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#独占欲
#ワンナイトラブ
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これはリリアンナにとって幸せなこと? それとも…?
「……ランディ、お願い、聞いて……っ」
掠れた声が、震えながら零れる。
押し倒されたまま、それでもリリアンナは必死に首を振った。
「私……あなたから逃げたいわけじゃ、ない……っ」
その言葉に、ランディリックの動きがわずかに止まる。
「……ランディを、守りたいの……!」
「僕を……守りたい? どういう意味だ?」
ランディリックがリリアンナを組み伏せたまま問えば、途切れ途切れの呼吸の中で、リリアンナが懸命に言葉を絞り出す。
「もし……戦争になれば……ニンルシーラが……いちばん、危ないって……アレクト殿下がっ」
リリアンナは、まるで口にするのも恐ろしいかのように、ぎゅっと瞼を閉じた。
恐らく彼女の脳裏に浮かんでいるのは、この城で過ごした穏やかな日々。この地に生きる人々の顔。そして、その中心にいるのはランディリックの姿なんだろう。
「アレクト殿下は……、私が行けば……大丈夫だって……」
ランディリックを真っ向から見上げたまま、リリアンナの声が崩れる。
「ランディや……みんなを、守れるって……」
ぽろぽろと涙をこぼしながら告げられる、リリアンナの悲痛な叫び。
「私だって……ホントは……ホントは、ずっとランディのそばにいたい……っ。いつかウールウォード伯爵家を継がないといけないとしても……その時までは……みんなと離れたく、ないっ。そう思ってた!」
その一言に、室内の空気が凝固した。
ランディリックは、しばらく何も言わなかった。ただ、リリアンナを見下ろしたまま――その瞳の奥で、昏い何かが猛烈に波打つ。
「……はは」
やがて、低く掠れた笑いが落ちた。
「……なるほどね」
指先が、リリアンナの濡れた頬をなぞる。
自分を想ってくれているという歓喜。だがそれ以上に、彼女が自分を「守られるべき弱者」として天秤にかけたことへの、言いようのない苛立ちが押し寄せる。
「キミは……僕を守るために、他の男のもとへ行こうとしてたって言うんだね?」
言葉の端が、傲慢に歪む。
「――ずいぶんと、舐められたものだ」
リリアンナが息を呑む。
「そんな理由で……僕がキミを手放せると思ったのかい?」
声が、深淵の底へと沈んでいく。
「……っ、でも……!」
リリアンナは必死に首を振った。
「あなたが……死ぬかもしれない未来なんて、私……っ、選べない……!」
涙に濡れた瞳が、破滅的な献身を訴える。
「私が行けば……未来永劫戦わなくて済むのよ? それなら……そっちの方が絶対にいい……っ!」
その言葉を、ランディリックは静かに、だが冷徹に聞き届けた。
そして――。
「……僕は、嫌だ」
きっぱりと、断じる。
「キミを失うくらいなら、戦争になる未来の方が何億倍もマシだ」
「な……っ」
言葉を失うリリアンナを釘付けにし、ランディリックは淡々と続けた。
「この地の辺境伯へ任じられた時から、命を賭ける覚悟くらい、とうにできている」
一切の迷いはない。
「城の皆も同じだ――」
「……やめて……っ」
リリアンナは首を振る。
「そんなの、許されるわけない……! 私が、私が我慢さえすれば――」
言い募ろうとするリリアンナを封じるように、ランディリックは彼女の細い体をベッドへと圧しつけた。
「……もういい」
覆いかぶさったまま、彼女の耳元に死神のような甘さで囁きかける。
それは、この不毛な問答を一方的に切り捨てるための声音だった。
「……それ以上は、聞きたくない」
リリアンナを押さえつける腕に、非情な力がこもる。
「キミの愚かな選択なんて、僕にはどうでもいいことだ」
リリアンナの呼吸が、絶望に止まる。
「――リリー、キミは黙って僕のそばにいろ」
抗おうとする肢体を取り押さえ、ランディリックの唇が彼女の白い首筋へと吸い寄せられた。
チクリとした鋭い痛みに、リリアンナが怯えたように身を竦ませる。その柔らかな肌に、消えることのない所有痕を深く、深く刻み込んだ。
逃げ場など、最初から与えるつもりはない。
「リリー、愛してる。何も考えずに僕のものになるんだ」
狂おしい熱を孕んだ告白とともに、彼女の身を包んでいた夜着を無慈悲に剥ぎ取る。
露わにされた無垢な双丘を隠そうと、リリアンナが必死に身をよじらせるが、ランディリックはそのすべてを力ずくで組み伏せ、蹂躙していった。
***