コメント
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🤭フフフ 涼さんに話したのが何か嬉しいよ、オバチャンは。涼さんもヤバいと言いつつ嬉しがってる🤣
😂涼さま!やべぇよね😂 ヒソヒソ「オムネもキニナッテル」 尊さんのこの気持ちが満足できそうなアドバイスを宜しくです〜😂
年明けになってから、俺は速水家の周囲をグルリと歩き『なるほど、豪邸だな』と思って東京に戻った。
本当ならもっと、速水家に複雑な感情を持っていたはずだった。
だが朱里とパンチの効いた出会いをしたため、速水家への興味が薄れたようだ。
東京に戻ったあとまた大学に通い、様々な感情を日常の中に織り込めていくなか、時々朱里を思いだしていた。
(あいつ、元気かな)
朱里のその後を気にしてしまうのは、ある種の責任を感じているからだろう。
俺は自分に言い訳しながら、『見つかる訳ねぇよな』と呟いて、彼女のフルネームをネットで検索する。
――と、予想外にヒットして、ガックリと項垂れた。
『…………あった……。……………………アホか』
〝今野朱里〟というフルネームとマスクをした自撮りが乗っているのは、実名系のSNSだ。
ご丁寧にも通っている学校名までプロフィール欄に書いていて、思わずスマホをクッションに投げつけたくなる。
『あのバカ……!』
俺は大きな溜め息をつき、倒れ込むようにソファに寝転がった。
『バカたれが』
もう一度毒づいてから、朱里のアカウントを見ていく。
更新頻度は高くないが、ファストフードや道ばたの花、野良猫の写真などがポツポツと投稿されてある。
積極的に交流するタイプではないのか、第三者とやり取りはしていない。
安堵したものの、女子中学生が顔を晒したアカウントなんて、いつ変態に見つかるか分からない。
もうあの子には関わらないつもりでいたが、どうしても気になって仕方がない。
投稿では律儀にも立ち寄った飲食店の店名まで記してあり、頭が痛くなる。
だがそのお陰で、彼女の行動範囲が分かった。
通っているのは中野区にある、偏差値が高めの一貫校。……なのにこんなにアホな事をやってるって、どういう事だ。
(……偏差値的には、頭は悪くないんだろう。……考えられるとして、肝心なところですげぇ抜けてるとか)
そう見当をつけ、あながち間違いではないような気がしてきた。
会話している時、『相手は中学生だから』と下に見ず対等に話せた感覚があった。
社会的にはまだ子供でも、理解力はあり地頭がいい。
(それに……)
覚えていてはいけないのに、罪悪感と共に、柔らかい胸の感触を思いだす。
(……中学生にしてはでかかったよな)
朱里は発育がかなり良く、俺が中学生の時にあんな胸をした同級生はいなかった。
成人女性でも朱里ほど大きい人は滅多にいない。基本的に、体型と胸のサイズが比例しているのが普通なのだと思う。
(遺伝かな……)
俺はそんな事を思いながら、顔の知らない変態が朱里のSNSを見ている想像をし、ブルッと身を震わせた。
『やべぇだろ!』
うがーっ! となった俺は、朱里が通っている学校の場所を調べ始めた。
そしてマップアプリでブックマークをつけ、近くの駐車場を探し――――、改めて考え始めた。
『ちょっと待て? いきなり学校の前で待ち伏せる? やべぇだろ』
勢いのまま突っ走ろうとした自分にストップを掛け、ガシガシと頭を掻く。
『冷静になれ。考えろ……』
呟いた俺は、少しでもマシに朱里に近づけないか悩み、親友に電話をした。
《ぶわっはっはっはっは!》
電話の向こうで盛大に笑っているのは、大学の友人の|三日月《みかづき》|涼《りょう》だ。
《ひねくれた雰囲気で名古屋に行くって言ってたのに、自殺しかけた女子中学生の命を助けた? それでその子のSNSが気になって仕方ない?》
俺は仏頂面をして、友人の笑いが収まるのを待つ。
「……笑うなよ」
《……いや、笑って悪いけど。……お前が他人を気に掛けられるようになって、良かったよ》
涼は三日月グループの御曹司で、なぜだか馬が合ってすっかり親友になっている。
「目の前で自殺しようとしてたんだ。仕方ないだろ」
《そりゃそうだけどさ》
涼は溜め息をついて笑いを収め、まじめな声で言う。
《それで、その朱里ちゃんが危ういSNSの使い方をしてるから、注意したいって?》
「……そうなんだが、大学生が中学生にアプローチすんの、やべぇよなって思って」
《マジでやばいと思う》