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※曲パロ「 時忘人 」
※タヒネタ有
※軍パロ
※フィクション
わんく
始
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過去に戻れたら何度良かったのだろうか
あの時、何度も何度もその考えが頭によぎった
……馬鹿だなぁ、俺
もう引き返すことも出来ない過ちを犯したというのに
彼らの日常を潰すような真似をしてしまったことに変わりないのに
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君たちが消えたあの時を何度繰り返したのだろうか
小鳥が鳴く朝、いつもと変わらず書類を片付ける
幻聴なのだろうか、”彼奴等”の賑やかな声が聞こえてくる
煩いし世話の焼ける奴らやけどそれがまた一つの個性といえば良いのか、魅力といえば良いのか
毎日が楽しくなる。そんな感覚を何度も何度も味わう
執務室の近くにいつでも手に取れるよう置いてある太陽の光で輝いている金剛石で出来た大剣
そこに視線を向けてしまう、仕事中だというのに
紀を紛らわそうと薬を適量より少し多めに飲んで胃に流し込む
体調管理なんぞ知らない
今は自分のやるべきことを優先に進める。俺の仕事はただそれだけ
こういう時にいつもはケツを狙ってたりするが優しい軍医である彼によく止められていたことを思い返す
……鳥肌立ったわ
はぁ、と枯れた声でため息をつく
そういや喉乾いたな…と思い、珈琲が入ってるであろうマグカップの方を見るが、飲み干してたわ
……まぁええか、飲み物無くてもいけるやろ
徹夜しまくってるせいか知らないがそんな思考に辿り着き、目の前にある書類を片付けることに専念する
彼奴等の大半がサボったりしてるお陰で書類がこっちに回ってくるもんですわーやだー
ほんま、流石に自分の仕事はしろや……屑と呼ばれる彼のガバも出来たら直してほしいものだが…
多分あれは何かしら凄いきっかけみたいなのがないと直らん(確信)
…何考えとるんやろ俺、
「 …ははッ笑 」
もう戻ることすら出来ない過ちを犯したというのに
許されるはずのないことをしたのは俺の方なのになに被害者面してんだ
一発自分の頬を殴る
パンッと何処か鈍いような乾いたような音が部屋中に響いた
ふと鏡を見ると俺の顔は滑稽なほど目の下の隈をつけ、先程殴った頬が少し赤くなっている
こんな馬鹿馬鹿しいことをしとる場合じゃねぇわ、と思い灰色のマフラーで口元を隠すようにし
書類の方へ目を向ける
あぁ、こんなとき頼れる人が居たらと思うと後悔しかない
ただこれは自分の贖罪だ。自分だけが背負えば良いこと
誰かに頼るなんていう滑稽な行為なんぞする必要はない
……決して、無理して誰かに心配されたいと思ってなどいない
書記長たるものそんな甘い考えをするな、俺
そう自分を奮い立たせ、迷いも見せないまま仕事に取り掛かる
…そう、これは自分の贖罪だ。
自分を追い詰めろ、こんな極悪非道な自分を責め続けなければ
自分の罪はタヒ刑で終わらせることが出来るほどではない
……あぁ、いっそのことタヒねたらいいのに。
誰か俺を終わらせてほしい、こんな弱い自分を
守ると決めたものを守れなかった無能を。
…仲間のことをまだ思い続ける俺はこの、いつもの日常を映し出すような夢を観続ける
一度目を閉じ、数秒してからもう一度目を開く。
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目の前には廃と化した自国の本拠地に自分と共に朽ち果てていくような雰囲気を出す金剛石の大剣
周りには瓦礫が散らばっており、俺は壊れかけている壁にもたれて虚空を見つめる
あの人に貰ったマフラーもほつれてきており、自分が身に着けている軍服も古くなっている
……何度理想郷を夢見るのだろう
もう、戻らないところまで来ているのに
壁や瓦礫にまで侵食してきている植物が体に触れ、自然独特の匂いが花にツンと刺してくる
視線を天の方に向けると雲一つもない快晴で、俺の絶望に包まれたこの状況を嘲笑うように、
ギラギラと太陽が輝き続ける。
それがまるで全世界が、我々の終わりを望んでいるように
動こうとしても何かが絡まったような感覚がしてうまく動けることも出来ない
この場から離れることを許されない、地に縛られているような。
……あぁ、
「 寒い 」
そう呟いてまた目を瞑る
現実から逃げたい臆病な自分を忘れたいから
こんな悲惨な運命を受け入れたない自分を見たくないから
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「 …ぁ、 」
「 !!起きたか! 」
目を覚ますと見慣れた白い天井が見え、そのまま声のした方へ視線を向ける。
そこにいたのは
「 な、んで… 」
「 ?あー…俺が部屋に入った時倒れていたんだぞ、お前 」
「 ……そ、 」
俺の前で、民衆が視線を向けている時、花のように悲惨に散ったアンタが居た
夢のようだった、いや…夢か。これも全部
夢なのに、何故か嬉しくて、悲しくて…こういう感情をなんて言うんやっけ、
「 と、tn氏…?なにか悪い夢でも見たのか? 」
「 ぁ、え…? 」
あれ、なんで視界がぼやけとるんや
あ、そうや眼鏡…あれを掛けとらんからか
いやでも……なんで頬に何かが伝っとる感覚がするんや、何かを流している…?
