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『んん・・・』
一日目の深夜、私は目が覚めてしまった。
あたりは真っ暗だし二度寝しようと思っても喉が乾きすぎて寝れない。
(あーーーもう・・・仕方ない!)
(自販機行くかー・・・)
ペットボトルを飲みきってしまったことを思い出し、櫛で軽く髪をとかして部屋を出た。
(わーー真っ暗!すご!)
興奮しながら自販機に向かう。
(あったあ・・・ん?!?!)
(あっあれ・・・!赤葦さん・・・?!?!)
私は目を見開く。そこには自販機に頭をよっかからせ寝ている赤葦さん。
(な、なぜ、?!)
(とにかく起こさねば、!!!)
急いで赤葦さんに駆け寄る。
『ちょっ、赤葦さん?!』
『起きてください!なぜこうなった?!』
赤葦「・・・・・・ん、んん、」
赤葦「・・・あれ、にしかわ、?」
『大丈夫ですか?!』
赤葦「あ、ああそれが・・・」ぐぅぅぅぅぅ
『・・・ん??』
赤葦さんの声を遮る大きな腹の虫。それは目の前の赤葦さんから聞こえてきた。
赤葦「聞いての通り、お腹すいたからなんか食べようとしたんだけど」
赤葦「いつの間にか寝てたね。」
『・・・そ、そうなんですね、!!』
(この人って意外と変、?!)
赤葦「えーーとここはどこ・・・」ぐううぅぅ
『あの・・・』ぐううぅぅぅぅぅ
鳴り止まない赤葦さんお腹の音。
『あ、あのっ!』
(たしかお昼のお米余ってたはず!)
赤葦「ん?どうかした?」
『よ、よければなんか作りましょうか、?』
『おっ、おにぎりとか・・・!』
気持ち悪いだろうなと考えながらなんとか言葉を絞り出す。
意外にも赤葦さんの顔は明るくなった。
赤葦「え・・・?いいの??」 ぐうぅぅぅ
『まあ・・・下手っぴですが、!!』
赤葦「ありがとうありがとう」
赤葦「救世主命を助けていただくありがとう」
『え、あ、はい、?』
(赤葦さんよく分かんなくなってきた・・・)
若干赤葦さんに圧倒されながら、2人で食堂に行っておにぎりを握る。
『いくつ作ればいいですか?』
(赤葦さん細いし・・・多くて3個くらい?)
赤葦「あーー、じゃあ、10個・・・」
『じゅ、じゅう?!?!』
(10個て!!化け物かこの人は!!!)
(だけど真面目な顔だしなあ・・・)
赤葦「あ、ごめん多いよね。やっぱ5・・・」
『い、いえ!作ります!10個!!』
赤葦「え、いいの?ほんとにありがとう」
『下手って言わないでくださいね、!!』
赤葦「言わない言わない」
(10個も作ったことないんですけど・・・)
私は試行錯誤しながら10個のおにぎりを握り切り、赤葦さんに差し出す。
『ど、どうぞ・・・!』
赤葦「ありがとうありがとういただきます」
赤葦 「ŧ‹”ŧ‹”( ‘ч’ )ŧ‹”ŧ‹”」
(だ、大丈夫かな?!しょぱかったり、)
私は不安になって1度そっぽをむくが、やっぱり気になって赤葦さんを見る。
そこにはさっきまで普通だったのに頭を抱えてうずくまっている赤葦さんが。
『え・・・、?!ど、どうかしましたか?!』
(ま、不味すぎて・・・?!)
大焦りすると、涙目の赤葦さん。
赤葦「え、は・・・??うま・・・」
赤葦「ちょ、え??西川これ何した???」
『に、握りました、!!』
赤葦「やばいうますぎるやばい」
(あの赤葦さんの語彙力が・・・!!)
赤葦「こんな美味しいの初めて食べた、!」
『よよよよかったですー!!😭』
赤葦「あーーうますぎる・・・」
赤葦「ŧ‹”ŧ‹”( ‘ч’ )ŧ‹”ŧ‹”」
(なんか・・・食べるのはやくない??)
あっという間におにぎり10個を完食してしまった赤葦さん。やっぱり化け物。
赤葦「すごく美味しかった・・・最高。」
『そんなですか!!笑』
赤葦「これ絶対お店出した方がいいようん。売れるね。俺が売れさす。」
『お、落ち着いてください!!』
(面白いな赤葦さん、!)
