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〜第2の異界 無限に続く階段世界〜
飛び込んだ先はまた部屋だった。俺は部屋の端にあるドアに向かい、ノブに手をかけて手前に引いた。しかし、動かなかった。もしやと思い、横にスライドしてみたが、動かなかった。今度は押戸かよと思いながら押してみたら、案の定開いた。その先の景色はかなり異様だった。ドアの先には階段があったが、側面に壁はなく、赤黒い空間が広がっていた。よく見ると、赤黒い空間の中に、いくつもの枝分かれした階段があった。今度は階段世界か?と思いながらも、俺は目の前の階段を登り始めた。階段自体の傾斜は比較的緩かったが、横幅が狭く、一歩間違えれば底の見えない空間に消えてしまう。階段下の底の見えない空間を観察した俺は、慎重に進み始めた。
そして、進み続けること2時間。
俺は疲れきってしまい、2手に分かれた踊り場で気絶しかけた。
あ〜、これかなりヤバい。前回の迷路の世界と違って、足への負担がかなりでかい。それに、構造は変わらないのに、上も下もどこまで続いてるのかも分からない。
俺がゆっくりと目を閉じようとしたその時、背後から犬の鳴き声が聞こえた。目眩の続く目で犬の方に目を向けると、少し残っていた唐揚げを出し、半分にして犬に差し出した。
あ〜、俺は今幻覚を見ているんだ。こんなところに犬なんているはずはないのに。でも前回の猫はいたよな〜。まさかな〜。
半分の唐揚げを食べた犬は、小さい声で呟いてた俺に向かって飛びついた。
暖かいな〜。生きてるみたい……だ?
俺はようやく犬が幻覚ではないことに気づいた。目を擦って俺はその犬にもう半分を差し出した。ちゃんと食べている。
俺はその犬に抱きつき、よっしゃぁぁぁ救世主来たぁぁぁ!!と喜んでいた。
犬は首を傾げながら小さく鳴いた。俺はさっそく犬に向かって、よし我が救世主!俺を出口まで案内してくれ!と言った。しかし、犬は分からなかったような顔をした。
俺は手荷物を調べた。そして、使えそうなものを犬に出した。
まずは友人とキャッチボールする用のボール。試しに右の登り階段に向かって投げた。犬はすぐに走り出し、ボールを取ってきた。しかしこれでは俺が任意の方向に投げてるだけで、正しい道は分からない。今度は同じく友人と遊ぶ用のフリスビーを投げたが、結果は同じ。今度は方位磁針。って異界だからそもそも方位が狂っていて使えない。そうして数々の手荷物を使ったが、どれも使えそうになかった。最後に俺は前回手に入れたファンタズマを差し出した。犬は鼻がよく利く。結果そのやり方は効果的だった。犬は何かを思い出したのか真っ先に左の階段を駆け始めた。俺は後を追うようについていった。右へ、左へ、下に下ってまた上がり、2回右へ。
そうしてさらに2時間が経過した。
気づけば階段は一方通行になった。もうすぐゴールする。そう思った俺は駆け足を速めた。そして、その時はやってきた。
階段が終わり、地平線の向こうまで広がった景色が目に入った。ついに俺は無限階段から抜け出せたんだ。そう呟きながら、犬に目を向けた。犬はまだファンタズマの匂いを辿っている。俺も後について行った。5分くらい歩いていると、直径50cm級の大きな丸岩があった。犬はその岩に近づくと、岩の周りを掘り出した。俺はこの下にファンタズマがあるんだと思い、その大きな丸岩を持ち上げようとした。しかし、思ってたよりも重く、なかなか持ち上がらなかった。もう一度持ち上げようとした。今度は少しだけ浮いて、また元に戻ってしまった。俺は少し休んで、どう動かすか考えた。今の俺には力が足りない。単純な持ち上げはできない。ならどうするか?ふと犬の方を見てみると、犬は頭突きで岩を横から押していた。そこで俺は気づいた。そうじゃん横から押して転ばせればいいじゃん。俺はさっそく横から押してみた。さっきとは違い、格段に動かしやすくなった。しかし、四分の一が地面下に埋もれていて、少々引っかかっていた。諦めず俺は岩を押し続けた。そして犬も加勢したその時、岩は地面から抜け出して転がっていった。俺は岩のあった地面を覗いた。よく見ると、下は狭い空洞になっていて、2匹の子犬がいた。かわいそうに、埋もれちゃったんだ。と思い、弱っているかもしれないであろう子犬をゆっくり引き上げ、犬のそばに置いてあげた。犬は子犬にお腹を見せて寝そべり、2匹の子犬は犬の乳首に吸い付いた。良かったな〜と思った俺は、犬と子犬をゆっくり眺めていた。何だか癒された気分だ。しばらくすると、犬─母犬は岩のあった穴に顔を入れ、ファンタズマを咥えて俺に渡してきた。お礼がしたかったのかなと思い、俺はファンタズマを貰った後母犬と2匹の子犬を撫でてあげた。俺は犬達に礼を言い、ファンタズマを使って新たなモヤを発生させた。最後に俺は犬達に向かって、じゃぁな。と言い、俺はモヤへ飛び込んだ。残された犬達はさらに奥へと歩いていった。犬3匹しかいないとはいえ、地平線の向こうには楽園に繋がるモヤがある。モヤの前に到着すると、3匹は揃ってモヤに飛び込んだ。もしかしたら、どっかで再会するのかもしれない。
〜続く最新話に期待!〜
コメント
1件
わあ、続きを読ませていただきました!今回の舞台は無限に続く階段世界なんですね。歩き続ける主人公の足への負担がひしひしと伝わってきて、息が詰まるような感覚を味わいました。そこに現れた犬の存在がすごく救いに思えて…。特に、犬がファンタズマの匂いで道を案内してくれたり、最後に子犬たちを救う場面は胸が温かくなりました。犬が「お礼」としてファンタズマを咥えて返してくる描写、とても優しくて好きです。人のために尽くすことが巡り巡って自分の助けになる、そんな良い連鎖を感じるお話でした。次はどこに行くのか、気になりますね…!