テラーノベル
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高校2年生の新学期。教室はいつも以上に騒がしかった。
━━なぜなら、
「今日、転校生来るっぽいよ!」
「女子でめっちゃ可愛いとか…」
転校生が来る。それは高校生にとって楽しみなイベントの1つなのだ。
「なあ、今日転校生来るってさ。 」
私に声をかけてきたのは一ノ瀬旭《いちのせあさひ》私の彼氏。
私の名前は小鳥遊胡桃《たかなしくるみ》。
高校の入学式で私に一目惚れした彼は猛アプローチをしてきて結果付き合うことになった。今では学年公認カップル的な。
「転校生かー。このタイミングで来るなんて珍しいね。」
私は少し疑問に思いつつも答えとく。
担任の菅原が入ってきた。
「ほら、みんな座れー。今日は転校生がやって来るぞー。」
騒がしさが急に途絶え、みんなが一斉に席に着く。
「じゃあ、はいれ。」
教室のドアが開く。入ってきたのは美少女。黒い綺麗な髪に透き通った茶色の瞳。
「はじめましてー。花園美香《はなぞのみか》っていいます!よろしくお願いします…!」
丁寧に頭を下げる。周りの男子達は転校生に目を奪われ固まったようにまじまじと見ている。
美香の目が光った。旭を見つめる。獲物を見つけたという目。その一瞬に気づいた人はいなかった。
昼休み、私と旭は屋上にいる。午後の風が心地よく2人の髪を揺らす。
「はい、あーん」
私は旭にお弁当の卵焼きを差し出す。
「ん…。うま。」
旭はもぐもぐと頬を緩ませながら呟く。
「あっ、すみませーん!邪魔しちゃいましたぁ?!」
そこに現れたのは美香だ。風にスカートが揺れる。上目遣い。計算されてる。
「なんでいんの?」
ぼそっと旭が呟く。
「旭くん…。美香まだこの学校のこと全然知らなくてぇ…。旭くんしか頼れる人いないのぉ。」
猫撫で声。
「学級委員にでも聞けば?」
旭は断る。
「えぇ、ひどーい。」
美香は目に涙を浮かばせ唇をきゅっと結ぶ。
そして、私を見た。
「あれー、もしかして旭くんの彼女さん?名前なんて言うのー?」
「えっと、小鳥遊胡桃…。」
「へぇ!くるみちゃん?可愛い名前ー!」
美香は私のつま先から頭まで舐めるように見る。
「ちっちゃくって可愛いー!目もきれーい!」
「あ、ありがと…」
嘘だってわかってる。お世辞だ。旭に印象よくみえるようにやってるんだ。
「で、何。」
旭の声に苛立ちが混じってる。胡桃との時間を邪魔された、と。
「あ、だからぁ。旭くんに放課後に学校の案内してほしくってぇ。彼女さんもいいですよね?」
上目遣いで言ってくる。
「悪いけど、放課後は用事あるから。」
旭は断る。2度目。
「えー、ダメぇ?」
美香の目に涙が浮かぶ。
「くるみちゃんもダメって言うの?」
私のほうを見る。何も答えられない。
「じゃあ、私もう行くね…。頼れる人旭くんしかいなかったのに…。」
美香は俯きながら屋上のドアへと歩く。そして、一瞬だけ私に向かって、
「お前のせいだ。後悔させてやる。」
さっきまでの泣き顔が嘘のようだった。低い声。鋭い目。
そして美香は屋上を出てった。
「おい、今なんか言われなかったか?」
旭が心配して聞いてくる。
「ううん、何も。」
首を振って笑顔で答える。
「それならよかったけど…。」
放課後。
「胡桃ー、帰ろーぜ。」
鞄を肩にかけた旭が近づいてくる。
「うん、今行くー!」
そっちに向かおうとしたとき。ポケットの中のスマホが振動した。
「…ん?」
クラスLINEで1件の通知がついてる。
『小鳥遊胡桃って転校生のことハブったらしいよ。初日からいじめられる転校生が可哀想。』
知らないアカウント。誰かの裏垢。私は即座にわかった。
━━美香だ。
次々にメッセージがくる。
『え、小鳥遊さんってそういう人なんだ。』
『最低すぎだろwww』
『転校生ってあの美香ちゃん?可愛いから嫉妬してんじゃない?笑』
「何これ… 。」
思いだした。昼休み、屋上で美香に言われたこと。旭と付き合っている私が気に食わない。そして、私にいじめられているといい被害者になる。そうすれば私と旭を離せる。
最悪な予感がした。
「おーい、胡桃?まだー?」
旭が呼んでいる。
「あ、うん!今いくー!」
スマホをポケットにしまって彼の元へ向かう。
これ、やばいかも。
美香の計算されたぶりっ子。これでクラスを味方につけて嘘の情報で私を加害者に仕立てていく。
「なんかあった?」
「いや、なんも」
放課後の帰り道。旭と歩きながらそのことを隠す。どうせ、バレる。時間の問題だ。
この2年生の新学期。転校生によって私の日々が最悪の方向へ塗りつぶされていきそうだ。
コメント
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小雨さん、第1話お疲れさまです! 転校生・美香の「計算されたぶりっ子」とその裏の顔、冒頭から一気に引き込まれました。彼女の「お前のせいだ」という低い声とそれまでの猫撫で声のギャップが鮮やかで、胡桃の不安がじわじわ伝わってきます。クラスLINEで噂が広がる展開も、現代のリアルな怖さがあって良いですね。旭くんがどう動くのか、そして胡桃がどう立ち向かうのか、続きがすごく気になります!