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にゃーにゃ
マネージャーにお願いして、佐久間くんのマンションで一緒に下ろしてもらう。あんな目に遭った後だったから、「一人だと不安ですよね」とマネージャーも心配してくれてた。
「ツナ、シャチ、ただいま」
自宅に入って愛猫の姿を見たことで、佐久間くんもほっとしたみたいだった。ツナくんもシャチちゃんも、何かを察知したのか佐久間くんの側に寄り添いに来る。
俺の姿があってもそこまで警戒されてない。
佐久間くんの家で飲むことも多かったから、俺がいることには慣れてくれたみたいだ。
佐久間くんがコーヒーを淹れてくれて、2人でソファに並んで座る。
2人の間にある微妙な距離をちらっと見た佐久間くんが、口を開いた。
「…もう少し、くっついててもいいか?」
「ん、いいよ。おいで」
笑顔で頷くと、佐久間くんがじっと俺の顔を見つめる。その頬はほんのり桜色に染まっていて、それがすごく可愛い。
「…ずる」
「え、何?」
「ううん、何でもない。頼んでばっかでごめん」
俺にぴったりと寄り添った佐久間くん。膝に投げ出された俺の手に触れてくるから、不安を少しでも拭えるようにぎゅっと手を繋いだ。
「あんなことがあった後だし、不安になるのも仕方ないよ。気にしないで。俺で良ければ側にいるから」
「…うん。ありがとな、蓮」
不安そうに瞳を揺らす佐久間くんを何とかしてあげたくて、俺に出来ることなら何でもしたいって思った。
側にいて欲しいならずっといる。
触れ合ってれば安心するなら、ずっとそうしてて構わない。
好きな人にこんな風に触れられて、何も思わないわけじゃないけど。
それよりも、俺にとっては佐久間くんが大切で仕方ないんだ。
お風呂好きの佐久間くんちは、それなりに浴槽が広い。
風呂友の俺達にとっては一緒に入るのも不自然じゃないし、断る理由もない。
本当はちょっときつかったけど、佐久間くんへの心配と理性が勝った。俺、偉くないか。
湯上りでふわふわしてる佐久間くんの髪をドライヤーで乾かす。
「あー、気持ちくて寝そう…」
「もうすぐ終わるから頑張って」
本気で眠いのかゆらゆらしてる佐久間くん。温風を当てながら、ピンクの髪を指で丁寧に梳いていく。
こういう時間、いいな。
恋人になる人は、こんな佐久間くんをいつでも独り占め出来るんだ。
…何で、それが俺じゃないのかな。こんなに佐久間くんが好きなのにな。どうしたって届かない距離がもどかしい。
恋人の擬似体験のような、本来なら過ごせない時間。
それがあまりに幸せ過ぎて、ほんの少し泣きそうになった。
「終わったよ、佐久間くん。ベッドまで歩ける?」
「んー…多分」
「怪しいから部屋まで付いてくよ。その後はソファ貸してね」
「…えっ」
それまで眠そうにしてた佐久間くんが、俺の一言に驚いて振り返る。
何か変なこと言ったかな。
「お前、ソファで寝る気なの?」
「え、だって…佐久間くんの家だし。ゆっくり休んで欲しいし」
「俺のワガママで来てもらって、ソファに寝かせるわけいかないだろ」
「だからって俺が佐久間くんのベッドを占領するわけにいかないよ」
「うん、だからさ。一緒に寝よ。ベッド大きめのだし、蓮と2人くらいなら全然大丈夫」
「…え」
今度は俺が驚く番。
いやそれは、さすがにちょっと色々生殺し過ぎる。
こんな状況で襲う気になんてなれないけど。それでも、好きな人が横に寝てるシチュエーションに一晩耐えるのはきつい。
俺が返事に困ってると、目を伏せた佐久間くんが小さな声で呟いた。
「…てゆーか、一緒に寝て欲しい。蓮にくっ付いてたら、安心して眠れそうな気がするから」
そんな寂しそうな声でそんなことを言われて、俺が断れるわけがなくて。ため息を飲み込みながら「分かった。一緒に寝ようか」と答えるしかなかった。
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めめの理性頑張って٩( •̀ω•́ )ﻭファイト!! でも早くめめと結ばれてほしい気持ちもあり…またわくわくしながら続きを待ってしまいます☺️✨