あの訳の分からない体験から、13年が経った。
今でも「あの頃の」ミシェルやお腹にいる子供の事をたまに思い出す。
この世界のジョンに糖尿病の症状は全く無く、
食べたい物を自由に食べられる生活には幸せを感じていた。
ジョンはいつものようにジョセフに挨拶し車に乗り込み仕事に向かう。
車と言っても運転をするわけではない。
さらにガソリンは必要無く、出力と発電を同時に行い起動に必要なエネルギー出力以外は一切のエネルギーを必要としない。全ての車を一括で操るAIコントローラーによって渋滞や事故のないいわば動く箱だ。
そのエネルギー源は、あの日みたとてつもなく大きな球体からきている物で、交流電流というものらしい。
現在、この世界のジョンは環境省に勤めており自然が人に与える影響について深く考え、共存していくための活動を行っていた。
資源やエネルギーが不足しない環境下では国家間の争いはなく一人一人の多様な考え方が重視されていた。
またいつものように仕事に向かうある日、
何気なく建設中のビルに目が行く。
その時、誰かの叫び声と共に大きな黒い影が上から降ってきている事に気がついた。
一瞬の出来事で足が竦み、身動きが取れずそのまま作業中の機械の下敷きになった。
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