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#白い結婚
夕凪ゆな
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ここ
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仕事終わりの帰り道――。
「疲れた……」
(異世界転生したら、のんびりうたた寝なんかしながらスローライフがしたいなぁ……。
異世界転生したいなんて思っちゃうくらい、疲れてるんだ……私……)
私は理想の異世界スローライフを妄想しながら、現実逃避していた。
(夢を見たっていいじゃない!)
「前にいる女の人、綺麗な人だなぁ……。あんなに綺麗だったら、恋愛とかも楽しいのかも……」
その瞬間――。
私の足元に、大きな魔法陣が現れた。
「え……?」
魔法陣がまばゆい光を放つ。
そして私は、異世界へと飛ばされた――。
(どこだろう……。 もしかして……異世界?
確かに異世界転生したいとは思っていたけれど、こんなことってあるんだ……!)
私はわくわくしていた。
(あれ……? さっき前にいた綺麗な人もいる)
周囲には、派手な服を着た人たちが数人。
その先には、王様らしき人物と、ローブを着た人物が立っていた。
私の周りがざわざわと騒がしくなる。
「すみません。ここはどこなのでしょうか?」
先ほど前にいた綺麗な女性が尋ねた。
「ここはニャオーン国です。聖女がお亡くなりになり、聖女召喚の儀式を行いました。まさか、二人も召喚されるとは……」
ローブを着た人物が答える。
その顔には、驚きの色が浮かんでいた。
(ふふっ……ニャオーン国……猫の鳴き声の名前だ。かわいい……笑)
王様らしき人物が言った。
「鑑定を」
ローブを着た人物が、綺麗な女性と私に向かって何かを唱えている。
「彼女は聖女です」
どうやら、綺麗な女性は聖女だったようだ。
「して、あの者は?」
「彼女は……おまもり……と出ています。」
(おまもりぃ? なんじゃそりゃ! 神様が守ってくれてる的な? ともかく、聖女じゃなくてよかった……)
王様らしき人物が少しため息をついた。
「誤召喚だったようだ……すまなかった。そなたは自由にこの国で暮らすとよい。して、こちらの詫びと言ってはなんだが……何か望みはあるか?」
(念願のスローライフだし、やっぱり普通に暮らせるところがいいな……)
「僭越ながら、私、冒険者ギルドの受付がしたいです! あと、この国に馴染めるように服を何着か貰えますか?」
全員がポカンとした。
「ゴホン……! わかった。おい、彼女に服を。あとライデンを呼んでくるのだ。ライデンが来るまで、そなたは着替えてくるとよい。」
(やったー!)
私は案内してもらい、着替えてから、また戻った。
王様と、ガタイのいい渋いおじ様がいた。
「彼女は誤召喚してしまった者だ。ギルドの受付をしたいと言っておってな。ライデン、頼めるか?」
「受付……ですか?」
「ギルドの受付はお主の母親であろう。歳もそこそこだからな。そろそろ後任が必要なのではないか?」
「承知致しました。」
ライデンは少し困った顔をしていた。
私とライデンは、お城をあとにした。
お城の長い廊下を歩いている。
「俺は冒険者ギルドのギルドマスターをしているライデンだ。受付……をしたいと言ったそうだな」
「はい。普通に暮らしたいから……」
「そうか。陛下に願うなら、普通に暮らせるとは思うが、仕事をする必要はあるのか?」
「働かざる者食うべからず……ですよ」
ライデンは少し笑った。
少なくとも、警戒するような相手ではないと思ってくれたらしい。
「陛下が言っていた通り、今、受付は俺の母親がしていてな。歳もあって、後任が必要だったんだ」
「私に任せてください!」
私は胸を張った。
「頼もしいな」
ライデンは、どこか嬉しそうだった。
(ギルドマスター、改めて見るとかっこいいな……。やっぱり歴戦の猛者の貫禄がすごい)
「そういえば、名前は?」
「名前はー……」
私はハッとした。
(そういえば、名前に違和感がある……)
ライデンが不思議そうにこちらを見ている。
「あの……私が異世界人だと生活に支障が出そうなので、私が異世界人だということは秘密にしてくれませんか?」
「守ろう」
(なんて心強い言葉だろう……。ギルドマスター……すき)
「新しい名前をつけてくれませんか?」
ライデンは少しだけ困った顔をした。
「新しい名前か……ミランダはどうだ?」
「はい! ミランダです!」
ミランダは嬉しそうに笑った。
二人は他愛のない話をしながら、冒険者ギルドへ向かった。
コメント
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『第1話 スローライフのはじまり』、読ませていただきました! 異世界転生あるあるな召喚シーンから、「おまもり」判定されてポカンとした周囲の反応が笑えました。「受付がしたい」っていう身も蓋もない願い、めちゃくちゃいいですね!笑 スローライフの理想像が「ギルドの受付」っていうのが現実的で親近感湧きました。 ライデンさんが「守ろう」って即答してくれたところ、一瞬で信頼できる人だと分かってほっこりしました。この2人の距離感がこれからどう縮まっていくのか楽しみです。次話もぜひ読みたいです!