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そんな息苦しい毎日の中で、俺が唯一、心のどこかで期待してしまっていた存在がいた。
シンメの、目黒蓮。
観察眼の鋭いあいつが、俺の異変に気づかないはずがない。
案の定、その日はやってきた。
仕事が終わり、みんなが帰り支度を始めている楽屋。俺が隅の方で荷物をまとめていると、不意に低い声が降ってきた。
🖤康二…
振り返ると、心配そうな、でも少し怒っているような、複雑な色を浮かべた目黒が立っていた。
🖤…最近、どうしたの。なんか、おかしいよ
まっすぐ俺の目を見てくる。
その真剣な瞳に、一瞬で心が揺らいだ。
ああ、もう全部話してしまいたい。
あの人(スタッフ)のこと。
メンバーから誤解されてて、すごく怖いこと。寂しくて、苦しくて、もうどうしていいか分からないこと。
🧡めめ…俺…
喉まで出かかった言葉を、必死に飲み込んだ。
ダメだ。言えない。正義感の強いめめにこんなことを話したら、あいつは絶対に黙っていない。
俺なんかのために、大事な仕事仲間に食ってかかって、めめの立場まで悪くさせるわけにはいかない。俺一人の問題で、めめに迷惑はかけられへん。
俺は、残っていた全ての力を使って、ヘラリと笑ってみせた。
🧡なんもないよ、大丈夫!ちょっと新しいギャグが思いつかへんな〜って考え事してただけやって!
🖤…ふざけないでよ
🧡え?
🖤そういうの、もういいから。俺には言えないことなの?
めめの声は、今まで聞いたことがないくらい低くて、冷たかった。
違う、言えないんじゃなくて、言わないんだ。お前を守るために。
で も、そんなこと言えるはずもなくて、俺はただ俯いて首を横に振ることしかできなかった。
そんな俺の態度に、めめは深く、深くため息をついた。
🖤…そっか。言いたくないなら、もういい
その言葉は、俺の心を終わらせるには十分すぎた。
背を向けて去っていく大きな背中が、どんどん遠くなっていく。
一番信じてほしかった、最後の砦だったのに。俺は、その場に立ち尽くしたまま、動けなかった。
そして、その日の夜。
俺の知らないところで、悪魔が最後の囁きをしていた。
スタッフAは、一人でトレーニングルームにいた目黒に、さも心配しているかのような顔で近づいた。
A「目黒さん!お疲れ様です。
…最近、向井くん、ちょっと空回りしてません? 目黒くんのこと、ライバル視しすぎてるみたいで…。
A「『あいつには絶対負けねえ』って息巻いてるんですけど、周りが見えてないって、みんな心配してるんですよ」
目黒がその言葉をどう受け取ったのか、俺は知らない。
しかし次の日から、目黒が俺の目を見てくれることはなくなってしまった。