テラーノベル
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弟の翔太が生まれた時、まだ小さかった亮平は母に言われた。
「亮ちゃんもこれでお兄ちゃんになるんだから、弟を守ってね」
💚「はーい」
ほっぺがぷにぷにして、小さくて、可愛い。おそるおそるお母さん指を出したら、小さな手でぎゅっと握った。
こんなに小さくて、かよわそうな赤ちゃんが、ボクのおとうと。
くすぐったくなるような優越感に浸る。亮平はおばあちゃんの家からお母さんが戻って来るなり、弟の世話を買って出た。弟が泣くと、すっ飛んできて、おなかすいたのかな?オムツかな?と一生懸命に世話を焼く。お母さんがミルクを温めている間に、弟をだっこして、泣かないようにゆすってあげるのはいつも亮平の役目だった。お母さんでもお父さんでも泣き止まないのに、亮平が抱くと泣き止むことも何度もあった。「お兄ちゃんが大好きなのね」お母さんが褒めると、亮平はえへへと喜んだ。
弟が可愛くて可愛くて仕方ない。
それに、亮平と翔太は実際、近所でも有名な可愛い兄弟だった。街を歩いていると、ご近所さんが次々に話しかけてくる。
ーあら、お散歩?可愛いわねぇ、仲良しで
ー翔ちゃん、お兄ちゃんが本当に好きなのねえ
時にはベビーカーを押して、お母さんのお買い物のお供もする。
ある日。
亮平は、どうしてもお外に出たくて、お母さんにお留守番を頼まれたのに、ベビーカーに翔太を乗せて出掛けてしまった。
何度も押したことあるし、ボク、上手だし。
坂の途中にある、お友達の家のチャイムを鳴らす。中からカードを交換する約束の子が出てきた。一緒に仲良く集めているかっこいいカード。ベビーカーをわきに停めて、彼の手持ちのアルバムを見せてもらう。
💙「キャッ!キャッ!」
生まれた時より少し大きくなった翔太は、機嫌がいいのか、足をバタバタさせて暴れた。
「あっ!」
友達の声で、びっくりして振り返ると、坂を下って行くベビーカーの後ろの部分だけが見えた。亮平は慌てて追いかける。緩い坂だけれど、進めば進むほど、スピードが上がって、亮平の足ではとても追いつけない。
🖤「うわっ!うわ!何???」
坂の下から上ってきた小学生が、あわや、バウンドして倒れそうになるベビーカーを支えた。
💙「………んぶ?」
坂の上からベビーカーを追いかけ、手を振る小さな亮平。小学生は手を振り返した。
🖤「君の妹?」
💚「弟、です。よく間違われるけど…」
色の白い翔太はベビーカーの中でにこにこしている。何事もなかったように……無事でよかった。
翔太が無事なことを確認すると、亮平はその場にしゃがみ込んだ。
💚「あせ……ったぁ……」
🖤「気をつけないとダメだよ。怪我させちゃうからね」
💚「ハイ」
素直な返事に、小学生も笑顔になった。
🖤「二人で帰れる?」
💚「帰れます」
小学生は、小さな亮平の頭を撫でると、翔太の頬を指で刺して、ぷにぷに、と笑って去って行った。
💚「ごめんね?翔太、帰ろうか」
💙「キャッ!キャッ!」
翔太はにこにこ。
亮平はホッ。
二人仲良くお家に帰って、その後はいつもより大人しくお母さんを待っていたのは、亮平と翔太だけのひみつだ。
コメント
6件
リアルばぶしょぴ💙 小さいお兄ちゃん共々きゃわすぎて苦しい🥺
きたー!兄弟!!💚💙 待ってました🤭🤭