。
「銃なんて扱えないよね〜。そこにあるのは、いつも3号が使ってる武器だよね。」
じーっと見つめて来る。そんなきこの剣が気になるのだろうか、それとも装飾品か。
「3号の剣、私のピアスと似たような装飾品つけてるね!これもクロノルビー?」
そんな話だった。やっぱりか、この人は人に関心がありすぎるあまりそうやってよく人を見てる。
「3号はさ、その剣を何のために振ってるの?」
「…わかんない。」
自分には、”守りたい家族”の思い出なんてもの何ひとつない。何のためなんて言われてもわからないと返すしかない。
先日のあの不死の異星人の件だってあるのに、この人はなんでまた呑気にいられるのだろう。
「じゃあ、2号は何のために…?」
「自分のためだよ。」
2号はさも当然かのようにいう。3号は無意識にどうしてと小さく声に洩らす。
「何か言った?」
「なんでもない。」
2号は何かを思い出したかのように立ち上がるとばいばいと言い残しその場を立ち去った。
[管理者から通信受信]
[承諾]
「こちらRCU-003です。管理者様、なにかご要件げしょうか。」
『こちら管理者番号004。RCU-002のコア反応・稼働率の確認をお願いしたい。先日確認された時のコア反応ハ89%、コア稼働率は86%だった。』
それなりにまだコア反応も稼働率も前よりは下がっていないな。それはまだ先日の話だからまだわからないのだけれども。
「了解しました。」
[通信終了]
なぜ今のタイミングでコア反応を確認を。管理者の考えることなんてよくわからないが、まぁいい。
今は2号を探すか。
[3918年3月19日11時27分/134号]
[現在地:輸送機]
「つまんなぁ〜〜い!!!なんでこの輸送機には窓ないんだよ〜!!」
「え?!マジで言ってるの?!ほんとだ!窓なァァァァァァァァアい!!!!!嫌だ!!宇宙空間見たい!!!」
133号が僕よりもやかましく騒いじゃった。この子星が好きだから宇宙空間見たかっただろうに可哀想。それを呆れた様子で130号が見てる。
133号は今日も相変わらずって感じだけどやっぱり観測都市となるとテンション上がっちゃうよね。
最初はノリ気じゃなかったけど、この2人がいるとなると僕もさすがにノリ気になっちゃうな。
「2人とも、旅行じゃないぞ。僕らは調査へ行くんだから、調査に景色は必要ない。」
「いるもん!調査1秒で終わらせてバカンスするもん!」
この2人、133号と130号がいつも一緒にいる。まぁ、僕もこの3人の仲には入ってるけど僕は調査が多いから一緒に任務なんてほとんどない。
だから嬉しいんだよね。今回の任務は、僕は1人じゃなくて3人だから嬉しい。
「130号だって!134号と一緒に任務できて嬉しいって思ってるくせにー!!!」
なんて133号が130号にしがみついてる。バカみたいで面白いというか、気に頑張ってしがみつく動物みたいだなぁ。
「133号せっかくなら130号の匂い嗅いじゃえば?」
なんて2人をからかおうとしたら133号がマジでかいじゃって130号顔真っ赤だ。おかしいなぁ。
「お菓子の匂いがする!いい匂いだ!」
「言うな馬鹿野郎!」
この2人見てて飽きないな〜。130号の照れ顔可愛いよねぇ。って僕ったら男の子にときめいてるじゃん。
僕的は、133号も可愛いけど女の子だからやっぱり気を使っちゃうんだよね。7号に似た女の子だから、繊細な僕には少し近寄り難いかな〜。
7号は女の子と言うより狼だし。なんて思ってたら3号がこの部屋、ロビーに来たっぽいね。
「どうしたの?3号」
「2号を見かけなかったか?」
3号少し様子がおかしいな。普段は眉ひとつ動かさないのに瞼が少し震えている。人はストレスが溜まると瞼が震える兆候があるらしい。
「どうした?2号と喧嘩でもした?」
「いや、違う。」
