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NAGI
「……ふざ、けんな……っ!」
耳元で囁かれた銀時の甘い呪詛を振り払うように、総悟が爆発的な力で暴れた。
両手首の鎖が激しく火花を散らし、コンクリートの壁を削る。
視界が真っ暗な分、総悟の身体能力は生存本能に直結し、その蹴りが銀時の脇腹を鋭く捉えた。
「っ……、あぁ、痛ってぇ、流石だねェ、まだそんな元気残ってたわけ?」
銀時は僅かに顔を顰めたが、その瞳には嗜虐的な愉悦が灯る。
総悟は自由の利かない手で、手当たり次第に銀時の胸ぐらを掴もうと空を掻いた。
「俺を誰だと思ってやがらァ! アンタみてーな死に損ないに、この俺が飼われると思ってんですかィ……! 離しやがれィ! ぶち殺してやらァ!!」
牙を剥いた野良犬のような咆哮。
だが、銀時はその抵抗を待っていたと言わんばかりに、総悟の細い両手首を一纏めにして、頭上の壁へと力任せに押し付けた。
「が、はっ……!」
背中を壁に強く打ち付け、総悟の呼吸が止まる。
間髪入れず、銀時の重い膝が総悟の太腿の間に割り込み、その自由を物理的に、そして圧倒的な体格差で奪い去った。
「暴れろよ。もっと必死に爪立ててみろ。……その度にお前が自分の無力さを知るなら、俺はいくらでも付き合ってやるぜ」
銀時の低く、冷徹な声。
総悟はアイマスクの下で必死に目を剥き、首を左右に振って逃げようとするが、銀時の大きな手がその顔をガッチリと固定する。
「やめろ……っ、離せ……旦那、コノヤロー……っ!」
「いい声で鳴くねェ。お前のその誇り高い魂が、指先から一枚ずつ剥がれていく音が聴こえるぜ」
抗えば抗うほど、銀時の握力は増し、総悟の手首には赤黒い鬱血が広がっていく。
侍としての技術も、一番隊隊長としての矜持も、この閉ざされた空間では何の意味も持たなかった。
ただの「男」と「男」としての圧倒的な力の差。
「……嫌でさァ、……んな、ところで……」
ついに総悟の呼吸が、恐怖と過呼吸で浅く、激しく乱れ始める。
あんなに不遜だった声が、物理的な圧力に屈して震え、湿り気を帯びていく。
銀時はその変化を逃さず、総悟の首筋に鋭く歯を立てた。
「嫌だって言ったって、お前の体は正直じゃねーの。……ほら、心臓がこんなに『助けて』って叩いてるぜ?」
胸元に押し当てられた銀時の掌から、絶望的な心音が伝わる。
総悟の全身から力が抜け、カラン、と鎖が重く垂れ下がった。
暴れる気力さえも、銀時の執拗な力ずくの愛によって、根こそぎ奪い取られてしまったのだ。
「……お利口さん。……全部捨てて、俺だけを見てろよ、総悟」
暗闇の中で、総悟はただ、自分を壊し続ける銀時の熱い吐息に呑み込まれていった。
コメント
1件
おお……この重くて熱い空気、ヤバすぎるわ。総悟の剥き出しの抵抗と、銀時さんの“全部捨てて俺だけを見てろ”っていう執着が濃密で、読んでて息が止まるかと思った。タイトルの“不器用な愛”に全部集約されてる感じするわ。2話目でここまで来るか、次が本当に気になる🔥