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橘靖竜
#女主人公
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翌朝、お馴染みのビュッフェでは、甘いの、甘くないの、色んな種類のパンがあり、シリアルも充実している。
偏見で海外はあまり野菜を食べないイメージがあったけれど、サラダバーには色んな野菜があり、フルーツも豊富だ。
冷蔵庫の中には、グラスに入ったジュースやスムージーもある。
他にもオムレツをその場で焼いてもらったり、お馴染みのソーセージ、ベーコン、他の玉子料理、炒飯みたいなのもあった。
部屋に戻ったあと、メイクをして日焼け止めをガッツリ塗り、Tシャツにショーパン、靴下にスニーカー、髪はポニーテールにしてキャップを被った。
尊さんはいつも通り半袖Tシャツにデニム、キャップとサングラス。
ホテルのロビーで会った涼さんと恵も、お互い似たような感じだった。
その日は、スカイレール・レインフォレスト・ケーブルウェイという、世界遺産の熱帯雨林やバロン滝を見下ろせる、ながーいロープウェイに乗ってキュランダという村に向かう。
キュランダを観光したあとは、キュランダ高原鉄道に乗ってケアンズの街に戻る予定だ。
私たちはホテルを出てタクシーに乗り、ケアンズの街並みを見ながら二十分ほどで、ロープウェイの乗り場のある、スミスフィールド・ターミナルへ行く。
そしてワクワクしながら、緑色のロープウェイに乗った。
ロープウェイは四人乗りで、乗り場の所では勿論ゆっくり動いてくれるけれど、いざ直線コースになると、思いの外向かいのゴンドラが速く過ぎ去ってびっくりした。
「緑ばっかりですね」
「土地いっぱい、熱帯雨林だからな。ぶっちゃけこのロープウエイは自然を楽しむものだ」
「確かに、景色はいいですよね」
足元はもっさりした緑の山、遠くにはケアンズの街と畑、さらに奥に海と空。
それだけのシンプルなパノラマだけれど、東京に比べると自然一杯で贅沢だ。
頂上のキュランダ駅までは7.5キロあり、途中に二つ駅があるけれど、片道一時間はかかる。
素晴らしいパノラマなんだけれど、人間、同じ景色を見てばかりも飽きてしまうので、私たちは雑談をし始めた。
「昨晩はすぐ寝た?」
恵に尋ねると、「うん」と頷いた。
「お腹いっぱいだし、お酒も飲んだし気疲れしたし、スヤリンコだよ」
「……俺がムードのある曲を流して、ガウン姿で髪を掻き上げて『おいで』って言っても、『うっす』と言って横で寝始めたよね……。恵ちゃん、俺の扱い方分かってきたね……」
涼さんが悲しげに言うので、私はケタケタ笑ってしまう。
「だって相手してる気力なかったから……。すんません。次はそのボケ、受け止めるので」
「ボケでもないんだけど?」
悲鳴じみた声を聞き、私はさらに笑う。
「花になった夢は見なかった?」
「へ? 花?」
恵が不思議そうな顔をするので、私と尊さんはクスクス笑う。
「なに? 内輪ネタ?」
彼女が不審そうな顔をしたので、私は慌てて昨晩のフラワーネタを話す。
「なにそれ、ホラーじゃん」
「恵ちゃんは向日葵だよね~」
「私、涼さんは赤いバラに思えます。動物イメージもライオンだし、王様!」
私が挙手して言うと、尊さんが「確かにみんなそう言うな」と同意する。
「朱里は何かな? 華やかな花のイメージだけど……。芍薬や牡丹……も綺麗だけど、ダリアも合ってるかも」
「ラナンキュラスもいいよな」
みんなからお花のイメージを言われ、私は「えへへ……」と照れる。
「尊さんは?」
「俺はトリカブトでいいよ」
「こんな時まで自分を卑下しないで!?」
慌ててフォローしようとすると、涼さんがいい事を言ってくれた。
「俺、尊は紫っぽい花のイメージがあるんだよな。藤とかライラックとか、一つ一つは小さいけど、シャラッとした花が似合うと思う」
「なんも出ねぇぞ」
「えー? 緑と金色のオーストラリアンカラーの、カンガルー柄ブーメランパンツ穿いてくれるんじゃないの?」
「先生、三日月くんが虐めます」
尊さんが挙手して言うと、恵が冷ややかに言った。
「三日月くん、廊下でスクワットね」
「中村先生の命令なら喜んで!」
どんどん場内がカオスになってきたぞ。