テラーノベル
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〜注意事項〜
・この作品はwrwrd様の二次創作です。
・本人様とは関係ありません。
・検索避けに協力してください。
・極道パロ、怪我表現が含まれます。
◇◇◇
今夜の路地裏は、いつもに増して暗かった。
街灯がひとつ壊れていて、黄色い光が特定のテンポで途切れている。
湿ったアスファルトの上に、血がぽたぽたと落ちた。
「…チッ」
壁にもたれながら、tnは息を整えようとしていた。
敵対する組の連中に待ち伏せを食らい、どうにか撒いたが、脇腹をやられた。
シャツの下がじわりと熱い。
指先の感覚を失った手で、ポケット内を探る。
携帯を入れたと思ったが、忘れたか。
もしくはどこかで落としたか。
まあいい、重要な情報が入ってる訳でもない。
ただ、兄貴に連絡を入れたかった。
「運が悪い日やな、クソ」
そう呟いた、その時だった。
微かな音が聞こえた。
泣き声のようで、でも声になっていない。
tnは顔を上げた。
路地の奥、ゴミ袋の影に小さな影があった。
しゃがみこんで、膝を抱えている。
子供だ。
「…?」
tnが一歩近づくと、その子供はビクッと肩を震わせた。
こちらを涙ぐんだ目で見上げると、慌てて抱えていた膝を放り出した。
逃げようとしたが、うまく立てない様子である。
年齢はパッと見、五歳くらいだろうか。
汚れた服に、靴は片方だけ。
肌は所々青くなっていた。
目だけがやけに大きくて、不安そうに揺れている。
「…おい、迷子か」
優しく言ったつもりだった。
だが、子供はさらに身をすくめた。
口を開く。
けれど、声が出ない。
掠れた空気だけが、ポスポスと抜けていく。
「……」
喉が震えているのに、音にならない。
代わりに、涙だけがぽろぽろ落ちた。
子供は、膝を抱え直し、ゴミ袋の影に隠れてしまった。
迷子なはずがないだろう。
青あざがある時点で気がつくべきであった。
tnは、その様子を見て胸の奥がちくりと痛んだ。
親に捨てられた自身の過去を思い出す。
「…そうよな」
無理に近づくのをやめ、少し距離を取る。
「俺は、お前の敵ちゃうよ」
自分でもおかしな言い方だと思った。
少なくとも極道が言う台詞じゃない。
けれど、それはどうやら効いたらしい。
子供は、恐る恐るtnを見た。
視線が、tnの脇腹に吸い寄せられる。
血。
その瞬間、子供の表情が変わった。
怯えよりも、困ったような焦ったような顔。
細い足を引きずりながら、こちらへ張ってくる。
どこで警戒心を捨てたのやら、子供はtnへ近づいてきた。
小さな手が、空を掴むように動く。
だいじょうぶ?と言いたいのが、なんとなく分かった。
「平気や。慣れとる」
そう言ってから、tnは苦笑した。
慣れている、なんて言葉。
子供に向けるものじゃないだろう。
「お前…名前は?」
問いかけても、返事はない。
子供は首を横に振った。
名前を知らないのか。
それとも、言えないのか。
「…そうか」
tnは深く追及しなかった。
代わりに、上着を脱ぎ血を抑えながら子供に差し出す。
「寒いやろ」
子供は一瞬迷ってから、そっとそれを掴んだ。
その指が、あまりにも冷たくて、細くて。
子供は、薄汚れたズボンのポケットに手を突っ込み、折れた絆創膏を取り出した。
猫ちゃんやら、わんちゃんの絵が付いているそれをtnに差し出した。
馬鹿らしくて、それでも可愛らしくて。
小さな親切がどうも心に来た。
tnは笑ってそれを受け取った。
子供がジッと見てくるので、仕方なくその小さな絆創膏を、大きな傷口に貼り付けた。
小さくありがとうと伝えると、子供は嬉しそうに頷いた。
「ついておいで」
さっきよりも、慣れた優しい声をかける。
tnはゆっくり立ち上がった。
子供が追いつける速度で、歩き出す。
数歩遅れて、ちょこちょことついてくる足音。
その夜、tnは予定を全部捨てた。
◇◇◇
事務所に戻ると、真っ先にgrが気づいた。
「tnッ!!よかった、連絡が取れないと聞い…」
grは、tnの背後を見て、ピタと固まった。
「…なんだ、そのガキ」
低い声に、鋭い目。
それはあまりにも子供にとっては恐怖であった。
子供はgrを見るなり、後退りをした。
事務所の扉から出ようとしたところを、tnが引き止める。
それから、grを睨みつけた。
「怖がらせんな」
tnが言うと、grは鼻で笑った。
「合意なんだな」
tnは、すぐに医務室へ連れて行かれた。
見送ったgrは、子供に目線を落とす。
子供は唯一信頼するtnを失い、困った様子である。
部屋の隅に佇む子供の傍に行き、しゃがみこんで目線を合わせる。
