体育館に向かっていると、突然誰かに腕を掴まれる。
『えっ』
(あ、この人…)
見上げたそこには、音駒の主将だった黒髪の人がたっていた。
「急にゴメンなさいね」
「ゆりサン。」
『あ、音駒の…』
「黒尾鉄朗でーす。」
黒尾さんは焦っているような様子だった。
『どうしました?』
「あの金髪っていうかプリンの人知らない?」
「君と前話してた人。」
『プリン…?』
『…あ、研磨さんならあっちで木兎さん?って人と一緒にいるかと…』
「えまじ?意外だなー、」
『?』
「とりあえず行くわ。ありがとね〜」
「また後で。」
『は、はい!』
そう言って、黒尾さんはさっきの3人の所へ走っていった。
(なんかいっぱいの人に会ったな〜、)
私は不思議な感覚になりながらも、体育館に戻った。
(合宿2日目の音駒試合後ら辺に飛びます。)
日向が水場で頭を洗っているのを見つけた私は、日向に話しかけに行った。
『日向ー!お疲れ!』
「おー西川!」
『音駒凄かったねー』
「うん。特にあのでかいヤツびっくりした!」
『ねー!なんかのハーフとかかなー?』
『身長何cmなんだろ?』
「うらやま…「日向ボケェー!!!」
日向の声にかぶせて、遠くから日向を呼ぶ影山さんの声が聞こえた。
「もー、わり!行ってくる!」
『うん!』
日向は影山さんの方へ向かっていった。
(私も戻ろーかなー、)
なんて考えていると、突然後ろから声が聞こえた。
「ねー!今俺の話してた?!」
『えっ?!』
「あ、ごめん!でも噂されるなんてさっすが俺だなー!!」
そこに立っていたのは例の高身長さん。近くだとさらに大きく感じる。
『あなたは…?』
「俺灰羽リエーフ!1年!」
「あなたも1年生だよねー?」
『は、はい。西川、ゆりです。』
大きい声とすごい距離の詰め方で少し圧倒されるが、なんとか会話をする。
『灰羽さん、すごい大きいですよね。』
「リエーフでいいよー」
「俺日本とロシアのハーフだから!」
『あ、なるほど!』
『やっぱ身長高いっていいですね。便利なこととか多そうだし!』
「西川はちっちゃいなー」
「まー、便利っちゃ便利!モテちゃうけど!」
『も、もて…?』
(なんか独特な人だな…)
「あ、やべ!夜久さんに怒られる!」
「じゃ、またな西川!」
『は、はい。』
私は戸惑いながらリエーフさんの走る背中を眺めていた。
(合宿最終日に飛びます。)
(いっぱい飛んでごめんね! by主)
『あつー…、』
私たちは今、烏野高校と東京の高校たちでBBQをしている。
(あつすぎるー!!)
美味しいお肉が食べれるのはいいが、快晴の下焼き係は結構きつい。私がぼーっと炭を眺めていると、後ろから声をかけられた。
「ちょっとちょっと、」
「怖いんですケド。大丈夫?」
『わ、黒尾さん!』
そこには心配そうな顔をした黒尾さん。
『あ”ついですよ〜!』
「あ〜、だよね〜笑」
「てかゆりさんお肉食べてないでしょ。焼くのはリエーフがやるから食べてていいよ〜。」
「ちょっと!黒尾さん?!」
『え、でも…』
「いいから〜。」
私はお肉の乗ったお皿を渡され、黒尾さんに連れていかれた。
『ほんとにいいんですか?リエーフさん…』
「まーまー、あいつはいいの〜」
「それよりゆりさん、お肉食べなよ。」
『…食べます。けど、黒尾さんってなんで後輩にもさん付けするんですか?』
「あー、確かになんでだろ。」
「癖かも?嫌ー?」
『嫌ではないです!!嬉しいです!』
「あら良かった」
「…ゆりさんってさ、モテるよねぇー、」
『?! も、もてません!』
『もてたこと人生で1回もないです!』
「え、そうなの?」
『そうですよ!黒尾さんこそモテますよね!』
「モテたいんだけど〜、笑」
「残念ながらモテないかな」
『そうなんですか?!』
「そーよ。」
『えー、こんなかっこよくて優しいのに…』
「…ンー笑 そーゆとこ。」
『?』
「呼ばれたし、俺行くわー、」
『は、はい。』
(呼んでたかな…?)
疑問に思いながらも、私は1人でお肉を食べていた。するとまた後ろから声がする。
「ぼっちですか〜?笑」
『り、リエーフさん!!』
『何だと!!違いますー!』
「ごめんごめん笑」
『お肉係は?』
「抜け出してきたー!」
『え、大丈夫?!』
「大丈夫大丈夫!それよりさ、」
「西川好かれてるねえー」
『す??』
「え、西川ってひょっとして鈍感?」
「だからー・・・「オォイ!リエーフ!!」
声のする方には音駒のジャージを着た小さめの人が立っていた。
「やっべ!夜久さんだ!!」
「じゃな!西川!」
『う、うん!』
小柄な人に蹴られているリエーフさんを見て心配になったが、お肉を食べ終わった私もみんなの所へ走っていった。
<続く>
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