しかも何もしませんて何だ、何かする対象なのか俺は。
腹が立ってきて岩本を覗き込む。
大きな手を腹の上で組んで、仰向けで眠っているのを見て少し冷静になった。
…連れて行かれる時、安定感あって嫌じゃなかったな。
直前に『何かあったら言って』って言われてたのもあるけど、咄嗟に助けを求めようと思ったの、こいつだったな。
人と関わって深入りしてもいい事ない。
そう思っていたのに、今はほんの少しだけ岩本の傍にいたい。
おずおずと近づいて、ちょっとだけくっついてみる。
石鹸の香りが心地良い。家の毒々しい柔軟剤の匂いとは大違いだ。
すぅ、と大きく深呼吸して、記憶は途切れた。
気付けば、朝。
俺はうつ伏せで岩本に半分重なって寝ていた。
岩本の服に涎まで垂らして。
アラームが鳴ったので慌てて寝たふりを決め込む。
岩本はすぐに起きてアラームを止めると、俺を確認したようで起こさないようにベッドに降ろした。
それから髪を撫でて、多分そっと髪にキスをしてベッドから出ていった。
何だ今の。
心臓がバクバク鳴る。
後から起きたていで身体を起こすと、俺の分もトーストを焼いてくれていたけどとてもじゃないが味なんてわからなかった。
そのまま岩本に付き添われて制服に着替えに帰宅し、岩本と学校へ行って、何となく今日は授業を受けてみようかと俺は珍しく自分の席についていた。
コメント
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ごめん、ひーくんの髪キスの時点で、心拍数上がる死ぬ
純粋で恥ずい(/-\*)
ちょっとまって。 うぶい。 尊い