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21 - 第21話キスから始まる予行練習

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2025年07月05日

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“智さんの前で お前を抱く“


聞き違いだろうか‥

いや、ハッキリとそう言った‥



「ちょっ、ちょっと待って!なんで俺が抱かれるん?」


「あ?なんでって‥。俺、祐希さんは抱けないもん」


「そうなんや、良かった‥ってちゃう!なんで、抱かれなあかんの!?お仕置きなんやろ?関係ないやん!」


身を乗り出して反発する。そもそも祐希さん以外に抱かれる気など毛頭ない。


しかし、そんな俺をジロリと睨み上げる視線に反射的に身体がビクつく。


「は?関係ない‥?そもそもさ、藍も早く俺に教えりゃ良かったんだよ。智さんが祐希さんの家に行くって告げた日に教えてくれてたら‥」


「そ、そんな‥」


今更タラレバの話をしても意味がないのに。


「あの日、智さんが祐希さんに会わなかったらこんな事になってないじゃん?まぁ、色々考えると、藍も悪いって事になるから、協力は必須なわけ。分かるだろ?」


無茶苦茶な論理にも程がある。しかし、反論出来ない。確かに、あの時、智さんの事を伝えることは出来たはずなのに、俺はそれをしなかった。自分の事で精一杯だったから。



でも、それでも抱かれるとなると話は別だ!


それに‥


「それは分かるけど‥そんなん、智さんが可哀想やん!目の前で恋人が他の人を抱くところ見せられるなんて‥OKするわけないやろ!」


「あっ、そこは大丈夫!智さんに話したら、二つ返事でOKしてくれたよ♪」


「なんでやねん!!!」


揃いも揃ってアホなんじゃないか。なんで二つ返事なんだよ‥。


「とにかく、嫌なもんな嫌やから!そこはなんて言われても譲れん!」


声を荒げながら、馬鹿げた提案を却下した。すると‥テーブル越しに座る小川さんが、そんな俺を見ながら深い溜息を吐く。



「そっか、藍は嫌か。なら仕方ない、祐希さんに代わりにやってもらうしかないな‥」


「えっ?なっ、なんで?」


「藍は嫌なんだろ?それじゃあ、智さんのお仕置きにならないじゃん‥祐希さん抱けるか分かんないけど‥うん、祐希さんにしよう!案外そっちの方が智さんへのお仕置きになるだろうし‥」


口角を上げながらニヤリと笑う。嫌な含み笑い。


「だ、ダメ!祐希さんはあかん!それに祐希さんが了承するわけないやん、」


「藍、祐希さんはすぐに了承するよ。だって、祐希さんには負い目があるじゃん?未遂とはいえ、人の恋人に手を出したんだから。それをネタに揺すれば、祐希さんはきっと了承するはず。まぁ、俺が”傷付いた、責任取ってくださいよ“って泣きつけばきっとね、笑。あの人、無駄に責任感強いからさ、」



「そんな‥」


絶対にないと言いたいところだが、祐希さんの事だ。小川さんに責められたら、きっと素直にこの提案を受け入れるだろう。


自分を責めていたから、。

胸の鼓動が激しくなる。

祐希さんが小川さんに抱かれる‥?



絶対に嫌や!死んでも嫌!!


自分よりも激しい嫌悪感が襲う。だから‥携帯を触り始めた小川さんの腕にしがみつく。


「うわっ!なに?びっくりするじゃん!」


「祐希さんに連絡する‥ん?」


「当たり前じゃん、善は急げ、だろ?」


「‥ぐすっ、嫌や、祐希さんだけはやめて‥」


「はぁ。お前も嫌、祐希さんもダメって‥じゃあどうすんの!?」



最早、涙目になる俺を見ても、小川さんの態度は変わらない。少々、うんざりしたような目で見つめられる。


そして、沈黙‥。

嫌な沈黙。



‥先に折れたのは‥





俺の方だった。



「‥やる‥」


「えっ?なぁに?」


「‥おれ‥やる‥やるから‥ぐすっ、祐希さん‥ダメやからね‥」


涙目どころじゃない。不覚にも涙を一雫、零す俺を見て、途端に小川さんの態度が豹変する。


「藍♡お前引き受けてくれるの?サンキュー♡」


そのままギュッとハグされると、子供のように抱き締められ、頭を撫でられる。



「泣くなよ、大丈夫、お仕置きは、一回だけだから。なっ?2人で智さんにお仕置きしよ♡」


語尾にハートマークがつきそうな言い方に思わず眉を寄せるが‥仕方ない。ここは素直にコクンと頷くのが賢明だ。




(はぁ‥良かった‥おれ、お前じゃないとダメだったんだよね‥)



