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羅依!豚肉アスパラ私好み😂どれも俺好みなんてもうLOVEダダ漏れ〜🖤💜 細マッチョ✨の緒方さんのリハビリ始まるね!みんな仲間🤝タクが加わると上がるよね〜⤴⤴😂3人のトーク好き😂 サイサイ2人はほっといて初めよー!緒方さんのボクもだよ。に泣かさせれたよ😭
そしてこの1週間、羅依かタクのどちらかが家で仕事をしてくれていたのは、私の精神的安定を心配してのことだと思う。
タクにはささみの鍋を教えてもらったし、私も料理を作って立っている時間を増やした。
「うまい。俺好み」
薄い豚肉を広げて塩と小麦粉を振り、アスパラを巻いてフライパンで焼いただけ。
それをブラックペッパーとレモンで食べる簡単なものだが、羅依の好みらしい。
「これも俺好み」
「…ありがと。でも全部好みって言うと、本当のことがわからない」
「どれも俺好み、本当に。明日も同じメニューでいい」
「……」
カボチャのバターシナモンソテーも、納豆入りチーズオムレツも、豆腐の味噌汁も好みらしい。
私は自分の感覚でいつものたんぱく質多めの食事を作ったけれど、レッスンをしていない分、食べる量は少ない。
これで運動していない人と同じくらいだろう。
「もうひとつ食っとけ。動いてないことを計算しているんだろうが、今残っている筋肉を維持するために必要なものがあるだろ?」
「そっか、うん」
私のお皿に豚巻きが追加され、あとは羅依が綺麗に食べてくれた。
その1週間で松葉杖1本での歩行訓練を計画通りに終えたことを、一度岡久先生のところで確認してもらってから、トレーナーの緒方さんという方のところへ向かう。
「今日はタクも一緒なんだね」
仕事があって私にばかりかまっていられないから、二人揃って私の送迎というのは最初以来だと思う。
「緒方は俺たちの仲間」
「ああ…昔のクラブ溜まり?」
羅依の説明で分かった。
「ははっ、正解。で、緒方の姉ちゃんが俺の彼女」
「そうなんだ」
「反応薄っぺら」
「そう?緒方さんもお姉さんも見たことない人で、タクに彼女がいることは聞いていたし…これくらいの反応でいいよね?」
「いい」
「つまらない二人だな」
私の髪を撫でる羅依から、先日、二人で食事中に‘タクは?’と聞いたら‘彼女’と返ってきたから驚きはない。
「香さんに紹介したトレーナーさんだよね?」
「そうだけど続いているかなぁ。聞いてみよ」
別に特別な興味はないけど羅依とタクがわざわざ紹介してくれたのだから、どうなっているのかは知っておいた方がいいかな。
そのパーソナルジムは‘Scenic Gem’の近くのビルの2階にあった。
緒方さんは身長170センチくらいで典型的な細マッチョ体型だと、体のラインを拾うウェアから分かる方だった。
「これまでの経歴、ケガの状態、手術、そして今日の診察はボクの中にインプットされてるから」
「はい」
緒方さんと私が話を始めると、ジムの端で着替えた羅依とタクが勝手にワークアウトを始める。
「いいんですか?」
「ウン。アイツら自由というか勝手だし」
「いえ…そうじゃなくて、いきなり動いてるの、あり得ない…」
「だよね。アイツらは素人で負荷も弱いからいいんじゃない?才花ちゃん…サイサイって呼んでいい?」
「サイサイ…新手の呼び方ですけど、どうぞ」
「んじゃ、サイサイ」
「はい」
「まだまだ聞き取りしたいから、喋れる程度でストレッチして。今の状態の参考になるから」
「はい」
私は着ていたパーカーとパンツを脱いで、その中に着ていたフィットネスブラトップとレギンスになるとシューズを履く。
「その角度は負荷を感じる?」
私が左膝を少し曲げて靴紐を結んでいるのを見ながら緒方さんが聞くので
「大丈夫です。曲げて体重はまだ乗せられないです」
と応える。
そこから鏡のある方へ移動すると
「え?サイサイ、笑ってんの?」
緒方さんが不思議そうに後ろから鏡を見るので
「そうですか?…このサイズのミラーを見ると…嬉しくて、でも泣きたいですね…ふふっ……」
鏡の中の自分と目を合わせて、大袈裟なくらいの笑顔を作った。
よしっ………
「先生、お願いします」
そう言ってお辞儀をしてから床に座ると
「こちらこそ、よろしく、サイサイ。サイサイのゴールまで伴走するのは羅依だけじゃなく、ボクもだよ」
先生も私と少し位置をずらして、鏡によく映るように座った。