うーん、嘘は言ってないみたいだな。3号の嘘をつく時の素振りが一切見られないから喧嘩ではない。
というより、あの2人喧嘩するほどの仲でも無いよねぇ。3号も2号も本心は内側に隠すからね。
「2号は見てないかな。」
「わかった。ありがとう。」
なんて言ってどっか行ったけど、こんなん後をつけたくなるものじゃない。
「2人とも、僕用事があるからまた後でね。」
この2人は鈍感だから嘘をついてもバレることはない。なんだかんだ、この2人は人の事見てるようで見てないような子達だからねぇ〜。
いつものように誰かの後をつけ回す。普段からこういうことやってるとバレないようにするのがそれなりにうまくなる。いつもと言っても僕はストーカー行為をしている訳では無いし、命令でやってるだけだから変な勘違いはやめて頂きたいけど。
実はあの2人付き合ってるとか?そういう噂聞いたことならあるけど、皆男女の絡みだけでそういいはるなら信用はしてない噂だったけど。
3号の後をつけていたが、3号が振り返ってこちらに向かってきた。3号ったらそんなに早く気づくなんて思ってもみなかったよ。
そういえば興味本位で54号つけ回そうとした時も速攻バレたっけか。僕意外と尾行下手くそなのかな。
「134号なにしてる。全く、なんでREUの人らは人の後をつけ回す性質があるんだ。」
「3号って結構謎だし、僕は2号と3号が付き合ってるのではないか説の立証をしていたところだよ。」
嘘はついてない。同行を追うのも3号と2号が最近になって関わり始めた疑問というのもある。2人はそもそもペアになったのは最近のことだからだ。
この組織の人間関係を知っておけば、いざと言う時上手く利用できるだろうし、実際今のところいちばん気になっている。
「付き合うって、そんな関係でもないし自分にはそんな資格はないからやめてよね。」
怪訝そうな顔してるけど視線逸らしてるし、3号ってやっぱり年相応だなー。僕の方が年下なんだけどね。
「2号は今18歳ってことは、もうすぐ死んじゃうんでしょ?」
その時3号視線は斜め下へと行く。3号もわかってる通り、18歳まで生き残る者は必ず一度はあの激戦区に送られ大半の者は命を落としている。
「僕は、なんで18歳の2号に3号と組ませたのか疑問でしかないんだ。死亡が確定している2号と、これから死ぬ予定の確定した僕ら。」
「何が言いたい…?」
「僕の推測上じゃ、研究者の奴らも僕らを最初から殺す気なのか、はたまた生かす気がないのか。」
やっぱり3号は顔に出やすい。自分の信じているものに疑いの目を向けるのは、抵抗があるよね。
「気をつけてね。あと、これはただの疑問なんだけどー激戦区に行って帰還した兵士が後日不──」
「3号ー!ちょっといいー?」
僕の言葉遮るように2号が廊下の端から端まで聞こえるような大声を出す。走って3号の元へ来た。3号はやっぱり2号が来ると眉が少し柔らかくなる。
どうするか、とりあえず僕は退散しといた方がいいね。53号に聞きたいことができちゃったから。
「じゃあね〜」
134号は逃げるようにしてその場を立ち去った。
[3918年3月19日11時53分/2号]
[現在地:輸送機内観測室]
3号に呼ばれてこの部屋まで来た。どうやらここは宇宙空間が見えるらしく窓を見ると沢山の星が埋め尽くしているような幻想的な光景だった。
窓に張り付くように外を見る、うなじになにかが触れて思わず後ろを振り返る。
「なにかした?」
「うん。2号が生態記録の提出をしないから僕に提出しておけって言われたんだよ。」
てことは首にバイオタグ貼られたか。生態情報読み込むとか年頃の女に中々な扱い。これを作った研究員に今度文句でも言ってやらないと気が済まない。
別にそこまで恥ずかしいと言われたらだけど。3号がデータ化された記録をホログラム越しで見てる。
「わざわざ確認してくれてありがとね。」
