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第8話「青藍の日輪刀」
最終選別を終え、俺は懐かしい緋蜜さんの屋敷へと戻ってきた。
「緋蜜さん、ただいま帰りました」
服は破れ、全身泥と鬼の返り血でボロボロのまま報告する。緋蜜さんは縁側に腰掛け、キセルをゆらゆらと燻らせながら「おかえり☆」と微笑んだ。
……と、その隣には、見慣れない「ひょっとこ面」を被った男が座っている。
「あら紺くんお帰り、丁度よかった! この方は絡繰庵 ぜんまい(らくじゅあん ぜんまい)さん。あなたの専属の刀鍛冶よ。一応、元鬼殺隊の凄い人よ〜」
「よろしくな」
面の下から聞こえてきたのは、ひどくしわがれた声。お爺さんだ。心の中で『ぜんまい爺さん』とあだ名をつける。
「俺の名前は蜂須賀 紺。よろしくな、ぜんまい爺さん」
俺が真っ直ぐそう告げた瞬間、ひょっとこ面がガタガタと震え出した。
「!? 儂のことを爺さんと呼んだか!? なんという生意気な小僧だ!」
怒るぜんまい爺さんを前に、俺はふいっと視線を逸らす。そんなことより、早く俺の刀が欲しかった。
「そんなことより、早く刀をくれないか?」
「!?」
その言葉には、さすがの緋蜜さんも目を見開いて驚いている。……そこまで無礼なことを言っただろうか?
「す……すみません、ぜんまいさん! うちの方で教育が足りておりませんでした。再教育をこちらでもがっつりやっておきます、本当にすみません!」
緋蜜さんは頭を下げながら、俺の方を向いて(やってくれるじゃない☆)という楽しそうな笑顔を向けてきた。どうやら怒ってはいないようだ。
「ふんっ、まぁこれがお前さんの刀だ。さぁ、何色に変わるかな?」
ぜんまい爺さんから、真新しい日輪刀を手渡される。
ドキリ、と胸が高鳴った。一体、何色になるのだろうか。俺の髪の色は青藍色(せいらんいろ)。もしや、と思いながら柄を握り締めると――。
ズズズ……ッ。
刃の根元から、みるみるうちに深い、美しい「青藍色」へと色を変えていった。
「おお……良い色じゃな。これからも期待しておるぞ」
刀の色を見て満足したのか、ぜんまい爺さんは機嫌を直して帰っていった。
美しく輝く青藍色の刃に見惚れていた、その時だった。バサバサと黒い影が頭上に舞い降りてくる。
「カァァァ!! 鬼ガ次々村ヲ襲ッテイル!! 毎晩毎晩、人ガ襲ワレル!! 初任務、初任務ダ! カァァァ!!」
鎹鴉のけたたましい叫びが、屋敷の静寂を破る。
ついに、本物の鬼殺隊としての戦いが始まるのだ。
第八話完
コメント
3件
第8話、読み終えました!いよいよ日輪刀が登場して、紺くんの髪と同じ青藍色に染まった瞬間は胸が熱くなりました。ぜんまい爺さんとのやりとりもコミカルで、でも「お前の刀だ」って言われて渡すところはグッときましたね。緋蜜さんの「おかえり☆」や「やってくれるじゃない☆」のノリも相変わらずで、この世界観にどんどん引き込まれます。そして鎹鴉の登場で一気に幕が開ける感じ、続きが待ち遠しいです!