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花灯里
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#ハイキュー夢小説
MiA
3,404
一通り話し終えると、〇〇は立ち上がった。「じゃあ、環先輩の寝室を案内します」
「おぉ、! お客様として丁重に扱われているな!」
「はいはい」
長い廊下を歩き、客室の前で立ち止まる。
「ここです」
「おお……!」
環は目を輝かせて部屋を見回した。
思わず笑ってしまい、〇〇は自分の部屋へ向かおうとした。
その時。
「あ」
振り返ると、馨が廊下の角から顔を出していた。
「〇〇、トイレどこ〜?」
「ここ広すぎて分かんない」
「ああ、こっちです」
〇〇は方向を変え、馨を案内する。
歩きながら、馨がふと横顔を見た。
「ていうかさ」
「?」
「僕ら同い年なのに、なんで敬語使うの?」
〇〇はきょとんとする。
「え、普通、親しい人以外とは敬語じゃないんですか?」
「えぇ……」
馨は少し驚いたように目を丸くした。
「光にも?」
「基本は」
「なんか壁あるなあ」
「そうですか?」
本気で分かっていない顔をする〇〇に、馨は小さく笑った。
「そういうとこだよ」
トイレを案内し終え、今度は馨の客室まで連れて行く。
「ここです」
「ありがと」
〇〇は完全に油断していた。
その瞬間。
トン。
背後の壁に手がつかれる。
「……え?」
気づけば、馨に壁際へ追い込まれていた。
〇〇は瞬きを繰り返す。
「あの」
「何をされてるんですか」
馨は近い距離のまま、首を傾げた。
「なんとなく」
「なんとなくで壁ドンしないでください」
「似合うかなと思って」
「何がですか」
「少女漫画」
「私は実験台じゃありません」
その時。
「ななな、ななななにをしているんだ貴様らぁぁ!!?」
廊下に環の絶叫が響いた。
〇〇はゆっくり振り向く。
「さぁ」
「さぁじゃない!」
馨はけろっと手を離した。
「あ、殿」
「また明日」
そして何事もなかったかのように、〇〇へ手を振る。
「じゃあおやすみ、〇〇」
「おやすみ」
馨が部屋に入ると、廊下には真っ赤な環だけが残った。
「おおおおおおお前は! な、な、男と二人で何をしていた!?」
「動揺しすぎです」
「父さんはなお前をそんな風に育てた覚えはないぞ!!!」
「はいはい」
〇〇は適当に流す。
「それで、何か用ですか?」
「……あぁ、そのだな」
ゴロゴロ……
突然、大きな雷が鳴った。
「っ!」
〇〇の肩がびくっと跳ねる。
環が目を瞬かせた。
「〇〇?」
「そ、その……」
もう一度雷が光る。
かりんは反射的に、環の服の裾をぎゅっと掴んだ。
「そのままで、お願いします……」
環は目を見開く。
「怖いのか?」
〇〇は顔を赤くして睨む。
「怖いですけど何か!!」
「い、いや、悪いとは言ってない!」
「……一旦、部屋に行きましょう」
「あ、あぁ」
部屋に入った環は、数秒固まった。
「……ここ、俺がいた部屋じゃないんだが」
「私の部屋ですから」
「えっ」
〇〇はベッドの端に腰を下ろした。
「初めて部屋の中に入れたの、環先輩です」
にこっと笑う。
環の心臓が跳ねる。
「お、俺なのか!?」
「小中、友達いなかったので」
さらっと言ったその言葉に、環の表情が止まった。
〇〇は窓の外の雨を見つめる。
頭の中に、昔の記憶が浮かぶ。
トイレに閉じ込められたこと。
水をかけられたこと。
教科書を池に捨てられたこと。
誰も助けてくれなかったこと。
今となっては、遠い昔みたいで。
「……ふふ」
懐かしくて、少し笑ってしまった。
けれどその笑顔は、どこか寂しかった。
環は何も言わず、そっと〇〇の隣に腰を下ろす。
そして静かに呟いた。
「……もう、お前は一人じゃない」
〇〇の目が、ゆっくりと見開かれた。
コメント
1件
あーもう、馨くんの壁ドンからの環先輩の絶叫で笑ったのに、雷のシーンで一気に切なくなったよ…!🥺💔 〇〇ちゃんの過去の記憶がチラッと見えて、それでも「もう一人じゃない」って環先輩が言ってくれたところ、ホント沁みた…。甘さと苦さのバランスが絶妙な回だった!次が気になりすぎる〜😭💕