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ヴルキューレ警察学校
ヴァルキューレの敷地内で、もはや廃屋となった建物に1人の少女が入っていく。彼女は突然失踪した同期、合歓垣フブキを探索しにやってきた。
キリノ「フブキ..こんな時にまでどこで何をしているのでしょうか…」
護身用の銃をホルダーに入れながら建物の奥へ進んだその時。
キリノ「ッ!…フブキ、居るんですか?」
キリノがライトを付け荒れた部屋を見渡す。そこにはフブキも感染者も居なかった。
キリノ「気のせい..でしょうか?」
彼女は捜索を続け、ついには地下へ繋がる階段を降りた。
キリノ「ぅっ…何でしょうかこの匂い…生臭いような…」
地下室へ降りた途端鼻を突く刺激臭がした。
キリノ「更に臭いが強く…臭いの原因は何でしょうか..」
警戒を怠らず奥へ進む。すると…奥の薄暗い部屋に人影が一瞬見えた。
キリノ「っ!!フブキですか!?そうなら返事を下さい..!」
しかし気付けば人影は消え、どこかへ進んで行った。
キリノ「聞こえなかった..のでしょうか?いやしかし…わざわざこの空間に来てまで彼女がサボるとは…」
更に警戒をしながら、人影の消えた方向へ進む。その時、1番奥の部屋に着いたのか、行き止まりであった。
キリノ「…?行き止まり、ですか…確かにこっちへ何かが…例の感染者の可用性もありますし..」
しかし部屋の隅の床には布が掛かっており、それを捲ろうとした時…
なんと入口からフブキが現れたのだ。
キリノ「ふ、フブキ!?今までどこに…ここも少しすれば感染者がやってくるかもしれません、早く戻りましょう!」
キリノはフブキの手を取り素早く引き返そうとしたところ先程の布に引っかかり転んでしまった。
キリノ「痛たた…全く、誰がこんな所に…」
キリノが踏んだ衝撃で布が捲れ、中身が現れた。その中身は赤黒く、元々何だったのか分からない肉塊の様なものだった。
キリノ「うわっ..!?な、何ですかこれ..!?..肉塊..?まさか、市民の方々の…っ…ん..?」
キリノが肉塊に隠れた鉄製の物を布で引っ張り出すと、それは自分と同じくヴァルキューレから支給されたライフルだった。」
キリノ「これ…ヴァルキューレの….?」
キリノが血に塗れた銃を観察しているとある事に気付いた。フブキは今銃を持っていないのだ。
キリノ「フブキ…銃はどうしたのですか?」
その時、キリノは見つけた。見つけてしまった。地面に転がる肉塊の中から半分飛び出す
キリノ「..ぇっ…こ、れ…フブ..キ…?」
頭が真っ白になり、先程合流したはずのフブキの方へ振り返る。そこにはフブキの形を僅かに保った「感染者」が立っていた。
キリノ「こ..れ…フブ、キの..うっ」
目の前にいる人物がフブキではない事実。そして地面に転がる肉塊の正体が本物のフブキ、いや「フブキだったもの」と言う事実が彼女の吐き気を催す。キリノは胃液を吐き、近付く化け物から走り逃げる。
キリノ「ぅうっ..ぉぇぇっ..!!」
パニック、迫り上げる吐瀉物、先程のフブキの肉塊、迫り来る死。その恐怖は無論言葉で表せる物なんかではなく、過呼吸を引き起こしながら行き止まりの部屋へ着いてしまう。
キリノ「ぅっ..ぅぇっ…こ、来ないでください..い、嫌…嫌..!!」
キリノが拳銃を乱射する。当然効くことはなく、感染者が急突進する。
数分後
床には新たな肉塊が広がっていた。
キリノをフブキの捜索に向かわせて早数時間。全く帰ってくる気配がない、いやむしろ…直観的な嫌な予感がした。自身の銃と消費品を持ち、防具を付けヴァルキューレを出る。
カンナ「っ…あいつら..頼むから無事でいてくれ..」
フブキの行方が途絶えた建物に入る。ライトを付け、いつでも化け物の喉元を掻き切れる様コンバットナイフを腰に入れ、銃はしっかり両手に抱え建物の中を探索していく。そこで床に落ちる..ミンチ肉の様な物が目に入る。これは…
カンナ「まさか..な。」
今頃はヴァルキューレにフブキと共に帰っているのであろう。冷静にスマホからキリノのスマホに電話をかける。
目の前の肉塊のカバンの中から着信音が鳴る。辺りを警戒しながらカバンを開け、取り乱しながらも又冷静に、カバンを漁る。そこからキリノの携帯、そしてハンドガンも血塗れで床に転がっていた。
