コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ギルドにて
店を出た後は夜だった
ギルドにようやく足を運んだ私は冒険者たちから嫌な目をされながら、少し珍しい目をされながら受付嬢に話しかけていた。いつも話しかけてる受付嬢だ。名前は確かクリスだったか。
「おい、アイツパーティー組んでたよな?仲間はどうしたんだ?」
「荷物持ちだし報告押し付けてるんだろ?よくある事なんじゃねぇの?」
「いや、白銀のメンバーだったからそれはねぇな。アイツらだぞ?」
「マジで?えじゃあ…」
そんなひそひそ話が飛び交ってるが気にしない
「依頼の失敗とパーティー全員の全滅の報告に来ました」
それを聞いた皆が驚いた。そうAランクのパーティー全員の全滅。そして失敗である。
「そ、、そうですか。で、では違約金等がございますがよろしいですか?」
珍しくクリスが狼狽えてる。いつもは高圧的な態度ばかりなのに。
「はいそうですね。」
私は違約金を支払う。決して安くないのだが1ヶ月まともに報酬をくれていたから何とかなった
「はい確かに。では毎月支払われるギルドの方はどうしますか?」
ここで言うギルドと言うのは拠点をどうするかという話で、名乗りを上げ、ランクがB以上かつパーティーである人には拠点。つまり第2の家を貸してくれる。そして毎月家賃が発生するのだが必要な物資などを安くしてくれるという制度がこの国にはあるのだ。
誰もいない拠点に毎月支払い続けるのもなぁ…
未練がましいけどあったらあったで何か足枷になるのがやだなぁ、。
「えっとですね、。」
決めるのは私だ。全員いないとは言え第2の家を放棄していいの?仮にも1ヶ月いさせてもらって思い入れが無い訳じゃない。むしろある方の家を放棄するの?
「拠点の方は保留でもいいですか?」
答えは出なかった。いや、出したくなかった私がいた。
「構いませんが毎月支払いが発生します。決断はお早めにする事をおすすめします。」
分かってるよそんな事くらい!急がせないでよ!顔がぷくぅっと膨れる
クリスは続けて
「パーティーギルド「白銀の剣」の家賃は4人分でした。払えますか?あと今回の討伐失敗によりパーティーは解散という形になっておりますのでご注意を。ちなみに遺体等が見かけないのですがそれらはどちらに?」
なんかめっちゃ言ってくる受付嬢だな可愛くない、。見た目はまぁまぁ可愛いのに。
「遺体は家族に。武器防具はとある人に送りました。……4人分ですか、。」
「はい4人分です。払えますか?」
間髪入れずに言ってくる受付嬢だ。早く決めろという事なのだろうか。というか今日のクリスの態度がキツめで苦手だ
しばらく考える
手持ち的にあと1ヶ月は支払える。何も買わなければの話だが。だがそれは無理だ。それに毎日ベルグさんの家、、というか屋敷に行って稽古がある。それによっては何も出来ずに1ヶ月が経ち最悪支払えないなんて事もあるのか。
あれ?私ってこんなに自分の事で悩むほうだったっけ?
何かおかしいよね?手放せばいいだけなのになんでこんなに手放したくないと思ってるんだろう。そう思っていると眼から涙が出てきた
「あれ、。おかしいな?泣くはずじゃ…」
「分かりますよ。少しキツく言いましたがあなたにとってそれは素敵な出会いがあったんです。だけどもういないの。だからもうお別れしないと。」
クリスは受付嬢としてそういう人達を果たして何人見てきたんだろうか。
「それって少しなの?」
「こうでも言わないとアナタは多分引きづって支払いに困ると思って。私も経験者ですし?」
元冒険者だったんだろうか。そうか。お別れか。引きづってたんだな私って。
「それでどうします?」
「拠点の解散をお願いします。」
私ははっきり言った。お別れが言えなかったから泣いたのか。思い出したから泣いたのかは分からない。だけど、こんな姿をあの人達には見せられない。そう思った。
「はい。ではそのようにします。来月からの家賃等は無いということになるので拠点にある荷物は3日以内にまとめた後立ち入り禁止になります。他に質問はありますか?」
「いえなにも」
「そうですか。ではお疲れ様でした。」
ずっとニッコリしてるクリス。ちょっと顔が怖い、。
やる事は決まり、今日は拠点に泊まるついでに荷造りをしておこうっと。
そう思ってギルドを出ようとすると他の2人に絡まれた
「よぉ、話は聞いたぜ?アイツらいないんなら今度は俺らと組まないか?」
「やだ」
「俺たち荷物持ちいると助かんだよなぁ…いいよな?」
「イヤだって言ってんじゃん。しつこいんだけど?他の荷物持ちでも探せば?」
私にはする事がある。邪魔しないで欲しい。
「お前このままだと冒険者としての収入ないんだろ。だから手助けだよ分かってねぇなぁ。」
こういう人程ろくな人は居ないと嫌という程体験した。
私は何て言おうか迷っていると受付嬢が言った。クリスだ。
「ハイそこ!無理やり勧誘とかは辞めて下さいねぇ〜!ギルド資格剥奪しますよー?」
ギルド資格は取るのは簡単なのだが1度でも剥奪されると二度と再発行出来ない様になっている。そしてギルドの建物内なら発言権は受付嬢やギルド職員の方が上なのだ。それが例えSランクの人だとしても例外は無い。
「ちぃ…分かった分かった。冗談だよ冗談。やめてくれよマジで…」
「もう行こうぜ?皆見てる」
そう言って2人は立ち去った。
「ありがとう」
私は受付嬢にお礼を言って今度こそ拠点へと向かった。
「頑張ってね」
受付嬢は呟きながらそう言って手を振って見送っていた。