💚💙の世界線
水族館デートの次の日の朝、俺の上で目覚めた翔太に、おはよう、と声をかければ、寝ぼけた頭が徐々に覚醒して、状況を把握するにつれて顔が真っ赤に染まっていった「え、うわ!ご、ごめん!なんで!?いや、それより重かったよね、ほんとごめん!もしかして、一晩中?うわ、ほんとごめん!迷惑かけて!あ、お、俺帰るね!あ!あの、ありがとう昨日は!あの、楽しかった!えと、とにかくごめん!お邪魔しました!」
そう早口で捲し立てると、引き止める間もなく、嵐のようにして慌てて帰って行ってしまった
家に着いたであろう頃に、ご丁寧にメッセージが来ていた
【あべちゃんをベッドにしてしまってごめんなさい。ちゃんとしたお礼もせずに出てきてしまったのもごめん。
昨日はありがとう。お世話になりました。
水族館もとっても楽しかったです。また行きたいな】
家に着いてから気持ちが落ち着いて、慌ただしく出てきてしまったことに焦ったのだろうが、俺としては、また行きたい、の一言があっただけで自然と口角があがる
【俺も楽しかったから、気にしないで。また2人で遊びに行こう】
その後、仕事で会った翔太は、しどろもどろになりながら話しかけてきて、その少し緊張しているような様子に、ちょっと期待してしまう
「あ、あべちゃん、あの、この前は、ありがとね。でも、その、色々とごめん……」
「こちらこそ。俺はすごく楽しかったよ」
「お、おれも!……たのしかった」
「翔太、またいつでも遊びにおいでね」
「え!あ、うん、、、いいの?」
「もちろん。それにまた遊びに行こう」
「う、うん!…………へへ」
最後には可愛らしくはにかんでる顔も見れて、気分が勝手に舞い上がっていく
思わず頭を撫でたけど、珍しく嫌がられなかった
慎重に行かなきゃという理性的な自分と、もしかしてと浮き足立つ自分とが、頭の中で戦いを繰り広げている
ある日の夕方、翔太からメッセージが届いた
【5分でいいから会えない?家に行ってもいい?】
仕事も終わって家でゆっくり過ごしていた俺はすぐに返事する
【大丈夫だよ。用事も特にないから、5分と言わずいくらでも】
【じゃあ行くね】
なんだろうと思いながらも、一応、部屋が汚くないかとか、冷蔵庫に食材はあったかなとか、確認しながら翔太を待つと、30分ほどでインターホンが鳴った
「これ、あべちゃんにあげる。アガパンサスっていうお花なんだって」
少し顔を赤らめながら、後ろ手に持っていた花束を差し出してきた
綺麗な青紫と白の花が束ねられている
「え、ありがとう。でも急だね」
「渡したくなって。キレイな青でしょ?今日はそれだけ。じゃあね」
「あ、ちょっと、翔太!」
口早にそれだけ言うと、引き止めようとする俺にも構わず、翔太はさっさと帰ってしまった
仕方がないので、ひとまずお礼のメッセージを送る
【キレイなお花ありがとう】
すぐに既読がついたものの返信がない
萎れる前にと、もらったキレイな青い花を花瓶に生けていたら通知音が鳴った
【花が枯れるまでにお返事ください】
手が離せなかったのでロック画面に表示される通知だけで内容を確認すると、10秒ほどで送信取消しされて、代わりに
【どういたしまして】
というメッセージが送られてきた
(………ほんと、かわいいことするよね)
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