「えっ?いま、なんか言うた?」


「ううん、なんにも♡」


小さくつぶやいた小川さんの言葉が聴き取れず、気になったが‥いくら聞いても教えてはくれなかった。







「さぁ♡藍、とりあえずキスしよっか?」


「はっ?」


話が一段落し、そろそろ帰ろうかと時計を見ていると、不意に小川さんが嬉しそうに催促する。



「なっ、なんで、キスせないかんの?」


「なんでって、俺に抱かれるって言っただろ?その為にはお前と体の相性良くなってないとダメじゃん?本番で思いっきり感じて貰わねぇと、意味ないしっ!」


「なっ///そんなんあかんやろ?智さんもおらんのにキスなんて‥これこそ浮気になると思う、」


いくらお仕置きという名目があっても、智さんがいない所での行為には流石に‥。というか、そもそもキスしたいなんて思ってもいないのだから。



「大丈夫♡それも智さんに確認済みだからっ」


心配はいらないさとウィンクをする表情に開いた口が塞がらない。智さんも、どうかしてる。


「本番迎える為にはなんでも練習って必要だろ?それと一緒じゃん、」


「いや‥それとはまた‥別な‥」


「藍!!」


モゴモゴと口答えする俺に対し、急に強く名前を呼ばれ‥身体が硬直してしまう。



「もう抱かれるって決めたろ?それでも嫌なら‥仕方ない、祐希さんに‥」

「わぁ!!わかった、わかったから!」


すぐに祐希さんの名前を出す小憎らしい口を慌てて両手で塞ぐ。その名前を出されたら、もう従うしかない。



覚悟を決めて、小川さんと視線を交わす‥が、

思いの外、真剣に見つめられてしまい、避けるかのように瞳をギュッと閉じる。すると、


「藍‥ちゃんと目を見て、」


ふわりと頬を撫でられ、呟かれ‥沈黙。

その時ふと、また祐希さんの名前を出しかねないと思い、おそるおそる瞳を開けた。



そこには、


俺を見て優しく微笑む小川さんの顔。なんでこんな顔してるんやろ‥お仕置きの一環のキスをするだけやのに‥



不思議に思う俺の顔にゆっくりと近づき‥唇に小川さんの温かさが伝わる。


“ちゅっ、ちゅっ、“


と、軽く唇が触れるだけのキスを幾度となく施され‥


リップ音だけが、やけに妖しく部屋中に響く。


目を見て、と言われたので開眼したままだったが、あまりにも凝視されながらのキスのせいで居心地が悪い。おかげでつい視線をフッと逸らしてしまう。



その瞬間、狙っていたのか小川さんの舌が急に唇を割り中に入り込む。


「ん!?ん、、、?ふっ‥」


驚く俺の声をそのまま吸い込むように‥熱い舌が口腔内を弄る。堪らず両手で小川さんの腕を掴むが、気にすることなく舌先が動き回る。


ぴちゃ‥。角度を変えるたびに卑猥な音が時折鳴り、お互いの唾液が混じり合う。


祐希さんも相当しつこいキスをするが‥小川さんも同類みたいだ。息苦しくなり逃げようとすると、さらに深く口づけてくる。

そして、激しくはないが‥ぬるりと口腔内の至る所を時間をかけて舐められる。


薄くなる酸素の中、頭がぼーっとなり、涙が溢れ落ちる時になって‥



ようやく解放された。



一体何分キスされてたんやろか‥。



時計を見るのも怖いぐらいだ。



しかし、これで終わった‥。ホッとしながら、目尻を拭い、ようやく一息つけると力を緩めた時‥




「藍、キスはこれでOK!今度はまた別の事しようね♡」



「はっ?」



「キスだけで終わるわけないじゃん!藍はバカなの?笑」




‥バカって言うん3回目やな‥。



あまりの事にどうでもいい事に気が向いてしまう。


このお仕置き‥


引き受けるんじゃなかったと激しく後悔するも‥


後の祭りでしかない。



お互いの唾液で濡れる唇をペロリと舐めながら薄く笑う小川さんをただ、眺めるしか出来なかった。

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コメント

8

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待ってくれぇぇぇ! え?小川くんって攻めも行けるのか…新しい扉開いてしまった、小悪魔的な感じ最高じゃんか、 小川×藍最高だけど石川くんと藍くんの間にまたすれ違いがぁ😭どうなってしまうんだぁぁ!

ユーザー

最近やっといいねの付け方が解りました!(今更w)泣きながら祐希さんはダメ…とか言われたらもっと苛めたくなっちゃいますね😇祐希さんも智さんも乱入して4Pもええな~、やっぱり祐希さんがいい!って泣いちゃう藍くんもさぞ可愛かろうと思ってる私はもう病気ですね(笑) 続き楽しみにしてます!

ユーザー

はい、あの、うん、尊いからやめて? 藍君、もっっといじめられて? うん、祐希さんやってる最中に乱入して3Pしてー?TO☆U☆TO☆ってなっちゃう🥺

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