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第四話 「歪んだ愛の結晶」.
医務室での出来事から数日後。
rbrはなんとか体調を回復させ、自室に戻ることができた。
しかし、彼の精神的な疲労は増すばかりだった。shp の「rbrさんの全てを知る」という言葉は、彼にとって恐怖でしかなかったのだ。
そして、その恐怖は現実のものとなった。
盗聴と監視
まず異変を感じたのは、自分の部屋でのことだった。
些細な独り言や、オンラインゲームでのチャット内容まで、なぜかshpが知っているのだ。
「rbrさん、昨日寝言で『えびふらい』って言ってましたね。もしかして、食べたいですか?今から作ってきますね」
「rbrさん、あのゲームのボス、左から回ると楽ですよ。ワイ、ちゃんと見てましたから。」
最初のうちは偶然かと思ったが、あまりにも頻繁に起こるため、rbrは自身の部屋に盗聴器や監視カメラが仕掛けられているのではないかと疑い始めた。
壁や家具の隙間、果てはぬいぐるみの目の中にまで目を凝らしたが、見つけることはできない。
しかし、ショッピが自分の部屋の動向を全て把握しているという事実は、ロボロに大きな精神的負担を与えた。
彼は自分の部屋にいる間も、常に誰かに見られているような息苦しさを感じていた。
行動記録と分析
次に始まったのは、rbrの行動記録と分析だった。
幹部棟の廊下を歩いていると、突然後ろからshpがヌッと現れる。
「rbrさん、今日は午前中に食堂で朝食を取り、その後は訓練室で個人訓練、そして書記長室に書類を届けましたね。訓練時間は昨日より5分短いですが、集中力は高まっていました。書記長室での滞在時間は…」
shpは手のひらサイズのタブレットを操作しながら、まるでrbrの一日の行動全てを記録しているかのように、淀みなく語り続ける。
「お、おい!なんでそこまで知っとんねん!?」
rbrが思わず声を荒げると、shpは少しだけ顔を曇らせた。
「rbrさんのことをもっと知って欲しい、と仰ったのはrbrさんじゃないですか…?」
その言葉に、rbrは眩暈がした。
「全てを知る」とは、文字通り彼の生活の全てを把握するということだったのだ。
shpのデータに基づいた分析は、rbrの行動パターンや癖を浮き彫りにし、彼の自由を奪っていった。
そして、決定的な出来事が起こった。
ある日、rbrの執務室の机の上に、一冊の分厚いファイルが置かれていた。
表紙には、丁寧に手書きで**「rbrさん観察記録」**と書かれている。
恐る恐る開いてみると、そこにはrbrが生まれてから現在までの、あらゆる情報がびっしりと書き込まれていた。
幼少期の写真 、学生時代の成績 、好きだった教科 、嫌いな食べ物 、果ては初恋の相手のイニシャルまで…
日付ごとに細かく記された行動記録、発言内容、その時の表情の分析までが、几帳面に綴られていた。
まるで、探偵が記した報告書のように。
「これ…どういうことやねん…」
rbrは震える手でページをめくった。
そこに書かれている情報は、彼自身も忘れていたようなことまで含まれている。
そして、その全てが、shpの筆跡で書かれていたのだ。
「rbrさん、見てくれましたか?」
背後から、shpの声がした。rbrが振り向くと、shpは満足げな笑みを浮かべて立っていた。
その手には、もう一冊、同じような分厚さのファイルが握られている。
「これはワイが、rbrさんのことをもっと深く理解するために作った、俺だけの秘密の記録です。これさえあれば、ワイはrbrさんのことを、いつでもどこでも、完全に理解できます。rbrさんが何を考えているのか、何を求めているのか、全部。」
shpの瞳は、まるで深淵のような暗さを宿していた。それは愛というより、執着の極みだ。
「さあ、rbrさん。これからは、もっとワイと一緒にいましょうね。ワイがrbrさんの全てを知り尽くして、決して寂しい思いなんてさせませんから。」
shpは、rbrにゆっくりと近づいてくる。その足音は、rbrにとっては破滅へと向かう足音に聞こえた。
逃げ場はない。彼の愛は、もはやrbrの全てを飲み込もうとしている。
rbrはただ、ファイルに目を落とし、その中に記された自分自身の人生が、まるで他人の記録であるかのように感じていた。
自分の全てが暴かれ、管理されている。
この底なしの愛情から、一体どうすれば抜け出せるのだろうか_
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コメント
3件
めっちゃいい まじで大好きです 続き楽しみです😊