カンナ「…クソッッ…クソっ…!!!」
心の底から沸く化け物への怒り、部下であり後輩の2人を失った感情をぶつけようにもぶつける場所がない。無機質な部屋には、壁と血と肉塊。吐き気は堪えたが当然平静は装えない。
カンナ「肝心の..フブキが..いるかもしれん..っ…」
急いで地下へ向かい探索を始める。地下室に同様、肉塊が転がっていた。その正体を分かりたくないのに、一類の希望を持ち漁る。これはフブキだ。肉塊から名札が出ている。あっけなく希望は砕かれた。既にキリノを失ったと分かった時点で限界だった。なのに。なのに自分はこう勝手な希望をもってフブキを探す。何故私はいつもこうなのか。こうなると涙でもなく乾いた笑いがこみ上げる。
カンナ「はっ、はは…何を私は無駄な事を。既に市民は救えたじゃないか。やる事は出来たんだろう?」直後部屋の外から1人、いや「一匹」の感染者が飛び出る。全身に血を纏い、報告されているような感染者より一回り大きく動きも素早い。今となってはこの化け物が元市民だろうが関係ない。コイツは何人も蟻を踏み潰すように二人を酷く殺したのだ。今更何をしようが人間では無い。殺す。私が死のうとどうなってもいい。目の前の怪物を殺す、その勢いで私は億さず突っ込む。
カンナ「死ねッッ!!!」
まずは喉元をナイフで斬る。効く様子はない。これくらいで死なれては困る。その一心で次の攻撃へ繋ごうとする。が..
カンナ「ッ..!!ぐっ..ぁぁ..」
左腕を見えない速度でもがれた。しかし止まらない。いや止まれない。
カンナ「その脳髄を撒き散らせ。」
残った片腕で部屋に数個の閃光手榴弾を放り込む。人を喰らう事くらいしか頭にないであろうコイツの目を潰し、口に炸裂弾を放り込む。感染者の頭が光り首から上が弾き飛ぶ。終わったと思った。その瞬間、化け物の腕の様な形をした物がこちらの腹を目掛けて飛んでくる。避ける事など出来なかった。
カンナ「グゥッッ..!!!」
腹を貫通された。抵抗虚しく倒れる私に、化け物がトドメを刺すかのように足がミキサーの様に回転し迫る。
カンナ「お前も死ぬ..んだ…」
銃を脚に乱射する。当然怯まない、が狙いはこれでない。導火線に火をつけ、感染者の足元目掛けて投げる。切り札として取っておいた圧縮された爆弾だ。化け物は壁に吹き飛び倒れる。私も爆風で意識が飛びかける。
カンナ「ト…ド…メだ….」
火炎瓶を投げつける..力もないが感染者に引火した。キャンプファイヤーの様にパチパチと感染者の全身が火に包まれ、動かなくなる。
カンナ「勝….ぞ…..」
腹の風穴で声が出ない。目の前が暗くなるのではなく、寝起きのようにぼやける。
カンナ「向こうで…会お….フブ….キ..リ…ノ…先….」
報告書
死亡2名
重傷者0名
行方不明0名
不明 1名
合歓垣フブキ
生活安全局と共に市民を逃し、その後何かを追う為だろうか、建物に入り、探索中感染者により下半身をミンチにされ、そのまま動けなく全身を圧縮され、死亡。
中務キリノ
市民を避難させたあとフブキの行方を追い建物へ。そこでフブキと思わしき人物と会ったが本物のフブキは既に圧縮され死亡されており、それを悟って立ち向かい逃げるが運悪く行き止まり。最後はフブキ同様ミンチにされ死亡。
尾刃カンナ
フブキの捜索をキリノに頼んだが2人とも帰ってこなく、武装し建物へ乗り込む。そのご二人の遺体を目にし、報告よりも復讐を優先。通常とは異なり耐久性も更に高く、攻撃力も高い
「変異型感染者」を腹に穴をあけられながらも感染者を討伐、殺害。その後満身創痍で動けなく、視界もぼやけるが…死亡したかは不明。
以上3名
コメント
5件
「その脳髄を撒き散らせ」 くぅ~カンナカッコヨスギル! フブキの志望確認シーンが感染者系の漫画の絶望展開過ぎて凄く好きだわぁ ただ…推しが生死不明なのがなぁ…復活できるかなぁ? 復活出来ても障害おってたりそもそも片腕消し飛んでるしなぁ これって多分すべてのグループとかが出てくるだろうしノゾミの死とかも身構えとかなきゃ行けないや…(自分で二次創作の二次創作として描くのも有りな気がしてきた) ヴァルキューレの崩壊で治安が壊れちまうよぉ… 長文失礼しましたわ