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翌朝美鈴が玄関で父を見送りしている所を
駅まで送ると強引に何とか二人っきりになった
わたしは憂鬱になり
「ねえ、パパ、お見合いなんてやめて」
と美鈴が見えなくなった途端口に出した
すると父が苛立った様子を見せた
私は父に初めて疎んじられているの感じて怯んだ
父の再婚以来、父と二人だけになったのは
今がはじめてだと気づいた時は
ほとんどショックのよう なものを感じた
もしかしたら双方で互いに避け
合っていたのかもしれない
私は父が美鈴を母と認め仲良くしろと
話すのではないかと常に恐れていた
私自身胸の奥で父に裏切られたという憎しみと
愛の葛藤を抱えていた
「パパ!
どうしてもお見合いをしなくちゃダメ?」
父は不機嫌な声で言った
「お前は23歳なんだよ・・・
小学生の様に我儘を言うのはよしてくれ
スミレ・・・
何もかもお前のためを思って言ってるんだよ」
父の輪郭が涙の中にに霞んだ
でも、わたしは涙を落とすまいとした
「あたし、 結婚なんかしない!」
私は怒りをこめて宣言した。
父も足を止め、わたしの方を向いた
急に立ち止まった私達を朝のラッシュ時を
慌ただしく行く人々が避けて歩いた
人々が通り過ぎ
急に静かになった中、通りに父の声が響いた
「スミレ!それは考え直した方がいいと思うよ
お前が結婚しなかったらどうなる?
あの家に生涯継母と私を一緒に
暮らすことになるんだよ」
父は歩き出した
私は眩暈のようなものを感じながら
急いで父の後を追いかけた
「あたし、本当に今は男性に興味ないの!」
父は辛抱強く私がどんなに恵まれていて
幸せな娘なのか、どれだけ感謝しなくては
ならないか説き伏せた
お前の事を真剣に考えてくれる美鈴がどれほど
心のやさしい人なのかと滾々と言い聞かせた
継母といっても私からすれば姉のような年齢だ
美鈴は大学院で遊んでいる私に比べると
まだ二十四歳だが彼女は苦労してきた分
本当にしっかりした健気な女性だと言った
私はそんな美鈴に敵意を向けてはいけない
もっと親しくなるように心を開きなさいとも言った