「いい、最近の2号のコア反応について少し気になることがあるから。」
やっぱりコア反応や稼働率はちょっと下がってるよね。コアの反応が消失すれば後方に回される。20歳には退役か。
「私が死んだら、3号はどうなるんだろう…」
「そんな心配は任務に不要です。できればそんな想像もしたくないから消えるなら勝手に消えて…。」
3号は記録を眺めながら下を向く。その姿は、2号の目には人間らしく見えた。
「3号は一番人間らしいよ。3号ってなんだかんだ私の事好きだね〜」
なんてからかうように言ってみた。3号はムッとした顔してたけど、怒ってるふうでもない。でも、だめだよね。私は任務で死んじゃうと思うから。
「もし私が死んだらさ、3号は私を忘れられないと思うんだ。もし君が耐えられないほど私の死を気に病んだ時はこの紙を開いてみてね。」
そういい3号に鶴の形をした折り紙を渡した。3号は素直に受け取ったけど受け取る手が少し震えていた。でも、あの任務じゃ流石の私も生き残れない。
「あ、この折り紙私が死んでからじゃないと開いちゃダメだからね。わかったー?」
「わかった。でも、まず開かせないでくれよ。勝手に死なれても迷惑だ…。」
声も肩も震えてる。迷惑と言われても、それが私たちの運命で変えようのない事実。
もう少し明るい話をしよう。こんな話性にあわない。3号がまた心身的に追い詰めるのはごめんだ。
「3号は将来の夢とかある〜?」
「ない」
一瞬で話が終わってしまった。というか知らん間に確認終わってたっぽくて3号が出ようとしてた。
「待って待って待って!私のダル絡み付き合ってよ?!」
「ダル絡みに付き合う義理などない!」
そう言って3号は逃げるように部屋を出ていってしまった。やっぱりちょっと避けたがってるよね。そう思い窓の外をまじまじと眺めた。
[3918年3月19日3時00分/3号]
[現在地:観測都市の中心部]
「では観測都市合同協議会を始めます。」
周囲には3人のお偉いさんと、中央統制監督官である53号と攻撃主である2号と自分、それから最高責任者のファーストの全7人。
観測都市の政治家と向かい合わせになるように特殊核運用機関は座らされた。
少しでも反抗的な態度を取れば殺される。事前に付けられた首輪は25mA程の電流が流れるそうだ。そんなことをすれば間違いなく満身創痍でその隙にさっくりコアが破壊されるだろう。
2号がやらかしそうで心配だ。何をしでかすか分からないから困るんだよこの人は。
3号は自然と2号に視線を送り、2号に視線で「余計なことはするなよ」と言いたげだった。
「これが特殊核運用機関の兵器?ですか?随分と幼いですねぇ。」
疑いの声をあげるものがいた。だが最高責任者である管理者は動じた様子は無かった。いつにも増して毅然とした態度だった。
「こちらの2人が核体兵器か。全く惨いものだ、感情のない人形、いや道具に成り果てている。」
「こいつら本当に私たちに反抗しないのですか?もしスフェルナの奪還が成功したとしてこの兵器共はどうする予定なんです?」
否定的な者や疑問を提示する者がいた。道具などと心外なことを言ってくれるが、感情がない訳では無いことくらいわかっているだろうよ。
「君は感情はあるのかね?」
否定的なことを言っていた人が質問してきた。自分に受け答えする資格はあるのだろうかと悩んでいると隣にいた53号が肘でつついてきた。
「一応あります…。」
「あるのか。ここに来て人らしい表情を1度も出さないのは何故なんだ?」
「必要がないからです。」
なぜ自分がこんなに質問されるのだろうか。2号に視線を向けると2号も眉一つも動かしていなかった。なのに何故自分に質問が来るのだろうか。
「すまない。少し話が逸れた。で、管理者よ。スフェルナを奪還したらこの核体兵器はどうするのかもいう質問にまだ答えていなかったな。」