赤葦「・・・・・・よし、落ち着いたよ。」
赤葦「ところで俺ね、赤葦京治って言うんだよね。」
赤葦さんは真顔で私に言う。うん知ってる。
『し・・・知ってますけど、』
赤葦「”けいじ”って言うのね。俺の名前。」
『そうですね・・・?』
赤葦「・・・俺、名前で呼ばれるの好きなんだよね。」
(つ、ついに開き直った・・・!)
赤葦「だから京治さんって呼んで?」
『えっぇ?!それはちょっと、!』
(親しくしたもらえるのは嬉しいけど!!)
(今日あった人を名前呼びはレベル高すぎて私は無理・・・!!)
私が拒否すると、にやっと笑う赤葦さん。
赤葦「俺のお願い、聞いてくれるんでしょ?」
赤葦「じゃ、ほら、京治さんって」
『う・・・』
(そういえばそんなこと言っちゃった・・・)
(だってあの時はまともな人だと思ってたんだもん!本当はこれだけど!!)
赤葦「俺は超頑固だよ。諦めて。」
『じっ、自分で言うんですかそれ?!』
赤葦「・・・・・・」 『うぅ・・・』
(し、仕方ない・・・か、)
私は耳をすごく熱くしながら覚悟を決めて口を開いた。
『けっ・・・京治さんっ、!』
赤葦「っはーーー・・・・・・」 『え、え??』
赤葦さんはまたもうずくまってしまう。
赤葦「はーー、むり・・・」
(もうこの人やだーーっ!!😭)
様子のおかしい赤葦さんに諦めていると、突然すっと元に戻った。
(え、怖・・・急にいつも通り・・・)
赤葦「・・・ゆりさんって、彼氏いたことある?」
『か、彼氏ですか・・・?!』
(なんか私まで名前呼びになった・・・)
『あ、ありません・・・!!』
赤葦「・・・!そっか。じゃあ付き合ったりしたいなーって思ったりする?」
『そ、そうですねー・・・』
私は黙ってよーーーく考え、口を開く。
『・・・・・・付き合ったりするのはすごく素敵だとよく思うんですけど、』 「けど?」
『付き合ったら・・・お別れしかないのがすごく寂しいし悲しいです、』
赤葦「あーー、なるほど。・・・ん?でもさ、」
赤葦「結婚すればいいんだよ?」
さも当たり前のことのようにいう赤葦さんに私は衝撃を受けた。
(そ、それもそーじゃん!!!!!)
『そっそうです!ね!!』
『かっ、かんっぜんに忘れてました!!ありがとうございます!!』
赤葦「うん。笑」
赤葦「俺は付き合ったら結婚したいな。」
『ふふ、素敵ですね!』
『・・・あ、そろそろ寝ないとやばいですよ!』
赤葦「ん、ほんとだね。」
私が部屋に戻ろうと立ち上がると、赤葦さんに呼び止められる。
赤葦「送ってくよ。危ないし。」
『え!ありがとうございます!!』
(様子はおかしいけど優しいなー!)
2人で雑談をしながら部屋に着く。私振り向いて赤葦さんにお辞儀をした。
『ほんとにありがとうございました!』
赤葦「いやいや俺こそ。」
赤葦「命を助けられたよ。ありがとう」
『ふふ、いいんですよ!おやすみなさい!』
赤葦「うん、おやすみ。」 ・・・ガチャ
私は赤葦さんと別れを告げ布団に入る。
(あー、喉の渇きも癒えたし!)
(京治さんと仲良くなれたし、!今日はよく眠れそうー・・・!)
赤葦さんの優しく落ち着いた声を思い出していると、私は寝てしまった。
東京合宿2日目のお昼頃、私は谷地さんと選手の記録をとっていた。そこで事件は起きる。
<ピッ> 木兎「ヘイヘイヘーイ!!」
(・・・木兎さんはやっぱすごいなー!)
(どんどん点数決めてる!)
私が梟谷の試合を見ていると、視界の端にものすごい勢いのボールが通っていく。
(ん?・・・あ、やばっ、)
ボールが飛んでいく方向には谷地さん。
私は全力で谷地さんへ走り、前に出てコケてころがった。それと同時にドンッと言う激しい音で私の顔面にボールが当たる。
谷地「えっ?!」
『っ・・・!谷地さん大丈夫?!』
(間に合った・・・!!)
西谷(ろ、ローリングサンダーだ、!!)
谷地「え、え?西川さん?!すすみません!」
焦る谷地さんに、私は落ち着かせるようにっこり笑って立ち上がる。
谷地「私が不甲斐ないばかりに・・・!」
『いやいや!大丈夫だよ!』
(ちょっと痛いけど、何ともないし!)
