よく小説や漫画で描かれている「運命の人」
私は最初に恋する人は運命の人と決めている。
だが中々、運命の人に出会える気配がしない。
「どこかに居ないかな〜私の運命の人!」
「また言ってる」
呆れたように反応する人は私の友、
ハナサキ ミユ
花咲 未夢
「まずさ、運命の人は漫画の中の世界でしか
存在してないんだからね?」
「存在してるって!!」
この会話を毎回している気がする。
それでも私は「運命の人」を信じる。
だって信じたら
奇跡が起きるかもしれないんだもん。
「てかさ、結衣の理想の運命の人ってどんな人なの?」
「そりゃあ、『夏』っぽい人かな」
「なにそれ」
そう。私の運命の人の理想像は『夏っぽい人』
私の好きな季節は夏だからだ。
そんな話をしている私の目の隅に、
ある人影が映った。
爽やかな男の人でアイスを食べていた。
何故だか私はその人から目が離せなかった。
次の瞬間、その男の人は消えてしまった。
たった瞬きをしたこの一瞬で。
ついに暑くなって幻覚が見えていたのかもしれない。
この時の私はそう思って気にしなかった。
「結衣?おーい、結衣ってば!!!」
「あ、ごめんごめん、ちょっと幻覚見えてた」
「は!?え、それ大丈夫なやつ?」
「平気平気!!治ったから」
と私は未夢にVサインを見せる。
それから2週間後、私はまた、あの場所であの男の人を見かけた。でも動こうとはしていなかったので私は私だけに見える幽霊かと思った。
あ、また今日もいる、、、。
触ってみようかな、、。
私はつい、その人に触れてしまった。
するとその人は、
「結衣、待ってたよ」
と爽やかな笑顔を私に見せた。
え、なんで私の名前を知っているの?
私は大きな恐怖に襲われた。
「結衣!?」
私は気がつくとその場から逃げていた。
だが、
その男の人は私の目の前に立っていた。
さっきまであそこに立っていたのに、、。
私が困惑していると男の人はこう言った
「結衣?覚えてないの?僕だよ?『海』だよ?」
海、、、?その名前、、
どこかで聞いたことがあるような、、、。
次の瞬間、私の目の前は真っ暗になった。
私は目を開けると白い天井が視界に入った。私の隣には心配そうに見つめる先程の海?という男の人が座っていた。
「結衣、、大丈夫、?」
私は何も反応が出来なかった。
「結衣、正直に答えて欲しいんだけど、
僕のこと覚えてる?」
「、、、、覚えてないです」
「そっか、」
と男の人は悲しそうになった。
「でも、、聞いた事ある気がします、、。どこかで会いましたっけ?」
と尋ねると
「僕は結衣の初恋の人だよ!!」
と嬉しそうに笑った。
初恋、?海、、、
「あ!!!思い出した!!」
「草実さん!!病院ではお静かに!!」
「あ、すいません、、、」
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「ねぇねぇ、君、だぁれ?」
「僕、?」
「うん!君!!名前は?」
「名前、、、無い、、」
「ふーん、そうなんだー。
じゃあ私が名前付けてあげる!!」
「本当!?」
「うん!じゃあ君の名前は『海』!!」
「海、、、僕の名前は海!!!」
「ねぇ結衣、僕ね夏の間しかここに来れない」
「なんで?」
「それは僕が__________だから」
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あの時、海はなんて言ってたっけ?
どれだけ考えても思い出せない。
海のことをもっと知ったら
思い出せるかもしれない。
そう思った私は
「海?今さどこ行きたい?」
「思い出の場所」
思い出の場所、、多分、あの神社のことだろう。
海岸沿いに建っていた神社、
水西洸神社のことだろう。
でも、既に私が小さい頃で
ボロボロの神社だったため、
今もあるか分からなかった。
「まだあるか分かんないよ?」
「まだあるよ!!」
なぜ確信したように言うのだろう。
「じゃあ行ってみよう」
「うん!!」
本当に建っていた。
今も昔と変わらず同じ姿で。
「結衣!結衣!!ここね僕の家なんだ!!」
そう言いながら海は笑みを浮かべた。
神社が家?そんなことあるんだ。
「あ、待ってお供え物忘れた」
そう、私はこの神社に訪れる際は
毎回お供え物を持って行っていた。
「大丈夫だと思うよ?」
「いや持ってくる」
と言い、私は神社と海を背に家へ向かった。
「結衣!待って!!行かないで!!!」
行かないで、?なんで?
戻ってくるから待ってればいいじゃん。
それか着いてこれば?
色々な考えが頭に浮かんだが
一緒にあの事も浮かんだ。
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「それは僕が夏の結衣の守り神だから」
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守り神、?
バッと後ろを向くとそこに海の姿は無かった。
コメント
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めっちゃいい話😭