テラーノベル
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アイマスクの裏側で、総悟の瞳はまだ死んでいなかった。
荒い呼吸の合間に、彼は残されたわずかな自由——足先の力を一点に集中させる。
「……っ、なめ、んじゃ……ねェ……!」
渾身の力で跳ね上げた膝が、銀時の腹部を掠める。
肉の焼けるような鈍い音。
総悟はそのまま壁を蹴り、拘束された手首の痛みを無視して、銀時の喉元へ食らいつこうと上体を突き出した。
例え牙が折れようとも、喉笛の一本でも食いちぎってやると言わんばかりの、獣の執念。
だが、銀時はその一撃を予測していた。
わずかに身を躱すと、総悟の細い首筋を鷲掴みにし、そのまま床へと叩きつける。
「ガッ……は、あぁっ……!」
後頭部が板張りの床に激突し、火花が散る。
衝撃で脳が揺れ、総悟の指先から力が抜けた。
しかし、彼はまだ止まらない。
爪を立て、コンクリートの床を掻きむしり、這い出そうとする。
「しぶてーなァ、おい。……そういうトコ、嫌いじゃねーけどよ」
銀時が背後から総悟の腰を跨ぎ、その巨体で完全に圧し潰した。
馬乗りになり、逃げようとする総悟の両腕を背後に回して、片手で強引に捻り上げる。
「いっ、ぎ……あ、あああぁぁ!」
肩の関節が極限まで軋み、鋭い激痛が走る。
総悟は泥水を啜るように床に頬を押し付け、必死に毒づいた。
「殺せ……っ、殺しやがれィ、旦那ァ……! こんな真似して、俺が……屈すると、思ってんですかィ……!」
「あぁ?、だから思ってねーっての。だからこうして、一から叩き込んでやってんだろ」
銀時は総悟の耳元に唇を寄せ、重く、逃げ場のない声を落とした。
空いた手で、総悟の後頭部を床に押し付け、その逃げ場を物理的に奪う。
「いいか、総悟。お前が諦めねーってんなら、俺も諦めねーよ。お前が立ち上がろうとする度に、俺はその足を折ってやる。お前が誰かを呼ぼうとする度に、その口を塞いでやる」
銀時の掌が、総悟の口を乱暴に覆った。
「んぐっ、……ん、んんっ……!」
籠った悲鳴。
酸素を奪われ、視界は真っ暗なまま、ただ背中にのしかかる銀時の圧倒的な質量と、捻り上げられた腕の激痛だけが現実として刻まれる。
「……ほら、もう動けねーだろ? 侍の意地なんて、俺の前じゃただの飾りなんだよ」
銀時は総悟のうなじに顔を埋め、深く、深く、その匂いを吸い込んだ。
どれだけ暴れても、どれだけ牙を剥いても、結局はこの腕の中に収まるしかないのだという絶望的な事実。
総悟の身体から、ゆっくりと、けれど確実に抗う力が失われていく。
震える指先が床を捉えることもできず、ただ虚空を掻いて、力なく垂れ下がった。
「……お利口だ。……お前のその、折れねェ魂ごと、俺が美味しく頂いてやるよ」
銀時の瞳には、勝利の愉悦ではなく、ただ暗く深い、底なしの「飢え」だけが宿っていた。
NAGI
コメント
1件
わあ、めちゃくちゃ重くて濃密な回でしたね……! 総悟の“折れない魂”と銀時の“底なしの飢え”が真正面からぶつかり合う緊張感が、ページからひしひし伝わってきました。特に「♡♡♡」と牙を剥く総悟を、一歩も引かずに「頂く」と宣言する銀時の執着の深さ——あのラスト一文の“飢え”の表現、鳥肌立ちました。拘束下の細かな身体の抵抗描写も生々しくて、読んでるこっちが息苦しくなるほどでした。続きが気になりすぎます……!