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※今回死ネタになります
※作品を通してレナさんが結構重め
※オーターさんがヒロイン(?)
地雷ある人はまた別のものを読みにきてくれると嬉しいです
雨が、強かったのは、覚えてる。でも、それ以外、何も思い出せない
「なに、してんだろ俺」
なんで、生きてんだろ
「は…?」
珍しく、就業時間になっても、お前は来なくて
昨日から、連絡もなくて
だから、様子でも、って呑気に考えてた…のに
『今日未明ごろ、20代の男性の遺体が発見されたました。衣服や身分証明書から、砂の神杖 オーター・マドルさんだとみられ、魔法警察は… 』
「…ス…レナトス!!!!!!」
「…カルド、か」
「ずっとあなたの隣にいましたよ」
「そっか」
「…レナトス」
「悪ぃ1人にしてくれ」
「…」
もう、何時間ここにいるだろうか
わからない 知らない どうでもいい
「…クソっっっ」
あぁ気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!!!
「っっなんでっっっ!!!」
なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
「オーター…」
いつもなら、隣からかえってくるはずだった声も今は聞こえない
照れ隠しで殴られることもない
こうして仕事をサボってても迎えにきてくれることも、もう、ない
「…畜生が…」
無力感に、押しつぶされそうだった
「…もう一回、俺を呼んでよ… 」
流石に一週間の無断欠勤は不味かったらしく、ライオが迎えにきたが、仕事だぞ、としか言われなかった。こいつは、元来気遣いのできる男だ。恐らく俺が無駄欠勤していたときの穴埋めはコイツがしてくれていたのだろう
「…」
「…レナトス」
「…んだよ」
「いつまでも暗い顔をしていると、オーターが泣くぞ?」
「…オーターは、もういないのに?」
「…」
頼むから、名前すら出さないでくれ。名前を聞くたびに、隣にいない最愛の人を思い出すなんて辛すぎるから。頼むから、もう…
限界だった。お前が、生きた世界を生きていこうと思ったけど、無理だった。ただ、もう2度とお前と会えないという事実を突きつけられただけだった。もう、何もかもがどうでもよかった
「…綺麗、だな…」
雨の音でさえ、耳障りだったのに。本も、全く面白くなかったのに。飯の味も、なかったのに。何故か、月は、綺麗に見えた。
「…そうか」
お前と初めて出会った時も、初めてデートした時も、初めて体を重ねた時も、こんな綺麗な満月だった。
「そうだったけなぁ…」
ここ数日間、閉じ込めていた思いが、溢れてきた。
慣れない事を、自分のために一生懸命やってくれた嬉しさも
仕事、といって休日に放置される悲しさも
帰ってきてごめんなさいって後ろから抱きついてきてくれる温かさも
「っ…」
目頭が、熱い
いや、雨のせいだ。全部、雨のせいだ。
「ぁぁぁぁ…」
久しぶりに、声を上げて泣いた
お前が死んでから一週間。初めて、俺は泣いた
次の日の出勤は、以前より体が軽かった。
けど、しんどいのに変わりはなくて。カルドも、ライオも、気にかけてくれているのが分かる。
だから、ダメだったのかもしれない。
「なぁ、聞いたか?砂の神杖《デザト・ケイン》の話」
「ああ。ま、でもいなくなってくれてよかったじゃん
仕事も楽になったし、何より定時にあがっても何も言われない!」
「お前はいつも定時あがりだったろ」
「いやいや。だってさ、ずっと働かれるとさ、定時あがりしづらいじゃん」
「ま、俺らの仕事も片付けてくれてたじゃん」
「まーなーでも、そこだけじゃん」
俺の中で、プツンという音がした
「で?だんまり?」
「…」
カルド曰く、俺はあの職員達に殴りかかったらしい。無論手をあげた俺の方が悪いわけだが、カルドは、俺が殴る元気もなかったことには気づいていたらしい。それなのに殴りかかった、ということに対し疑問を持ち、先の会話が暴かれた事で、懲戒免職になったらしい。なんか難しい名前だった気がするが、覚えてない。
「…レナトス」
「…悪ぃ」
本心だ。紛れもなく。だが、
「あのねえ…」
こういうのじゃないらしい
「じゃあ、単刀直入に聞くね。…今、何を考えてるの?」
ああ、どうやらこいつには全てお見通しらしい。さすが人材管理局長様。
「何考えてるって…そりゃ…」
「今後の、生き方」
「は?」
コレも本心だ。正直今の悩みの1割だ。だから、そんな反応されたのは心外だった。
「いや…さ
オーターがいなくなって、その…俺がどれだけ、あいつに執着してたのかが透けてきて…それで、困ってる」
「…レナトス」
「ん?」
「あなたは、いなくならないでくださいね」
ああ。本当に。優秀な人材管理局長様だ
「…タナトス」
俺は、自分の中から杖を取り出した。そう、俺は死ねない
じゃあ、固有魔法を失ったら?つまり、
「契約解除だ」
タナトスとの契約をきってしまえば、俺は死ねる
タナトスが、俺の中から消えたのがわかった
「ははっ…」
もう、戻れない
「今、そっち行くよ…」
そうして俺は、崖から、身を投げ
『今日未明、20代の男性の遺体が発見されました。衣服などから、不死の神杖《イモータル・ケイン》レナトス・リボルさんだと判明しました。魔法局は、2人の神覚者が相次いで亡くなるという前代未聞の状況に、今日の午後、会見を開くと…』
空白多いですかね?
なんなら、レナオタなのにオーターさん登場シーン実質0…次回はバリバリでます