テラーノベル
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5限目。
一年の教室は、昼休みの余韻がまだ残っていた。
教科書を開いたまま、窓の外を眺める。
……平和だな。
黒板のチョークの音が、教室の中に響く。
ノートにペンを走らせながら、ぼんやり考える。
――らっだぁ。
頭に浮かんだのは、あの人の顔だった。
屋上のことは、今でもはっきり覚えている。
あのとき、らっだぁはほとんど抵抗していなかった。
ただ、立っていた。
言いなり、という言葉が一番近い。
……普通は、違う。
怒るとか、逃げるとか、抵抗するとか。
なにかしらの行動があるはずだ。
でも、あの人は違った。
「……」
ペンを止める。
昨日から、ずっと考えている。
あの人は、どういう人なんだろう。
なんにせよ、普通じゃない。
でもそれは、「変な人」という意味ではなくて。
もっと別の、
……うまく言えない。
ただ一つだけ、はっきりしていることがある。
――あの人の周りには、ちゃんと「人」がいる。
昼休みの廊下。
らっだぁの隣には、キャラメル色の髪の三年生がいた。
関西弁で、よく喋る人。
⋯ゾム先輩、だったか。
あの人は、らっだぁと普通に話していた。
冗談を言って、笑って。
……なのに。
「…なんでだ?」
小さく呟く。
あの人は、気づいていないんだろうか。
らっだぁが、少し変なことに。
包帯だって見えていたはずだ。
それでも、特に突っ込んでいる様子はなかった。
……いや。
違うか。
もしかしたら。
「気づいてるけど、聞かない」とか?
その考えが浮かんで、思わず少しだけ首を傾げた。
それはそれで、不思議だ。
もし自分だったら、たぶん聞く。
少なくとも、あんな怪我をしていたら。
―――キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。
5限目の終わり。
教室が一気に騒がしくなる。
教科書を閉じながら、また窓の外を見る。
夏の空は、まだ青かった。
NEXT=♡1500
新しい連載を始めようか悩んでます
コメント
2件
通知よ … ちゃんと働いてくれ … 普通の人でもないし変な人でもない … たしかに … ならどんな人 … たしかに…でてこない…… ( ) 新しい連載が始まっても 体調にきおつけながら続けてってほしいですね ()
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