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昼過ぎ、僕は少女のところへ行った。今度は皆京郷の伝統食品、ごまんじゅうを持って行った。ごまんじゅうを見せると、前とは違って警戒する時間がなく、すぐに手に取って食べていた。僕は今日は少女をこの森以外の場所に連れていきたい気持ちだった。毎日こんな不安定なところで暮らしていたら、精神だって不安定になってしまうであろう。最初その提案をしたら、少女は食べていた口を止めて下を向いていた。僕が無理はしなくていいんだよ。と言うと、少女は僕の顔を見て、はっきり言った。「わたし、いきたい。」
少女がごまんじゅうを食べ終わったのを見て、僕はスカーチという草部分が丈夫な植物で作ったカバンを少女に渡した。少女はカバンを見て笑みを浮かべていた。
まず精霊の森をでなければならない。僕は少女の腕に“導きの輪”という、精霊族が作った特殊な輪を付けた。これを付けることによって、森に迷わずに出る事が出来る。僕は早速少女を連れて森を出る道を歩いた。道中少女は不思議そうに輪を見て、たまに触ったり、咥えたりしていた。そして200メートルくらい歩いた所で、足元の土が粘土のようになった。一瞬で腰まで入ってしまい、少女はパニックになった。僕が力を入れて振り返って、少女をなだめた。少女は落ち着きを取り戻したが、こんな事になるのは精霊の力だ。少女はまだ声をしゃくりあげていた。僕は埋まった腰からチャクラムを引き上げた。すると自然の精霊、木森精が出てきた。「精霊の森へ迷い込んだなら、逃げれると思うなよ。」精霊たちは気象の他、気まぐれで暴走することもある。