コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「もういいわ。疲れたから私は寝る」
「私もそうするわ」
ローリーとミンが森の奥に入っていった。
「ねぇ、小屋ってどういう…」
僕は彼女達の言っていた言葉が気になった。
「サバイバー用の部屋だよ。といってもベッドと儀式で必要な物があるだけだから、小屋って言った方が正しいかも。」
ドワイトが説明した。
「へぇ…」
「僕もそろそろ寝るよ。今日は儀式がないし、久々にぐっすり寝れるかも。おやすみ」
「おやすみ」
彼女が男に手を降った。
焚き火の炎が揺れる中、沈黙が生まれた。
「…私ちょっと」
彼女がそういい、森の奥に入っていった。
まぁ確かに今はサバイバーだけど元キラーだし、信用は出来ないよね。
ぼくは一人納得した。
「はぁ~あ…何でこんなことになったんだろ…」
焚き火の炎を見ていると、不思議と涙が溢れてきた。
自分のせいなのに、何故か信用されないことに孤独感を感じた。
この苦しみを埋めてくれるのは…彼女しかいない。
彼女の声、仕草が僕の不安を安心に変えてくれる。
「戻ってきて…」
圧し殺しながら情けない声を出して体を丸くして顔を埋める。
「何してんの?」
彼女の声が後ろからした。
嗚呼、やっと来てくれた…。
「え…な、なんで?寝て…るんじゃなかったの?」
泣きながら言ったのか言葉が詰まってしまった。
彼女には伝わったのだろうか…。
「あんたの部屋があるのか確認しに行っただけよ。で、無かったから予備用のこれ、持ってきたの」
彼女の手に持っていたのは寝袋だった。
僕のためにそこまでしてくれるなんて…。
僕はまた泣いてしまった。
「なんで泣いてるのかは聞かないでおくけど、泣いてちゃ何も変わらないわよ?」
違う。今泣いてるのは彼女の気遣いが嬉しくてだ。
「ううん…嬉しくて…」
「何が?」
「君が…優しいから…」
「…そう。」
彼女は僕の隣に腰掛けた。
嗚呼、この安心感は君だけしか持ってないな…。
彼女は僕が泣き止むまで背中を擦ってくれたりして、ただ黙って待っていてくれた。
「…落ち着いた?」
「うん…」
「とりあえず今日はもう寝ましょ。」
「分かった…」
彼女の用意してくれた寝袋に入り、目を閉じた。
嗚呼、まだ彼女の気配がする。
きっと僕が寝るまでここで居てくれてるんだ。
もう少し彼女と話をしたかったが、焚き火の音と彼女が僕のそばにいるという安心感ですぐに眠ってしまった。
─次の日目を覚ますと、彼女の姿はなかった。
キラーの部屋からはめったに見れない太陽の木漏れ日を見て僕は感動した。
こんな邪神の作った箱庭にも太陽は存在したんだと。
僕は寝袋から出て袋に戻し、背伸びをする。
「ん~っ…はぁ…」
僕はその場でキョロキョロと見渡す。
彼女は何処に行ったのだろう。
「確実に小屋だと思うけど…場所が分からないなら探す意味もないか。」
僕は昨日と同じ切り株に腰掛けた。
焚き火の火は消えて灰になっている。
「うーん…そうだ!」
彼女のために薪を集めよう!
僕も今はサバイバーなんだ。
彼女に褒めてもらえるチャンスだ!
僕は森の中に鼻唄をしながら入っていった。