コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
それから蘭華と出会った時のように、手鏡の中に入った。
あの日と何ら変わりのない木の様な質感の廊下を歩いた。
あの日と変わっている所があるとするなら、蘭華が真剣な表情で、何かを考え込んでいることだろう。
暫く歩いて、「Ontmoetingsplaats met Aika」と書いてある木札のある鏡の前で蘭華は立ち止まりました。
愛華との待ち合わせ場所、と書いてあった。
フーと蘭華は息を吐いていつもの自信ありの笑顔をしてから、私と一緒に鏡の外へ行きました。
出てきて一番最初に目に飛び込んだのは、紫色の花だった。その花は、上から垂れていて、美しかった。
そんな事を思っていると、蘭華に手を取られ、花の奥にある道場の前に来た。
「あ、一個言い忘れてた。此処は日本国だ。何処だか分かってなかったろ」
いたずらっぽく笑い、道場の扉を蘭華は勢いよく開けた。
「たのもー!」
扉をあけた瞬間、蘭華はそう叫んだ。
「だから、お前は道場破りでもしに来たのか!?」
右手に刀を持った赤の袴と黒の着物、焦げ茶の羽織を着て、漆黒の髪を後ろで一つにしている紅色の瞳を持つドールがそう叫び返した。
「まぁ、まぁ、そうカッカッなさらずに」
「お前が原因だろ、蘭」
右手に持っていた刀を鞘に収めて手を額に当てている。
「これだから愛とのお巫山戯は辞められない」
ケタケタ笑いながら蘭華は楽しそうにそう言う。
「そりゃ良かったな」
半ば諦めたように愛と呼ばれているドールはそう言った。
愛、と言うのは多分愛称だ。本名は愛華。蘭華はよく約すから勘な感じなんだけど。
「で?そろそろ本題に入ろうじゃないか」
そう言って、愛華は怪しげに笑った。
「流石、愛。察しがいいねぇ」
「蘭が十九時なんかに用もなく平気な顔してここに来るはずが無いだろう?」
何が可笑しいのか、愛華はクスッと笑った。
「要件は、蘭の後にいるドールの事か。名前は、、、欧華だな」
ズバリ名前を言い当てられて私は驚いた。
「なんで、知って、」
私が言い終わる前に愛華が話し始めた。
「余りリーダーの事を舐めるなよ。私は母上、、、、そうだな、簡単に言うなら創造主だな。その方に生まれたドールの名前、性別、性格、見た目、能力、と色々と情報が送られてくるんだ。勿論、お前の事も、な」
淡々も愛華は話した。余りにも冷静かつ沈着に話すものだから、さっきの動揺がいつの間にか消えていた。
「一応、私の自己紹介をしよう。私はここ、日本国の化身、日本様のドールの愛華だ。一番初めに生まれ、ドールのリーダーを務めている」
的確に、かつ、簡潔な自己紹介を愛華はした。
「まぁ、立ち話もなんだ、あっちに椅子がある。そこに座って話そうじゃないか」
そう言って、愛華は手招きをした。
「あ、蘭は外で待っとけよ」
蘭華が道場に入りうとすると、突然愛華は思い出したようにそう言った。
「なんで」
蘭華は驚きの余りか、その一言しか言えていなかった。
「お前、恐怖心をわずかだが、感じているだろう?なら駄目だ」
鋭い目つきで愛華はそう言って、蘭華が言い返す隙も与えず扉を閉めた。