頬に触れると濡れていた、水……あぁ、そっか
「 …俺、泣いとるんやな… 」
そう小声で、あいつに聞こえないよう呟く
心配されたくなかった、言及されたくもなかったのに
「 だ、大丈夫か?!しんぺい神を呼んだほうがいいのか?!これは… 」
また、迷惑かけてもうたな
あいつらは迷惑じゃないって言ってくれたけど、俺にとっては迷惑かけてるようにしか感じない
だって、俺のせいでお前らは、し、しん…で……
あぁ……俺はなんでこんな理想図を見とるんやろ
もう戻らんのに、ただ望んでこれを見ても心が苦しくなるだけなんやけどなぁ…w
こんな夢を見たくなくて目を閉じる
「 …ッ 」
その時貴方がどこか苦しそうな表情を浮かべていて嫌気が差した
心配ばっかかけてほんまごめん、書記長なのに
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目を覚ます。
さっき目を閉じる前に見た風景と同じ、自然という脅威に侵食されていく建物にもたれる
力の入れ方も忘れた、歩くことも出来ない
周りを見渡すことしか出来ないから、また今日も頭と目を動かして周りの状況を知る
『 〜〜!〜〜〜〜〜…〜〜〜。 』
『 〜〜〜〜!!! 』
『 〜〜〜…www、〜〜〜〜 』
明るいところには人がいっぱい居た
俺と目が合っても誰も気にせずに通り過ぎていく
まるで俺の存在が消されたかのように、俺だけが幽霊みたいに
あれ、
ふと思いついて左胸に右手を頑張って当ててみる
ココにあるはずの” 心臓 ”は動いてなかった。
その瞬間、マフラーや壁、剣など周りに付いている” アカイモノ ”が視界に映る
人の声も聞こえなくなった。
自分の動いている筈のものも全て止まったような、
なぜ自分が此処にいるのか、なぜ動くことすら許されないのか
あぁ、そっか。
俺、タヒんどるんか。
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【 過去の記憶 】
あの時、俺は…いや、俺らはとある国と戦争していた。
最初は優勢やった。けど途中からあの国の同盟国や俺等を敵対していた国が次々とこの戦争に参加し、
俺らをまるで根絶やしにするように攻撃を緩めなかった
勿論、向こうの方が徐々に優勢になり始め、こちらは物資が少なくなったり兵士や他の幹部の体力が
消耗し始め、負ける未来が見え始めていた。
ただそんな中でもあいつは諦めなかった。
「 抗え!!!滅ぶ運命から! 」
ははッw、今思えば馬鹿馬鹿しいかもしれないことを言っていたが、俺らにはそれが頑張れる種となっていた。
やけど、
桃色と青色の通信が途絶えた途端、徐々に幹部が一人ひとり倒れていった。
最初は躑躅色と瑠璃色、その次は向日葵色、露草色、紫苑色と次々に、
若竹色も朽葉色も胡粉色も萌葱色も、菖蒲色も勿忘草色も、浅葱色も蜜柑色も…、
あんなに馬鹿騒ぎするほど賑やかにしていた仲間が次々と砕け散っていく
日常を共にした悪友達がだんだん、一人ひとり
涙は出なかった。
元から覚悟はついていたから、だと俺はずっと思ってる。
ただ、隣でずっと楽しんでいる様子を浮かべていた濡羽色の、我々の総統が
寂しそうで何処か苦しんでいるような表情を浮かべて静かに涙を流していた
それを見て俺は、思わず手のひらに爪が食い込むほど力を入れて握りしめていた。
その時の感情なんて分からない。
敵が総統室へ攻めてくるぐらいの頃
俺は貴方に逃げようと提案した。だが
「 お前だけでも逃げろ 」
お前はタヒんでも此処に居続けようとしていた。
「 いや、でもッ…… 」
「 彼奴等は俺を殺すことを目的としているだろう? 」
「 お前はまだ生きる希望がある、ただ俺が生き延びたとしても追われ続けるだけ 」
「 でも、お前はまだ生きて((( 「 だから 」
「 ……俺はここで終止符を打つとする 」
「 …は?んなこと許すわけ無いやろ!!! 」
「 ほら、さっさと逃げなッ 」
そう言って咄嗟に彼の腕を掴もうと手を伸ばす
が
パンッ
