『よろしくね!谷地さん!』
「は、はい!」
私はバレー部の新入マネージャー、谷地さんと話していた。
『タメ口でいいよ〜!タメだし。』
「えぇと、うん!」
『わかんないこと事があったら教えてあげるね!と、言いたいところなんだけど…』
『私も入ったばっかりでね〜・・・』
「ううん!ありがとうございます!!」
『頑張ろうね〜』
そんな話をしていると、日向と影山さんが話しかけてくる。
恐らくあれのことだろう。東京への遠征。
私もすごく楽しみにしているが、一部の人は勉強が必要なようで・・・
「西川、谷地さん!勉強教えてください!」
「教えてください。」
日向と影山さんが頼んできた。
『あ、良いけど、私あんまり…』
「全然いい!!」
日向が大きく私の声に被せてきた。
(ほぼ強制だけど、まあいいや。)
勉強会が終わり、日向たちが席を立つ。
「ありがとー!谷地さん!西川!」
「あざした。」
『あ、うん!』
『頑張ろうね!』
「おーう!!」
そう言って日向たちは教室から出ていった。
谷地さんが口を開く。
「なんか直射日光浴び続けたみたい…」
『確かに笑 明るいよねぇー』
『それじゃ、また部活でね。』
「あ、うん!」
私も日向たちを追って教室を出た。
水場で谷地さんとドリンクを作っている時、日向たちのことを考えていた。
(大丈夫かなー、)
日向たちはテストで赤点を取ってしまったのだが、田中さんのお姉さんのおかげでなんとか来れることになったのだ。
(もう結構遅いけどな、)
そんなことを考えていると、遠くから谷地さんを呼ぶ清水先輩の声が聞こえる。
『ん!呼ばれてるよ』
「ほんとだ!行ってくる! 」
「行ってらっしゃい〜」
谷地さんが清水先輩の元へ走っていった後も、私はぼーっと考えていた。
そのせいか、歩いていると何か、…恐らく人にぶつかってしまった。
『す、すみません!』
「あ。」
とっさに謝ると、聞き覚えのある声が返ってくる。その人に視線を向けると、研磨さんが立っていた。
『あ、研磨さん!』
「うん。なんか久しぶり。」
『久しぶりです!』
『ゲームですか〜?』
研磨さんの丸まっている手元を見ると、ゲームではなく怪我をしていた。
『ぇ、すみません!』
「いいよ。切れちゃった。」
『! それなら!』
私はポケットから絆創膏を取り出す。
『使ってください…』
「…え、ありがと。」
使ってくれて内心ほっとしている私の耳に、なにか叫んでいる人の声が聞こえる。
(?! 叫んでる?!)
驚いた私は、急いで声が聞こえる方へ向かうと、白と銀の髪をわしゃわしゃしている人を見つけた。
「くそー!!!」
『ど、どうしました?』
おそろおそろ声をかけると、眩しい笑顔でこちらを向く。
「お?!特になにも!」
『え、でも…』
「それより君どこの高校の子?!?!」
(何だこの人…声大きすぎる…)
私が圧倒されていると、後ろから軽く服を引っ張られる。そこには眉間にシワを寄せた研磨さんがいた。
(着いてきてたの?!)
「ちょっと…この人疲れる。」
「もう早くいこ。」
『え、でも…』
片側からはバカ大声、もう片側からは引っ張られ、私はだいぶ混乱していた。
(だ、だれか…!)
すると突然、冷静な声が聞こえてきた。
「木兎さん。その子困ってますから、ちょっと音量下げてください。」
「おお赤葦!!すまん!」
『え、えぇ?』
木兎さんという人を止めてくれたのは、多分同じ高校の黒髪の人だった。
「研磨も。」
「…うん。」
研磨さんも落ち着いたようだ。
(研磨さんとも仲良いのか、)
「ごめんね。大丈夫?」
『あ、はい!』
黒髪さんと話していると、私も落ち着いてきて今の状況を理解する。
(なんか知らない高身長の方たちと話している!怖い!)
『ほんとにありがとうございました!』
『あ、あの失礼します…』
「ああ。足止めしてごめんね。」
「烏野の子だよね?これから頑張ろうね。」
『は、はいぃ。』
私は皆さんに会釈をして、そそくさとドリンクを持って体育館に向かっていった。
<続く>
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