コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
普通、木の枝ってその先に葉っぱがあったりしてるんじゃないの⁉︎
叩きつけられる枝にはそんな余計なものはなく、殺傷性が高いであろう太くよくしなる先の尖ったもので、一撃ごとに身体の軽いわたしは地面の振動で飛び跳ねるのかと思うほどの衝撃がくる。
実際には横っ飛びに必死で躱してるから、そんなコミカルなことにはなっていない。
「いぃぃぃやあぁぁぁぁっ! なにあれっ、こわいっ、こわいよっ! なんなのあれえぇっ!」
叫びながら目が離せない。叩きつけられた地面が土を飛ばし陥没してるのを見て、絶対に当たっちゃいけないやつだって確信したものっ!
「あれは魔獣ですよ。私たちの間ではトレントなんて呼んでますが、この世界においては木の魔獣、木の化け物、怪物……まあこの場合、木の魔獣でいいと思います」
ロズウェルさんがそう言いながら矢が放つって、またしても轟音を響かせ幹に刺さる。しかしそれもどれほどの効果があるかは分からない。
「こんなのどうやって倒せっていうの⁉︎死ぬぅ!」
飛んできた枝を避ける。
「倒せるわけないじゃないですか。何言ってるんですか?」
矢が放たれる。続けてもう1本。
うろを抜けるような低い音が聞こえた。まるで怒っているように。
「まあ、怒っているでしょうね。いきなり矢を刺されたのですから」
「じゃあっ、どうやってっ⁉︎ きゃあっ!」
なりふり構わず避ける。ギリギリすぎて辛い。
矢が放たれる。
「必要なのは枝と皮です。それも1人分であれば倒す必要などないでしょう。その右手の武器で」
もう1本。
話しながら、矢を放ちつつ魔獣が繰り出す鞭を躱している。わたしなんかとは格が違う。
「こんなの無理でしょ⁉︎ だったらかわりにロズウェルがやってよ、あなたなら楽勝でしょ⁉︎」
あまりに軽く言ってくれるものだから、わたしが苛立ち放った言葉は、魔獣の鞭よりもたやすくヒラリとかわされてしまった。