その道を拒むように俺の手を弾き飛ばす
それが何処か、アイツの最後の我儘を示していたような気がした。
「 ッ……なんで?! 」
そう問いかける
拒む理由を、俺が拒まれた理由を知りたかったから
「 俺は、罪を償わなければならない 」
その一言だけを、この一室だけひんやりと冷たくなった空気の中呟く
何故そのようなことをするのかと聞きたかったが、運が悪く敵がそこまで攻め込んできた。
俺は戦おうとした、でも
「 お前だけでも生きろ 」
そう言ってアンタは、俺を窓から突き落とした。
アンタの最後見た顔は、
苦しそうで、無理をしているような笑いを浮かべていた。
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突き落とされたあと、意識を失くしていたらしく
目を覚ましたら草むらの上で仰向けになっていた。
体に痛みが走ったが、生憎意識を落とす前に受け身を取っていたのかそんなに怪我は酷くなかった。
痛みに耐えながら彼がいると思うところへ走り続ける。
道中で見えた「我々国総統処刑」とかどうたらこうたらの字なんか無視した
必死にあの人を探して、あの人に地獄の底から手を差し伸べたかった。
俺を我々国へ勧誘してくれたときのように
処刑台が視界に映ったとき、俺が探し続けていた人が居た。
民衆が集っていたせいで前の方へ進めなかった
貴方は処刑台に立って、たって、
『 最後に言い残すことは? 』
「 …言い残すこと、か。 」
やめろ、そう何度叫んだか
お前には生きててほしかった、まだ楽しいことをして過ごしたかった。
だが神は許さなかった、俺は神を信じてなかったけどな…w
民衆の声で俺の叫ぶ声はかき消されていった
嫌や、アンタだけは
なんで、なんで
「 ……あぁ、言い残すことあったゾ 」
「 我々は…荒廃と瓦礫の中から再び軍旗が立ち上がるだろう! 」
そう言った数秒後、アンタは花のように砕け散っていった。
……何が立ち上がるだよ。
「 お前らがタヒんでもうたら意味ないやんけ……ッw 」
馬鹿。
ほんまにどいつもこいつも馬鹿や
…それについていった俺も馬鹿か。はは
お前らのタヒに様は、まるで絵にしたように綺麗で儚いものだった。
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「 ……なにを思い返しとるんやろ、笑 」
あのあと、俺は復讐心を抱え一国を滅ぼした
…やけど、そこの残党に隙を突かれてタヒんだ
でも俺にはもう未練はない
やるべきことは全て果たしたはず
いつも内ゲバや書類に苦労してたあの馬鹿騒ぎの日常が羨ましい
あの頃に戻りたい
そう願いながら俺は静かに愛用している大剣を抱え、眠りに落ちる。
眠りにつくというのに、未だ寒かった。
やけど意識が失くなった途端、暖かくなったような気がした。
やっと止まっていた時の流れが動き出した。
俺の止まっていた時計の針がチクタクと動き出していく
置いていった周りの時を追いかけるように
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「 ……無理させたな。 」
そう呟く黒服を着た一人の男
彼特有のバリトンボイスが空気中に響き渡るような感覚がする
周りには色んな色が鮮やかに彩っていた
マフラーをつけた孤独のまま眠るように静かに散っていった男の様子を眺めながら
黒服を着た男は屈んでマフラーをつけた男の顔を覗くように見つめ続ける
永遠に眠るその男の顔は、寂しそうな表情だったが、徐々に少しずつ穏やかで暖かいような表情を浮かんでいた
「 …ただいま、そしてすまなかった 」
「 ずっと一人にさせて 」
そう嘆きながら次々と想いを口にしていく彼ら
その後ろで保護者のように、暖かい目で眺めるナニカ
『 おかえり 』
『 また一緒に馬鹿騒ぎしような 』
そんな幻聴が聞こえたような気がした。
少し冷たくて、でも温かさがこもる優しさを感じる声が
彼が抱えていた古びた大剣が
静かに見守る彼らの後ろのナニカを映していた