木兎「ににににしかわぁ!!😭」
木兎「ごめん!!!ほんとに!!!」
(あ、さっきのボールは木兎さんのだったのか。どうりで痛いわけ!)
『はは、だいじょ・・・』
ポタッ
木兎さんに振り向いた途端、私の足元から水音がした。
(? なんだろう?)
ポタポタッ ボタッ
下を見てみると、私のシャツは血が。
ポタッ
(あ・・・これ、この音、私の鼻血の音か・・・)
(まあ鼻血くらい・・・)
(・・・・・・あれ、)
私の予想と裏腹に、鼻血は出続ける。
どんどん水っぽく、量が増え、赤くなる。
ボタッ ボタボタッ
(・・・あれ?なんか、みんな喋ってる?)
赤葦「ーーーー!」 菅原「ーー!ー!」
木兎「ーーー?!ーー!!」
谷地「ーーー!ーーー!」
どんどん水音が鈍くなっていく中、ある違和感に気づく。みんなの声が聞こえない。
みんな私に向かって青ざめながら口を開いているが、全く声が聞こえないのだ。
(すごく、静か・・・)
(なんか、痛くないんだけどな、なんだろ)
『頭がぽやぽやするな、』
ポタッ ボタタッ
(あー、ぼーっとする、)
(なーんも考えらんないなー・・・)
『あ、』
ぼーっとみんなを眺めていると、足に力が入らなくなり後ろによろけた。
しかし、不思議と痛くない。
(ん、このジャージと大きさ、黒尾さん、)
どうやら黒尾さんが受け止めてくれたらしい。
ポタッ
(あ、今血で汚いや、後で謝ろう、)
(なんかあったかいなー・・・)
いつの間にか、私は寝ていた。
黒尾「・・・っ!ーいっ!」
(ん、なんか聞こえる。黒尾さん?)
黒尾「おいっ!西川!!!」
『ん・・・・・・?』
黒尾「! 起きたぞ!!」 「「 !! 」」
黒尾さんの大きな声で目を覚ますと、周りにはみんなが立っていた。
『えっぇ?!どういう状況ですか?!!』
私が混乱して大声を出すと、目の前の夜久さんが口を開く。
夜久「バカ!!わかってないのか?!」
夜久「お前貧血で数秒気ィ失ってたんだぞ!このバカ!!!!」
(信じられないほどバカって言われた・・・)
『な、なんで涙目なんですか?!』
『かっこいいですけど!!』
周りのみんなを見ると、ほんとに青ざめていたり涙目だったり。
日向「にっ、にしかわぁー!!😭」
日向「よがっだ!!俺にしかわが死んじゃったと思っで・・・!!😭」
影山「ボケ!今そういうこと言うな!」
(うおっ?!日向めっちゃ泣いてる!!)
『ご、ごめんよ日向!平気だから!』
私が焦りながら日向の頭に手を置くと、後ろから頭にデコピンされる。
黒尾「平気なわけないですー!」
『いてっ、黒尾さん!!💢』
黒尾「・・・怒りたいのはこっちだバカ!!心配させやがって!!自分の身ぃ守れ!!💢」
『えぅ、はぃ・・・す、すみません・・・』
いつもはなんだかんだ優しく余裕のある黒尾さんが、焦った表情で私に怒号を飛ばす。急いで謝ると、夜久さんが黒尾さんのほほを軽く殴った。
黒尾「ぼへぇっ!」
(ん?え??なぜに?)
夜久「怒りすぎだバカ。」
夜久「西川だって悪気があるわけねぇし、人を守ったんだから褒めるんだよ。」
黒尾「お前もさっき怒ってただろ!💢」
夜久「おめぇは威圧感がすげぇんだわ!💢」
夜久「ま・・・ありがとな、西川!」
さっきまでの涙を忘れるほど明るい笑顔で私の頭を撫でる夜久さん。
『・・・ふふ、いえいえ!』
(あぁ、やっぱかっこいいなー!!)
(夜久さん大好き!)
谷地「ちっ、治療箱持ってきました!」
『おー谷地さん!元気?!笑』
谷地「す、・・・すすすすすみません!!!」
谷地「切腹して足りますか!!!」
『あ、違う違うそういう事じゃないよー💦』
(無事そうでよかった・・・!)
そこから私は、色んな人に怒られたりしながら治療を始めた。
終わり.