テラーノベル
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〈ニグ視点〉
…きっと、きっと、これで良かったんだ
凸さんとうたいさんの関係も元通りで、もう心配なんてないんだ。
…強いて言うなら
記憶を失っていたときの、うたいさんへの返事を言えなかったことが…悔しい
あの時、俺は…
本当に断ろうとしてたのか…?
〈うたい視点〉
「つ、疲れた…うたちゃんちょっと待って…」
後ろを見ると、凸さんが膝に手を付けて呼吸を整えていた。
「体力無くない?知らないおじさん」
そう言うと、凸さんの顔が涙で歪む。
「…前でなら、キレてたのに…なんでだろ…凄く嬉しい、懐かしいよ…」
僕は凸さんのことを抱き締める。
「僕も、また言えるなんて…思ってなかった」
やっぱり大好きだ。取られたくない。
でも勝手に遠くに言っちゃうことに対する罪滅ぼしも兼ねて、僕たちは皆にメールを送っておいたんだ。
だから、バイバイ、皆
〈凸もり視点〉
自販機でココアとコーヒーを買って、うたちゃんにココアを渡す。
周りが冷えてきたから、うたちゃんの身体が心配で
そんなこともう気にしなくていいのに、自然と体がそうしてた。
「…ありがと凸さん、美味しいよ。」
「うん…」
口数が少なくなってきた。
その空気が、これから死ぬんだってことを意識させられた。
「…よっし元気出てきた!もうひと頑張りだ!」
「おー!」
〈うたい視点〉
やっと着いた。
僕と凸さんの思い出の場所。
あの日も、疲れと嬉しさで歩く気力が湧かなくて、さっきみたいに凸さんにココアを買ってもらったんだ。
あの日のココアが、物凄く甘くて。
物凄く幸せだったんだ。
「うたちゃん」
その言葉と共に抱き締められる。
強い力で抱き締められてるけど、その強さが凄く嬉しかった。
「大好き。大好きだよ…うたちゃん…ほんと、言葉なんかじゃ表せられないぐらい…」
「僕も…凸さんのこと、世界で一番大好きだよ…」
唇を重ねる。
頬を人差し指でなぞられる。
「それじゃ、いこっか!」
「うんっ!」
とびきりの笑顔をお互い見せあう。
僕と凸さんは、ずっとずぅーっといっしょ!
コメント
2件
どうなるんだろな…このまま2人は死ぬのか…?それとも誰かが止めに来たり…?わからない…すごい好きなシリーズなので更新ありがたいです
もしや…次次回がめちゃ重要だったり…する?