テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#幽霊
凛道桜嵐 新
193
#日常
がくじゅつてき・あかげ
22,155
わーい
41
485
痛み止めを入れてもらったら寝てしまった。朝起きて、また看護師さんに電動リクライニングベッドで起こしてもらいつつ、今後の予定を教えてもらった。
「今日またいろいろ検査して、容態が安定していたら、午後一般病棟に移っていただきます。あと、これ、同居人さんに持ってきていただいた入院セットですので」
看護師さんはでかいバッグを俺の枕元に置いた。千歳がやってくれたのか……ごめんだけじゃなくてありがとうも言わなくちゃな……。
昨日よりだいぶくらくらが治まっていたので、千歳にごめんなさいのLINEを入れようとしたが、そう言えば千歳の守り刀に修正パッチ当たってるか分かんないんだった。嘘ついてごめんはそこを聞いてからにしなきゃ。とりあえず「助けてくれてありがとう、入院の準備もありがとう。だいぶ起きられるようになったよ」とLINEを入れた。
おっくんや鹿沼さんにも「生き延びたよ、今集中治療室」とLINEを入れ、仕事方面でも久慈さんに「すみません、昨日心停止して今集中治療室です。まだ入院続くようなのでいつ仕事復帰できるかわかりません」と連絡を入れた。
おっくんからは「大丈夫なの」「集中治療室ってまだどっか悪いの」「後遺症とかない!?」と鬼のようにLINEが来て、俺は朝ご飯食べながら返信した。そんなに心配してくれてたんだ、ごめん……。
朝ご飯を食べ終わった頃、千歳からLINEが来た。一言だった。
『お前が隠してたこと、全部聞いた』
え、緑さん周りの人が話したってことは、もう守り刀に修正パッチあたってるってこと?
とにかく、俺はひたすら謝った。
「ごめん、本当にごめん嘘ついて、俺これ以外被害が出ないやり方を考えられなかった」
『お前が死ぬのは被害じゃないのか?』
「それは被害だけど、一番被害を抑えられると思って」
『午後に面会に行くから、その時に話し聞く』
「ごめん、本当にごめん」
千歳、怒ってるぞこれは……面会に来たら、もうひたすら謝らなきゃ。
その後看護師さんが来て、レントゲンだのなんだのの検査を一通り済ませ、だいぶお爺さんなお医者さんから「午後から一般病棟で」と言われた。
「全然異常ないねえ、まあ肋骨は折れてるけど」
「肋骨、どうにかなりませんか? 動くたびに痛いんですけど」
「後でコルセット持っていくからね、それつければ多少マシになるよ。あと肋骨折った人に文句言っちゃダメだよ、心臓マッサージではよくあることだし、心臓マッサージしてもらわなかったら君今生きてないからね」
お爺さん医師は鋭い眼光で俺を見た。
「文句なんて、なんにもありませんよ、命の恩人です」
そう返事するとお爺さん医師は「よろしい」といい、また検査結果の紙を見た。
「しかし本当に原因が見当たらないんだよねえ、君、生活習慣乱れてたとかストレスとかあった?」
「生活習慣は大丈夫だと思いますけど……その、ちょっとだいぶプレッシャーかかることを一ヶ月やらなきゃいけなくて、それがストレスと言えばストレスかも……」
お爺さん医師は、また鋭い眼光をした。
「そういう風に言う人ねえ、だいたい想像を絶するストレス抱えてるんだよねえ」
「…………」
それは……そうかも。1ヶ月後に死ぬって事実を抱えつつ、それを同居人に気取られないようにできるだけ普通に生活しろっていうのは、確かに、想像を絶するストレスかも……。
「……想像を絶するストレスだったかもしれません」
「もうそんなの抱え込んじゃダメだよ、ちゃんと周りの人に相談しなさい」
「はい……」
反省でうなだれながら部屋に戻ると、看護師さんが「もう一般移れますよ、荷物運びましょうね」と荷物を台車に乗せていてくれたので、俺は荷物を運ぶ看護師さんについて行った。しかし、歩くだけでも胸が痛い!
一般病棟の大部屋に移り、周りの患者さんに挨拶しつつ荷物を整え、看護師さんに一般病棟の説明をされた。そして、こう言われた。
「午後の2時に、金谷千歳さんの面会予約入ってますよ。一時間面会可能ですから、お互いマスクして面会してくださいね」
あ、そう言えば俺ノーマスクだった。ヤバいじゃん、まだコロナ患者数多いのに。
「すみません、マスクの持ち合わせないんですけど、どこかで調達できますか?」
「とりあえず、これを使ってください」
看護師さんがポケットから出したマスクを付け、俺は面会時間を待った。
2時になって、看護師さんに案内されてきた千歳が姿を見せた。
絶対ものすごく怒ってると思ったんだけど、千歳は本当に心配そうな顔で俺のベッドに駆け寄ってきた。
『和泉! 大丈夫か!?』
「えっと、検査では異常なくて、一般病棟でしばらく様子見て大丈夫なら退院だって、肋骨折れてるくらいかな」
とりあえずそう答えると、千歳はホッとした。その後、『何でこんなことしたんだ、バカ……』とうめいた。
『バカ野郎……本当にバカ……』
絶対怒ると思ってたのに、千歳はボロボロと泣き始めた。
コメント
1件
うわあ……千歳、めちゃくちゃ心配してたんですね。怒ると思いきや、あの「バカ野郎」で泣き出す流れ、胸にきました。主人公が隠してたことの全貌はまだ明かされてないけど、命の危機にまで及ぶストレスを一人で抱えてたんだなと痛感しました。お爺さん医師の「想像を絶するストレス」という指摘も核心をついてて、この物語の重さを感じるエピソードでした。