「さっきは酷いこと言って悪かったぞ。きみは、tnの友達なんだな」
首を傾げる子供の、傷が目に入る。
tnがうちに来た時のようだった。
grも、子供ながらにその時のtnの様子と言ったら、トラウマである。
見捨てられずに、拾ってきたのだろうな。
grは優しく子供を撫でた。
当時、tnにはできなかった慰めである。
「…ああそうか。俺はgrだ」
返事はない。
声帯に問題があってもおかしくない。
「tnはさっきの男やからな。あいつ、自己紹介とかしてなさそ」
クスクス笑うと、背中をド突かれた。
振り向くと、ムスッとしたtnが立っている。
子供は、よろめきながらtnに駆け寄り、服の裾をぎゅっと掴んだ。
「懐かれとるな」
grが少し驚いたように言う。
「ふん」
子供を抱き上げると、ぽんぽんと背中を叩いた。
安心したのか、うとうと船を漕ぎ出した。
「…手当はしないのか?」
「風呂に入らせてからやろうと思っとる。…けど、傷口痛むやろうなって」
「そうだな。」
その時、奥から声がした。
「兄さん呼んだあ?」
現れたのはうちの専属医師、utだった。
白衣に、だらしない笑顔はいつも通りである。
「…まってまって。誰その子。隠し子!?」
「拾ってきた。」
tnが言う。
「かわいいなあ。この世界じゃ子供なんて縁ないもんなあ」
utは子供を見ると、表情を変えた。
一気に柔らかくなる。
tnの肩に顔を乗せ、ぐっすりと寝る子供の頬をぷにぷにと押す。
「…虐待?」
「まあ、そうだろうな」
「ふうん。ほんまゴミしかおらんなこの街」
「おい、それ以上触ったら殴るぞ」
「な、なんでぇッ!?!?ひどい!」
ひえんっと泣き真似をするutを、軽く叩く。
笑っていたgrが、ハッとして首を傾げた。
「tnは、この子と会話したのか」
「…声は聞いた事ない。」
「喋れないの?この子」
「分からへん、けど。喋らへんのじゃなくて、喋られへんのやと思う。」
境遇が境遇であった。
tnは寝息を立てる子供を撫でた。
カチャ、とutがメガネを押し上げる。
「強いストレスとか精神的ショックで声帯がうまく機能されなくなるって聞いたことがある。この子なら有り得るよね」
tnは頷いた。
「本人の問題だから、僕らは無理に関与したらあかんね」
不器用なgrも真剣に話を聞いていた。
◇◇◇
次の日、子供を丁度風呂に入れた。
痛いとは言わないけれど、ボロボロ涙を零すものだからtnも泣きそうになった。
いい歳の男が泣くのは恥ずかしいけれど、その場には子供しかいなかったため、どうでもよかった。
濡れた髪の毛をふわふわのタオルで拭いていた時である。
ドアをバンッと開けて、zmとshoがやって来た。
zmとshoは友人である。
敵対している組ではないため、事務所の出入りを許可していた。
「え、子供ッ!?!?!?」
「ここ保育園やったっけ??」
2人はキャッキャッとはしゃいだ。
子供に会えて嬉しいと言うよりかは、場違いの子供にtnを揶揄っている。
ビクッと驚いた子供の前にtnがそっと前に立つ。
「静かにしろ」
それだけで、二人は黙った。
友人と言えど、2人はtnに分からされたことがあるのだ。
「どーどー。tnもそんな怖い声だしたら、嫌だよねえ」
utはタオルで隠れる子供の傍にしゃがんだ。
大きなため息が漏れて、tnはようやく頷いた。
「拾った。次デカイ声出したら殴る」
「いやいやいや…説明カットしすぎやろ、」
shoが手をブンブンと振るが、tnはそれ以上言わないと決めたのか子供の方を向いてしまった。
「な、名前は?なんて呼んだらええの?」
「それが分からへんねん。そうや、この際決めたらええよ!」
ポンッと手を叩くutに、2人は賛成賛成と微笑む。
「…ci」
tnがふと思いついたように言った。
子供を含めた4人が、tnを見る。
「俺は、この子をciって呼びたい」
「なんで?」
「なんでも」
理由はよく分からなかったが、子供、否ciはその音を嫌がらなかった。
ciはその名を、心の中で繰り返した。
この日から、ciの居場所はこことなった。
誰も自分を追い出さない、暖かな場所である。
そして、tnは知らなかった。
この小さな出会いが、自分の人生を静かに変えていくことを。
続くかは分かりません😞
暗めの話のリクエストたくさんもらったので‼️‼️‼️
ありがたくかかせていただきましたよん
コメント
2件
幼児のciさん久しぶりでめっちゃかわいい♡そんな事ないか?tnさんが「静かにしろ」って言ったところ圧やばくてかっけ〜!暗い話好きだから続き書いて欲しい!もし続き書くとき、極道らしいみんなみたいから戦闘シーン?入れて欲しい!
口調とか呼び方とかがちゃんと極道ですき…… 暗めの話好きだしここちゃんのお話大好きだから2重ですき