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10.最後なんて


笠井side

いつもならこの時間になると東雲の遅刻連絡の電話が入る。

今日は電話が入らないまま時計は12:00を回ってしまった。

さすがに電話をかけないといけないので東雲の家に電話をかけるが誰でない。

そんなことは今までになかったから珍しい


生徒個人情報をさぐり東雲の親の携帯に電話をかけてみる。



[もしもし、高校ですか?]

[はい。あの、東雲りんさんの親で間違え無いでしょうか?]

[はい。りんの母です。どうされました?]

[今日は、何の連絡もなしに学校に来ていなくて今自宅にかけたところ連絡が取れなかったのてお母様に連絡させて頂きました。]

[そうですか。りんは、学校もう行かないと思います。]

意味がわからない。どういう事だ。


[はい?ええっと?]

[昨日LINEが来たんです。自由に旅に出ます。って、だからきっと今は私たちが追いかけても行けない遠いところに旅に出てると思います。もちろん死んでは無いですよ。]

[え、]

[私もあったんです。もう1人になりたくて親に何も言わずに旅に出たことが。だからりんが帰ってくるまで私は何も止めません。]

[わ、わかりました。失礼します。]


電話を切ると自分でも考えられないくらいに涙が溢れていた。10年前と同じ。

大切な人が消えてしまった。


もし、先生と生徒という関係性じゃなければ本音を言えてたはずなのに。


他の生徒が下校し終わってた後も誰とも話さずただ仕事に打ち込んだ。

先生方たちも帰り職員室では俺一人。


涙はまた溢れかえっていた。

なんで俺はいつもいつも大切な人を守ることが出来ないのだろう。



こういうのって先生がいなくなるものだと思っていた。

生徒がいなくなってしまうなんて。


時計は19:30をまわる。


保健室で初めてりんを抱いた時間。


あの日から俺の頭はりんで埋め尽くされていた。



なんで素直になれなかったのだろうか。


昨日の言葉。また会ったら。これをもっとしっかり受け止めるべきだった。明日も会えるからと思っていた。




また1人になってしまった。



もう嫌だよ。大切な人ができてもみんな俺の前から居なくなってしまう。



何とか家まで帰るが、体は重たくだるかった。



何も口にせずに



そのままベットに行った。



りんが小さな寝息を立て寝てたこのベット。



可愛かった。



髪を乾かしてくれたドライヤー。



色んなものに思い出が詰まってる。





お願いだからもう俺を1人にしないでよ。







10年振りの涙は10年前よりも量が多いように感じた。



またあえる日を願って俺は毎日学校に通う。





結局りんの学年が卒業する日もりんは現れなかった。








今彼女はきっと18歳。




ただあなたの幸せだけを願っています。




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