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1話♡沢山ありがとうございます!
2話ですーっ
✂︎——————キリトリ線—————–✂︎
「ッ…ぁりがと、あべちゃん。泣いたらすっきりした」
「にしてもあべちゃんにも好きな人って居たんだなあ、お互い、がんばろ」
そういって、そこら中に散乱した空き缶をかき集めている佐久間。
「じゃあ、おれ帰るから」
荷物を纏め、ふらふらと玄関に向かう佐久間。
無意識だった。
”いかないでほしい”
「泊まっていきなよ」
自分でも驚いていた。
それは佐久間も同じなようで、俺から発せられた言葉に足を止め、こちらを振り向く。
驚いたようにみせる佐久間の表情に、思わず笑みがこぼれる。
「ぇ、いいのっ…?!いつもは”はよ帰れ酔っ払い”っておれの事追い出すのに…?!」
と余計な話を引っ張り出してくるこの酔っ払い。
こいつ酔った時の記憶あるタイプかよ。
「うるさぃ、黙って甘えてればいいの」
「うへへっ…デレ阿部じゃん、嬉しい」
「何ニヤニヤしてんの」
へんたい、と頭を軽く小突くと、ツン阿部になったぁー!とべそかきはじめる。
元気だな本当…。飲みの席となると尚更。
可愛い。
そう思うほどに、意識してしまう。
そんな感情を消すように頭を左右に振り、佐久間に声をかける。
「、おれ片付けとくからお風呂入ってきちゃえば?」
「いいの?ありがとー!」
バタッ
風呂場へと歩き出した佐久間に背を向け、空き缶を回収していると、後ろで何かがぶつかるような鈍い音が聞こえた。
振り返ると、佐久間が頭を押さえてうずくまっていた。
「…ぇ、ちょ、なに、大丈夫?」
「痛ったぁっ…壁にぶつけた」
「、はぁ?」
どうやらフラフラ歩いていたことで、体勢を崩して壁に頭を…ということらしい。
「まじ気をつけてよ」
「ごめーん!笑」
じゃ行ってくるね、と身体を起こそうと動いた佐久間は、またフラフラと歩き出す。
危なっかしい。あれはひじょーーーーに危なっかしい。
あと1回は確実にすっ転ぶ気がする。
おれが思ってるよりお酒入ってるのかな?
佐久間の空き缶のゴミを袋から取り出す。
「度数たっか…?!」
お酒弱いのに何やってんだか。
「佐久間、ストーップ」
「にゃ?なに?」
「フラフラしすぎ。ひとりで風呂行かせんのこわい、 」
「…それってぇ、ニヤ」
「うっさい」
「にゅー風呂友?笑」
風呂友だなんだとうるさい酔っ払い。
笑うとなんか余計フラフラしてこわい。またどっかぶつけそ…
「あべちゃんとのお風呂うれしー、あべちゃんも嬉しぃー?、のゎっ..//」
少し後ろを歩くおれを、イタズラっぽく振り向く佐久間の身体を捕まえて姫抱きにする。
と、酔いのせいか耳まで真っ赤にして黙った。
「…佐久間とお風呂、うれしぃよ」
「にゃふ、あべちゃ下ろして…/」
「はいはい 」
何照れてんの。
そういう顔は好きな人好きな人のまえでしてよねー。
───勘違いしちゃうから。
「…あべちゃ?」
「、ん?」
「や、なんかぼーっとしてたから、」
「んふ、大丈夫。ありがと」
「っつめっったぁあああ!!!!!」
「そりゃ初めのシャワーなんて冷たいでしょ!!風呂だから声響くし!!」
「あべちゃんもうるさいぃい!!笑」
しょうもないことで、佐久間と2人で腹抱えて笑う。
佐久間と一緒にいると、自分の中に渦巻く黒い感情が無くなる気がする。
ふっと気が軽くなる。
”このまま告白したら、この関係はどうなるかな”
結果なんて判りきったことなのに、時々、朧気に想う。
貴方は、俺の告白を無下にはしないだろう。
でも、貴方は優しいから。
断ったことに罪悪感を感じてしまうだろう。
なら、これでいい。
この関係がつづくなら。自分が苦しいだけなら。貴方が、幸せなら。
もう、何も要らない。
華奢な佐久間の身体を流す。
「なんか、ちっちゃくてかわいい。」
「うっせー!!巨人が!!」
「ぇ?ディスってない、ディスってないよ?笑」
「もー笑ってんじゃん!!笑」
ふと、自分の指が佐久間の首筋に触れる。
それだけなのに、身体はピクっと反応し、甘い声をあげる。
”ッあっ…/”
ダメだと思った。ここで、やめなければ。
何事もなかったように、残りの泡を流していく。
気まずい沈黙が流れた。
今、もっと触ったら。
貴方は俺に堕ちるかな。
そんな、自分が怖くて、声にならないため息をついた。
おれ、最低だ。
そんな沈黙を破ったのは、他でもない佐久間だった。
「ぶっかぶかなんだけど?」
「ふは、かわいいよ」
「喧嘩売ってる?」
「いーえ」
人が泊まりに来ることなんてないから、取り敢えずおれのルームウェアを着せたけどぶかぶかすぎたみたい。
おれでもちょっと袖長いって感じるもんなあ…
「…髪乾かしてくれたらゆるす」
「別に許してくれなくても結構です」
「なんで!もぅ口聞いてあげない」
「それは困る」
ぷくぅっと膨らませた頬がフグみたいで可愛い。
つい意地悪しちゃう。
「へへっ、あべちゃん髪乾かすのうまい」
「髪乾かすのに上手いとかある?」
「ある」
「あっそぉ、初耳」
”佐久間にだけだよ、こんな事するの”
「ぁれ、耳赤いけど暑い?大丈夫?」
「あべちゃん、ほんと狡い…/」
コメント
1件
更新があって飛んできました!最高です🥲︎🥲︎