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つかさが帰った後の駿の部屋では、駿と梓が黙ったままソファで横並びに座る。
「やっぱ・・謝るべきだよな・・かなり酷い事も言ったしな!うん!謝ろう!」駿は心の中でそう呟き、意を決して口を開こうとするが
「先生?」梓に先手を取られ「は、はい!!」と情けない裏声が口から漏れてしまう。
「ぷっ、何、はいって(笑)変なの」
梓は駿の裏声に思わず笑みが溢れる。
「あはは・・へ、変だよな・・あはは」
駿は梓に悟られないように、手のひらに滲んだ汗をズボンで拭う。
「てかどうかしたのか?今呼んだよな?」
「あ、お腹すいたって言いたかっただけ」
梓は恥ずかしそうにうつむく。
「ああ!お腹ね!雛形先生の家では何も食べなかったのか?」
「あ、う、うん・・すぐにコッチに戻って来ちゃったから・・」
「ならちょうど良い!ホラあれ!金森が頼んだ弁当届いてるぞ!」
「あ!そうだった!お弁当の事すっかり忘れてた!」
「すぐ温めてくるから、ちょっと待ってろ」
駿はそう言うとキッチンへ向かって歩く。
駿が冷蔵庫からハンバーグ弁当を取り出し、レンジで温めていると梓がうつむきながらキッチン部屋ってくる。
「金森?今温めてるから、もう少し待ってくれな?」
駿が優しく語りかけると梓は「ごめんなさい!」と頭を下げる。
「え?金森?何で謝ってんだ?」
「私・・先生にひどい事言っちゃった・・・」
梓はうつむいたまま涙を流す。
「頭を上げてくれよ金森!謝るのは俺の方なんだから!邪魔だ!せいせいする!なんて酷い事言っちゃってさ」
「ううん・・先生は私の事思ってくれたからこそ、ああいう風に言ってくれたんだよね?
それなのに私ったら・・その優しさに気づかないでビンタまで・・本当にごめんなさい!」
「まぁ、ホラ!アレだよ!ケンカ両成敗って事で!な?金森!」
梓の両肩に手をそっと添えてなだめる駿。
「あのさ・・先生?」駿を見上げる梓。
「ん?どうした?」
「その・・先生が嫌じゃ無かったらなんだけどさ・・その・・えっと・・」
梓は何かに躊躇っているのか、口ごもっている。
「ん?」駿は首を傾げる。
「その・・金森じゃなくて・・梓って呼んでくれないかな?」
梓は不安そうな顔で駿を見つめる。
「か、金森・・・」駿は頬を赤く染める。
「嫌ならいいの・・嫌なら金森のままでいい・・・」梓はうつむく。
「嫌じゃ・・無いよ・・その・・あ・・ずさ」
慣れない名前呼びのせいで、駿の顔は茹蛸の様に真っ赤になる。
「先生❤︎」梓は愛する駿に名前で呼んでもらえた事が相当嬉しかったようで、ご満悦な表情を浮かべる。
「その・・かな、あ、いや、梓はその・・先生のままなのか?」駿は恥ずかしそうに目線を逸らしながら呟く。
「駿って呼んでいいの?」
「まぁ、アレだよ・・梓が嫌じゃなければ・・」
「駿❤︎駿❤︎駿❤︎」梓は満面の笑みで、その場でピョンピョンと飛び跳ねながら駿の名前を連呼する。
「そんな何回も呼ばなくていいって・・」
「駿ったら照れてる❤︎」梓は駿をからかう。
2人がそんなやりとりをしていると、ピーピーピーと、電子レンジから温めが終了した事を伝える通知音が鳴る。
「やっとだ!もうお腹ペコペコだよぅ〜」梓は待ってましたと言わんばかりに、お腹をさすりながら言う。
「うまかったぞ!その弁当!」
「へー!私が居ない部屋で1人寂しく食べても美味しかったんだぁー!へー!そーなんだー!それはよかったねー!」
梓は不貞腐れた様子で駿を蔑んだ目で見つめる。
「あ、いや、まぁ、梓が一緒だったら、その、もっと美味しかっただろうな・・あはは」
駿は焦った様子で弁解する。
「きゃはは❤︎冗談だよ冗談❤︎もう駿はすぐ間に受けちゃうんだから❤︎」
「もう・・勘弁してくれよ・・俺は純粋なんだから」
「自分で言うな」梓は駿の脇腹を突っつく。
互いに夕食と入浴を済ませ、寝室で眠る駿と梓。
すると梓はベッドからむくって起き上がり、駿に悟られないように、抜き足差し足で布団に潜り込む。
しかし、梓は異変に気づく。
「も、もしかして起きてる?」梓は布団に横たわる駿に問いかけるが、駿は黙ったまま。
「いや、絶対起きてるでしょ!?」
梓が畳み掛けるが駿からのアクションは無い。
「あ〜あ、なんか暑いなぁ〜服脱いじゃお
〜っと」梓は身につけている服を脱ごうとすると
「だぁー!起きてる!起きてる!起きてる!」駿は慌てふためいて起き上がる。
「ほら!起きてたじゃん!!」梓は頬を膨らませる。
「ご、ごめん・・・」駿の頭を探る。
そしてしばらくの沈黙の後、駿は恥ずかしそうに「布団・・来てもいいぞ?」と呟く。
「駿❤︎」梓はパッと明るく笑顔になり、駿の布団に横たわろうとする。
「で、でも、向こうむくんだぞ?」
駿の言葉に梓は「えー!?今日だけ!ね❤︎」梓は両手を合わせて要求するが
「それはダメだ!」と駿にあっさりと突き返されてしまう。
「あーもういいよ!向こうむくから!駿のケチ!」
梓は不機嫌そうに布団に入る。