「それをあなた方が知ってもこちらの益にはならないので情報の開示はできません。」
「お堅いですね。それから、そこにいるRCU-002は君の言っていた失敗作ですよね?なぜ今回の会議に参加させたのでしょうか?」
「今回の会議も今後の方針についてを説明します。ですが、その中で感情についてもご説明するべくこちらの”失敗作”を配備しました。」
質問した男は疑問を浮かべたままだった。度々耳にする”失敗作”という単語が出る度2号の表情を窺うが顔色ひとつ変えず聞いていた。
3号は無意識に、眉間に皺を寄せていた。それを見た53号はまた3号をつついて「顔」とだけ言う。
「君、感情あるのか無いのかわからないやつだな。」
顔と言われ少しの気の緩みを直した途端にそんなことを言われた。なぜ今僕はあんな表情をしていたのだろうか。
どうやら53号もファーストも話に忙しいようで自分と2号はただ無言で聞いていた。何度も繰り出される”失敗作”という言葉に耳が痛くなった。
徐々に声が遠くなっていくような感覚だった。その時身体が一瞬ビリついた。
3号は反射的に「痛っ」と声を上げていた。その時、腕輪のリモコンを持っていたのは3号に質問ばかりしていた男だった。
「痛覚はしっかりあるんだな。少し触れただけで作動するのか、これ長押ししたらどうなるんだ?」
「25mA程の電流が体に流れます。どうせコアを破壊しなければ死なないので試してもよろしいですよ。」
何を言っているんだ。意味がわからない。管理者もそんなこと勝手に許可なんかして、少しはこっちの身にもなって欲しい。
「管理者様、今RCU-003に電流を流してこちら側に何の益が発生するのでしょうか。」
2号が2人の話に割り込むように意義を持たてる。管理者はなぜだかその話をした2号に喜悦を向ける。
「この腕輪の試験です。まだ使用した事がないので核体兵器は何秒程25mAの電流に耐えられるのかを。」
「であれば、失敗作である自分で試すべきではありせんか?RCU-003が、25mAという電流にが耐えられるとは思えません。RCU-003の精神状態をこれ以上悪化させる行為は合理的ではありません。自分一人で十分。RCU-003に苦痛を与える必要はないです。」
2号は冷静に見えて必死だった。けど、自分一人で十分ってことは、2号が実験台になるってことじゃん。そんなことしたら2号が危ないのに。
「2号、そんな必要は…」
「やっぱりね。今回の会議はこのお話についてする予定だったので丁度いい。いつものような会議なんてたいして変わり映えしませんですよね。そろそろ会議は終わりますし、最後に皆様にお伝えします。」
どうして誰も止めようとしないのだ。53号でさえもこれに対して否定的なことなど何も言わない。自分も、逆らえなかった。どうして逆らえないんだ。
『言うことを聞け。お前はただの道具だ。』
なんて分かりきった言葉が聞こえて喉が締め付けられるような閉じるような感覚がして声が出ない。そんなことをしている間に2号が席を立ち上がる。
3号は震えた手で2号の腕を掴んだ。2号がふと3号を見つめるがその顔にくもりはなく平然としていた。
声が出ない。恐らく今話せばしどろもどろになって余計2号は心配するだろう。
「安心して、感電ごときの痛みじゃ私という失敗作は壊れないから。」
2号はそう言って3号の掴んでいた手を掴み返し53号の方へと軽く押す。
違う違う…、違う。これは、ただの実験だ…。命を奪うものなんかじゃ…ない。だから…、悪くない…。これは任務…、だから…従うべきだ…。
見たくないと思って思わず視界の逃げ場を探し下を向く。静かな空間でボタンを押す音と次に聞こえたのはビリビリという音だけだった。
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