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私は校門の前でお兄ちゃんのお見送りを受けながら、忍術学園を後にした。
お爺様と住んでいた家に向かって歩きだし、途中街に立ち寄り、食料を買ってから1人で山奥に向かって歩みを進める。
……ね……ちゃ……
誰かに呼ばれた気がして、後ろを振り向くが気のせいだったのか、私は前を向いて歩みを進める。
……ねぇ……ちゃ……
私は足を止めて、後ろを振り向いた。
人をかき分けながら、走ってくるのは少年だった。見たことある、私の命よりも銭よりも何よりも大切な弟だった。
「姉ちゃん!!!!」
弟は涙を流しながら、叫んだ。
「行かないで!!!!!」
いつもクールなきり丸じゃなくて、私の知ってる甘えん坊で寂しがり屋な弟だった。
そんな弟を追ってくる土井先生は、ゆっくりと歩いて私から目を逸らさないで慈愛に満ちた目で私を見ていた。
ぼふっときり丸が私のお腹に顔を埋める。
私はどうすればいいのか、分からなくて弟を抱きしめ返すことができなかった。
私の前に立ち止まった土井先生は私に言った。
「結江、」
私の名前を飴玉みたいに転がすように甘い声で呼んで、私の顔を覗き込んだ。
「一緒に帰ろう?」
何処へ、なんて聞けなかった。
周りの街の人達は、私を冷ややかな目で睨む。
あんな良い旦那から逃げるなんて、
弟を泣かせるなんて、
それを訂正しないのか、聞こえていないのか、分からないが土井先生は満足そうに笑みを浮かべていた。
私の両頬に土井先生は両手を添えて、包み込んだ。
離して、やめて、怖い、助けて、
頭をグルグルと回る。
「結江?」
土井先生は、私をそんな目で見ない。
五車の術かな、私、それ意味ない。
「姉ちゃん、?」
きり丸の声で私はきり丸と同じ目線にしゃがみ話しかけた。
「きり丸、」
私が呼ぶと、きり丸は小さく、ぅん、とか細い返事をした。
「一緒に、帰ってもいぃ?」
涙が止まらなかった。
「私、きり丸と、いたい、」
私は涙を流しながら、きり丸にといた。
「私も、帰ってもいぃ?」
きり丸は私を抱きしめた。
私はきり丸の肩に顔を埋める形になってしまう。
「帰ろうよ、姉ちゃん”」
その日、私は開放された。
いない誰かを探すのが終わった。
1人で家に帰ることが無くなった。
土井先生の長屋に転がり込むことになった私は土井先生に頭を下げ、一緒に住むことになった。
きり丸は私の腰に抱きついて中々離れず、そんな私たちに土井先生は笑うだけ。
「土井先生、私、」
申し訳なくて土井先生に謝ろうとしたら、土井先生は私の頭を撫でた。
「お前はまだ子供なんだから、大人に頼りなさい。」
頼りなさい、なんて何年ぶりに聞いたのだろう。
ダメだと思っていた。私はあと1年で卒業を迎える、最高学年だから、しっかりしないと行けないとおもっていたから。
「はぃ」
何回も泣いてしまった。
ボロボロと涙が止まらなかった。
顔を両手で隠して泣いて。
昔のことを思い出した。
泣いても仕方がない、と割り振って綾部くんの掘った落とし穴で泣いた私は罪悪感で押しつぶされて、大好きだった同室は私よりも先に卒業してあの日、泣いても泣いても泣き足りなくてどうすればいいか分からなくて……
お爺様を亡くして、弟を探して探して……
どうすればいいのか、分からなくて、
土井先生は私を抱きしめた。
いい子いい子と頭を撫でてくれた。
「頑張った、頑張った。」
きり丸も私を背中から抱きしめてくれた。
「お前は、頑張ったよ。」
土井先生の肩から顔を上げて、聞いた。
「私……偉い…?…」
そう聞くと、土井先生は優しく優しく私を抱きしめて言った。
「嗚呼、偉いよ、結江」
私、認めて欲しかったの。
偉いねって言って欲しかったの。
抱きしめて欲しかったの。
本当はきり丸と一緒にいたかったの。
でも、できなかったの。
私じゃきり丸を幸せにできないって思ったの。
本当は同学年の子達とも遊びたかったの。
本当は先輩に大好きですって言いたかったの。
本当は先生方に助けてって言いたかったの。
本当は帰りたくなかったの。
きり丸と手を繋いで帰りたかったの。
おかえりって言いたかったの。
ただいまって言いたかったの。
大好きだよって言いたかったの。
大切なんだよって言いたかったの。
ただ、それだけだったの。
きり丸は私の手を握った。
小さい小さい手で私の汚い手を握った。
きり丸の手を引きたくて
きり丸を抱きしめたくて
きり丸に謝りたくて
きり丸に会いたかったって言いたくて
「姉”“ちゃん”“」
泣きながら私を呼ぶきり丸。
「た”“い”す”き”」
「う”ん」
私はきり丸の手を握り返した。